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構造改革派とカルテル(経済コラムマガジン477号)-カルテルを見てみぬふりをする「構造改革派」の卑怯
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投稿者 JAXVN 日時 2007 年 4 月 09 日 08:27:59: fSuEJ1ZfVg3Og
 

構造改革派とカルテル

「小さな政府」の意味
構造改革派の主張を聞けば誰もが、彼等は自由主義経済の推進者であり、古典派経済学理論の信奉者と思う。しかしそれは実態の一つの側面に過ぎないと筆者は考える。それどころか彼等はとんでもない詐欺師かもしれないのである。まず古典派の理論が成立するにはいくつかの前提条件が必要である。その中で最も重要な前提条件は「市場が完全競争」ということである。

市場が完全競争で十分に競争が行われていれば、生産資源(設備などの資本・人的資源)が最も効率的で無駄なく配分される。また完全競争下においては、生産の成果が限界生産力に応じて分配されることになる。つまりそれぞれの働きに応じて、資本側には利潤、労働側には賃金が配分される。近年の給料の成果主義という流れもこの古典派の経済理論が色濃く反映されていると筆者は考えている。


このように市場の競争状態は構造改革派にとって一番の関心事である。したがって競争を阻害するものを、彼等は徹底して憎み敵愾心まで持つ。財政支出や税金はもちろん、競争の阻害となる各種の公的規制にも反対である。まさに「小さな政府」を指向している。ここで重要なポイントは、政府の存在が完全競争を阻害しているということである。なぜ構造改革派が政府は小さい方が良いと言っているのか、意味が分かっていない人が案外多いのである。

しかし競争が激しくなれば、人々は勝者と敗者に別れることになる。これに対して構造改革派は必ず、敗者には再チャレンジの機会を与え、さらにセーフティネットを張るともっともらしい事を言う。しかしこと日本においては、再チャレンジ自体が難しいことは周知の事実である。

またセーフティネットと構造改革派はよく口にするが、とても本心から言っているとは感じられない。小さな政府主義の彼等が本気でセーフティネットが必要と思っているはずがない。むしろ敗者はさっさとこの世の中から消えてくれというのが彼等の本音であろう。


ところで構造改革派は公共事業に対する感情は異常である。彼等の公共事業への憎しみは尋常ではない。公共事業が、彼等が嫌う政府支出であるということでまず拒否反応がある。さらに公共工事の入札に伴い頻繁に談合が行われることが災いしている。構造改革派にとって、公共事業は二重の意味で自由主義市場経済の原則に反するものなのである。

とにかく構造改革派は公共投資・公共事業を嫌う。筆者などは公共事業を嫌う者を構造改革派と定義しても良いとまで思っている。したがって彼等は、公共事業を担う道路公団などの特殊法人の民営化にこだわったり、PFI(民間資金活用による公共施設の整備)を推進したがる。


構造改革派に汚染された日本のマスコミは、都市博の開催を中止したり新幹線の駅の建設を取り止める知事に好意的である。指名競争入札を廃し一般競争入札を行えば、談合めいたことが難しくなり落札価格がどんどん下がることは知られている。そして一般競争入札を推進し、これによって落札率が低くなった県の知事は改革派知事と持ち上げられる。

しかし公共事業には、昔から失業対策としての働きがある。まさに公共事業は社会のセーフティネットとして機能してきた面がある。むしろ社会に現存しているセーフティネットを、どんどん壊してきたのが当の構造改革派である。

やはり卑怯者の構造改革派
ところが構造改革派が価格競争を阻害しているものを、公平に批難しているとはとても思えない。最近、インド人が経営する製鉄会社のミタルがルクセンブルクのアルセロールと合併(事実上ミタルによる吸収合併)し、突出して巨大な製鉄会社が誕生した。この合併は明らかに競争を緩和することを意図している(経営者もこのことを言明している)。

鉄の原料の鉄鉱石は、わずか3社の巨大鉄鉱石採掘メーカーが世界の75%のシェアーを占めている。一方、製鉄メーカーは世界中に群生しており大手といえどわずか数パーセントのシェアーを占めるに過ぎない。ミタルとアルセロールが合併してもやっと世界の10%のシェアーである。

鉄鉱石の価格は鉄鉱石メーカーが決めており、弱小メーカーの集まりである製鉄業界は、巨大鉄鉱石採掘メーカーの言値で鉄鉱石を仕入れてきた。また製品の納入先も巨大メーカー(例えば自動車会社)のケースが多い。したがって製鉄会社は、カルテルの鉄鉱石採掘業界から高く原料を仕入れ、カルテル的な自動車業界に安く製品を売っているため、自分達はずっと低収益に甘んじてきたという思いが強い。


今日世界の製鉄業界は、ミタルとアルセロールの合併だけでなく、色んな形の合従連衡が試みられている。これは明らかに世界的な製鉄業界のカルテル化を睨んだ動きである。しかし世界的なカルテル化への動きは製鉄業界に止まらない。

昔は世界的なカルテルと言えば石油とダイヤモンドぐらいしかなかった。ところが今日では全てといって良いほどあらゆる業界(自動車、薬品、ガラス、石油・ガス、銀行、保険、証券、会計事務所・・・きりがない)で世界的な再編が起っている。表向きの理由は規模の経済性の追求や巨額の技術開発費を賄うためということになっているが、巨大会社による価格支配力の確保が重要な目的になっていることは明らかである。まさに世界中カルテルで溢れ返っているのである


ところがこのような世界的な競争制限する動きに、自由主義経済の信奉者であるはずの構造改革派は全くの沈黙を守っている。建設・土木や農業の競争制限的な動きにあれだけ神経質な構造改革派が、巨大企業が市場を牛耳る業種のカルテル行為には何も批難めいたことは言わない。

弱小業者が何十万社もひしめく建築・土木や農業は元々競争が激しい(他にもタクシー会社やガソリンスタンドなども同様の理由で競争が激しい)。つまり競争相手が多く、同質の製品やサービスを提供している(差別化が難しい)業界の価格競争は厳しいのである。ところが構造改革派は、建築・土木業者の競争制限的な動きや、農業に対する政府の保護政策には目くじらを立てて抗議を行う。このように競争の激しい業界の人々の所得はいつまでも伸びない。特に経済のグローバル化が進み、競争が世界的になっているからである。製鉄業界なんてましな方である。


世界のGDPを競争の激しい産業とそうではない産業に分けてみれば面白いかもしれない(それぞれの付加価値を集計するという言い方が分かりやすいかもしれない)。おそらく後者の割合がかなり大きいと推察される。また世界的な競争促進政策によって、後者の割合がさらに大きくなっていると感じられるのである。

しかしもっぱら構造改革派が攻撃するのは、元々競争的な産業の競争制限的な動きである。ところが完璧なカルテルであるOPECに対して、「カルテルは問題」と抗議する構造改革派を見たことがない。時たま問題になるのは、ほぼ100%のシェアーを占めるマイクロソフトのウィンドウズぐらいなものである。いかに構造改革派が卑怯者の集まりなのかが分かる。 」
http://adpweb.com/eco/eco477.html

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