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米韓FTAに思う
2007年04月21日
米国と韓国のFTA交渉が合意に達した。韓国はコメ市場を死守しながらも、牛肉などその他の農畜産物ではかなり譲歩した。米国も、中小型車の関税を即時撤廃するなど自動車市場へのアクセス改善を韓国側に与えることになった。
韓国内では、FTAに抗議して自殺を図る人間が出るなど、農家から大きな反発がある。米国にとっても、日本勢に押されて劣勢の自動車産業に対して負担の大きい内容となっている。そうした状況にもかかわらず、米国、韓国政府ともに「満足のいく結果である」と胸を張って国民に説明している。
この背景には、自国の産業構造を変えていくという戦略が見える。韓国は今回のFTAによって損害を受けた農家に対し、国家が補償金を出していくという。韓国としては今後、徹底的に工業を強化することで成長を維持していくという方向性を明確にしているように見える。
翻って日本の状況はどうだろう。ASEANをはじめ、インド、ベトナムなどとのFTA交渉が進められているが、産業界から要望の強い米国、中国との交渉は、いまだ見通しが立たない。韓国との交渉についても、04年11月以来暗礁に乗り上げたままである。
これらはすべて、コメをはじめとする農業問題がネックとなっている。韓国にしても米国にしても、農業分野での日本の譲歩なくしてはFTAの締結はないとのスタンスである。
さらに、再開の動きが伝えられるWTOドーハ・ラウンドについても、農業問題で譲歩の姿勢を示さない日本がひとり取り残されそうな状況となっている。
そろそろ、日本の将来のため、決断を下す時期なのではないだろうか? 貿易立国で生きる道しかない以上、経済自由化の潮流に乗り遅れることは、衰退につながっていくことだけは明らかである。(H)
http://www.asahi.com/business/column/index.html