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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu140.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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米国の住宅ローンの市場がおかしくなっています。酷使してきた
2番目のエンジンが「突然火を噴いた」ような状況なわけです。
2007年3月30日 金曜日
アメリカのFF金利チャート
◆NY株、一時130ドル下げ FRB議長発言受け急落 3月29日 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2007032801000930.html
【ニューヨーク28日共同】28日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が議会証言で米経済の先行きに対する懸念を表明したことをきっかけに売りが集中、一時、前日比130ドル超急落した。
午前10時45分現在、前日比131・54ドル安の1万2265・75ドルで取引された。ハイテク株主体のナスダック総合指数は23・63ポイント安の2413・80。
バーナンキ議長が、低所得者向け住宅ローンの不良債権問題が住宅市場に与える影響に懸念を表明、インフレ懸念にも言及したことで、市場では景気の先行きへの不安が一気に強まり幅広い銘柄が売られた。
◆2990兆円の頭痛 3月14日 いちカイにヤリ
http://www.doblog.com/weblog/myblog/31550/2619887#2619887
サブプライム市場の問題が深刻化するにつれて投資銀行が欠損の一部を被るのはどうやら避けられないという認識が投資家の間に静かに広がりつつあります。今日ははやくもジェネラル・モータース(GM)が金融子会社、GMACにおけるサブプライム絡みの欠損を埋めるために1000億円の資金を注入すると発表しています。勿論、1000億円なんて世界に君臨する米国のメガバンクや投資銀行にとっては「はした金」なのは僕にもよくわかっています。でも、「こっちで1000億円、あっちで1000億円、、、」という風に穴埋めしているうちに損はどんどん積み上がります。
問題は2990兆円とも言われるデリバティブ市場の仕組み債の多くはそれらの金融機関のバランスシートを根拠にイシューされている紙切れだということです。だからそれらの金融機関のサバイバビリティー(存続可能性)にチョッとでも疑惑が出るとドミノ式に信用秩序が崩れる危険性だってあるということ。デリバティブに依存しているビジネスは住宅ローン業者やREITだけではありません。例えばETFだって仕組みの上では金融機関の発行するノート(証書)を株式のように売り買いしているというからくりになっているものが沢山あります。
FEDはこのデリバティブ市場の現状把握のためにいろいろ苦心しているわけですけど、なかなか正確なデータというのは出てこない。そこで何ヶ月か前(だったと記憶してますけど)に米国の主要投資銀行やメガバンクを一堂に集めて兎に角、各社のwriteした仕組み債の総額だけでも把握しようと試みました。で、「総額を見てごらん、ホラ、こんなに多いでしょ?。だから何か突発事故があったときは逃げようにも逃げられませんよ。」と指摘してやんわり「乱痴気騒ぎもほどほどに」と釘を刺しました。
でも「映画館が火事になっても自分だけは逃げられる」と思いたくなるのが人情。投資銀行の連中だってそれは同じこと。「俺様は天下のモルスタだ!俺たちがそんなドジ踏むわけない」と思っている、、、。でも現実問題としてゴールドマンもモルスタもニュー・センチュリーの破綻ではチョー格好悪い窮地に追い込まれちゃった、、、。
今はこのクレジット・クライシスがどのくらいコンテージアス(伝染性が強い)か?ということを各社のリスク・マネージャーは固唾を呑んで見守っていると思うんです。
当然、新規の融資なんて降りなくなります。それから住宅市場に関係ないREIT(=商業不動産など)もファンディングがやりにくくなる筈。REITの成長は鈍化します。不動産価格は再度下落しはじめます。本当の修羅場はこれらの不動産物件の物件価値がローンのフェイス・ヴァリューを割り込んだときに到来すると思うんです。
今起こっていることは序の口です。
◆もうひとつのエンジンが止まるとき 3月26日 いちカイにヤリ
http://www.doblog.com/weblog/myblog/31550/2619887#2619887
米国経済を需要という観点から考える際:
1.企業
2.消費者
という2つの巨大な需要の発生源(ポッド)があるという風に捉えることができると思います。これは例えばボーイング737についている2基のエンジンをイメージして頂けるとわかりやすいと思います。最近の状況としては企業のエンジンの方は70%程度の出力しか出していない状況が続いています。これは前回の景気拡大サイクル(それはドットコム・バブルのときでしたが)では企業が過剰投資し過ぎて最後痛い目に遭ったので今回はエンジンを絞り気味にしているからです。
