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ケインズ経済学の致命的欠陥
ケインズの問題点もやはり正常な経済のみの分析であるところである。しかも貯蓄ができる規模と生産効率の高い国の経済を対象にしている。それ故デフレやインフレになり失敗している経済や、発展途上国の経済にうまく適応できない。ケインズの理論で扱っているデフレやインフレは明らかに貨幣価値が変わらない部分での分析である。今のように生産物に対して著しく資金量が減った経済や著しく資金量が増えた経済を対象にしていない。それ故貨幣価値の変わるデフレやインフレに対して、何等有効な手段を取れないどころかより悪くしているのである。
普通ケインズの理論は、景気が悪いと企業の活動を活発にする方策を取り、その結果所得が増え、消費に結び付き、経済が再び拡大し、景気を回復させるものである。しかしデフレに陥るとこの循環が行われない。
ここでデフレというのは、全貯蓄量以上に借金が増え、市場に出回る資金量が生産物に比べて著しく減少した状態を指し、所得線が45度線から角度が低下した状態をいう。一度貯蓄量以下に角度が低下すると、経済は縮小再生産に入り、順次資金、生産量とも減じていく。これがデフレの状態である。
資金が生産物より著しく減少した状態の所で、企業の活動を活発にして、所得を増やそうとしても、企業競争が激しくなるばかりで、売上が伸びず、所得は一向に増えないのである。資金が減少しつつある所に、生産物やサービスを今まで以上に市場に送り込んでも、消費者は買えないので、売上増に結び付かず、所得増にならないのである。デフレインフレの一般理論参照http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/
ケインズ理論は、貯蓄が存在する所において、成り立つ理論であり、貯蓄がない所では、成り立たないのである。企業活動を先ず始めに活発にするやり方は、貯蓄があることが前提であり、貯蓄が企業の活発な販促活動により、消費に向かうので、売上増に結び付き、その結果所得増を誘発し、景気の拡大に向かうのである。この企業の活発な活動を促す導火線として、低金利による、企業への融資や公共投資政策が行われるのである。1月に日銀が金利を上げようとしたが、しなかった理由は、内需が弱くなっており、今、金利を引き上げると経済が再び縮小する事を懸念したものである。しかしこの論理は通らない。金利を低くして企業への融資をし易くして、企業が積極的に販促しても、お金の増えない消費者は今まで以上に物を買わない。買える分けがないのである。まだ金利を上げれば少しは受け取る利子が増える人がいるかもしれないが。このように全体的に貯蓄がない経済では、企業への優遇策により消費を活発化させることはできない。それ故このような政策はことごとく失敗したのである。このことは日本がデフレになり、低金利や、公共投資で景気の回復を図ったが借金が増えただけであった事で、既に立証されていよう。
ようするに、生産物を金魚にたとえ、資金を水量にたとえると
金魚に栄養剤やモルヒネを打っても、水がないので金魚は大きくなれない。窒息するばかりなのである。
水が増えれば金魚はそれに応じて大きくなっていく。
このような経済政策を取らせるのは、ケインズ経済学をデフレに適応させようとするからである。ケインズ経済学は日本の今のデフレに役に立たない。単なる疫病神である。
今なお日本の多くの経済学者や政策担当者、さらには学生のころに勉強した政治家や、経営者、さらには一般国民もケインズの理論に従った政策を標榜しがちであるが、そのよって立つ基礎をもう一度考え直すべきである。でなければ日本の没落は確実である。