一方、ドットコム株が軒並み暴落し企業家のマインドが萎縮する中で米国経済を牽引したのは消費者でした。消費者はFEDが金利を低く誘導したおかげで住宅価格が上昇し、その含みをキャッシングすることで高水準の消費を維持できたわけです。ジェット機のエンジンに喩えるとオーバー・ドライブをかけて120%くらいの出力をキープしてきたと思ってください。
さて、最近、米国の住宅ローンの市場がおかしくなっています。これが何を意味するか?というと120%の出力で酷使してきた2番目のエンジンが「突然火を噴いた」ような状況なわけです。
副操縦士:「機長、2番エンジンから発火しました!」
機長:「ムムッ。それじゃちょっとエンジンを絞って様子を見てみろ。」
フライト・エンジニア:「2番エンジンはまだ作動するにはしていますが、、、」
機長:「よろしい。しかしムリは出来んな。」
問題なのは経済の牽引役だった消費者のバランスシートは相当ストレッチ(つまり負債が多すぎ)されているということです。なるほど企業のバランスシートは至って健全ですけど、こちらの方は経営者のマインドがしめっぽいので今後も牽引役に踊り出ることはないでしょう。
上記のような状況では米国経済のモメンタムは今後スローダウンは免れないと思われます。従ってFEDの金利政策はこれからは緩和基調となるでしょう。金融緩和する意味はノッキングしそうになる景気に対してセイフティー・マージン(もしものときの備え)を提供するところにあります。(後略)
(私のコメント)
アメリカの2000年のITバブルの崩壊の後、グリースパンFRB議長はFF金利を一気に1%台にまで下げて景気のソフトランディングをはかった。6,5%から1%まで下げたのだから驚く。それに比べると日本の日銀総裁の金融コントロールは後手後手に回り、バブルをハードランディングさせてしまった。
三重野総裁などは株式には関心がないことを売りものにしていたほどだ。株式こそ景気の先行指標であり、日銀総裁は株式の動向を注意深く見ていなければならない。さらには地価の動向も景気の指標でもあり、大都市を中心に上げはじめた。しかし全国の地方の地価はまだ下げ続けている。
日本が6年間ものゼロ金利政策が続いたのは地価が下げ続けてデフレ状態が続いているからですが、大都市の地価が上げ始めたから短期金利もそろそろ上げ始めて様子を見るべきだろう。しかしまだデフレ状態は続いている。株価も世界同時株安などがあり目が離せない。
日本の景気も最悪の状況は脱して景気は回復し始めたが、アメリカや中国のバブル景気に引っ張られた影響もある。だからアメリカや中国の景気動向も注目してみていかないといけない。
アメリカは2000年のITバブル崩壊の後もグリーンスパンの見事な金利操作で住宅需要などを喚起して好景気を続けることが出来た。ITバブルの場合は株式のバブルでしたが、住宅バブルの場合は日本のバブルとよく似ている。多くの人が自宅などを担保に金を借りて不動産や株に投資している。
ところがサブプライムローンなどの焦げ付きが増え始めて不動産市況も暴落の兆しがある。バーナンキFRB議長は金利を下げて住宅市況の下支えをしなければならないが、グリーンスパンの時のような大胆な金利操作ができるだろうか?
しかしアメリカに資金を供給してきた日本やEUが金利を上げて引き締めはじめているから、アメリカが金利を下げるとアメリカから資金が出て行ってしまうだろう。不動産バブルの場合、焦げ付きが出始めると銀行も貸し出しを締め始めるから金利を下げても効果は無いかもしれない。
いずれにしろアメリカの国民も財産を使い果たしてすっからかんの状態であり、これ以上消費を続けさせる事は難しい。住宅で金が借りられなくなってカードローンで金を使っていることは以前に書きましたが、カードローンは高金利だから家計がパンクするのは時間の問題だ。
「いちカイにヤリ」のブログでも指摘していますが、アメリカではディリパティブがどのようになっているか関係者も皆目分からず、3000兆円もの爆弾を抱えている。REITのような証券がどのように仕組まれているのか、高度な数学的計算で仕組まれているから当事者でないと分からないのだ。
株式にしても、たとえ0,25%の利上げでも、リスクプレミアムなどで何倍にも運用されているからファンドなどの影響は大きい。最近ではオイルマネーがアメリカに供給されていますが、イラン攻撃があればオイルマネーはアメリカから資産凍結を恐れて一斉に持ち出すだろうからドルの暴落が起きる。
だからアメリカのイラン攻撃はアメリカの自殺行為なのですが、中東の湾岸諸国もユーロでの石油取引などの動きが見られる。アメリカのイラク攻撃はドルの基軸通貨体制を守る為のものだと言われていますが、すでにドル離れは世界的に起きてきてしまっている。これではイラン攻撃しても何の効果も無い。
アメリカは一番エンジンがクラッシュして二番エンジンで飛んでいる飛行機のようなものですが二番エンジンも火を噴き始めた。エンジンの出力を落としたいところですが落とせば飛行機が墜落してしまう。このままでは高度が落ちていってワールドトレードセンターに激突するかもしれない。