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http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20070322/121555/
環境意識の高まりや巷のハイブリッド人気を考えると、ハイブリッド車を売るのは簡単だと思うだろう。実は違う。昨年好調だったハイブリッド車の販売は今年に入って減速。エドマンズ・ドット・コムによれば、自動車販売全体に占める割合は昨年10月の2.1%から今や1.8%に下がった。
理由の1つは従来車より3000ドル以上高いハイブリッド車の値段にある。このため自動車メーカーはここ数週間、値下げに踏み切っている。数カ月前、トヨタディーラーは「プリウス」を正規価格で売れた。今ならすぐに月219ドルでリースできる。
販売奨励金が3倍に
フォード・モーターは「エスケープ・ハイブリッド」の最新モデルを値下げしている。実際、この2月、自動車各社は平均でハイブリッド車1台当たり1500ドルの販売奨励金を(販社に)積んだ(エドマンズ調べ)。1月の3倍の額だ。
インセンティブの大盤振る舞いは利益を上げる方法ではないし、折しもハイブリッド車の販売が鈍り始める時に、メーカー各社は新モデルを続々投入する。今後20カ月以内に少なくとも30種のハイブリッド車が市場にデビューする見通しだ(現在は12車種)。
「ハイブリッド車を新し物好きに売り込んだ各社は大衆市場を狙う気だ」とエドマンズのジェシー・トプラク氏。「だが多くの消費者の答えはノーだ」。
数年前、自動車メーカーはハイブリッド技術を普通のモデルに搭載することにした。マニア受けするプリウスではなく、その他大勢の人を取り込もうとしたのだ。ハイブリッドは言うならばカーナビのようなオプション。多くの人々がハイブリッド車を買えば、従来モデルの価格より割高な分を打ち消すだけの規模の経済を達成できるとメーカーは目論んだ。
だが、そうはならなかった。2006年、ホンダの「アコード・ハイブリッド」の販売は70%減少。トヨタの「レクサスRX 400h」は今年に入って販売が24%減った。ガソリン代が多少浮いても購入価格の割高分は相殺できない。ガソリン代が1ガロン2.5ドルとすると、アコード・ハイブリッドの割高分3000ドルの元を取るのに10年かかるのだ。
ホンダとトヨタは2面作戦を取る。ハイブリッド技術を従来モデルに搭載する一方、プリウスのように斬新なハイブリッド車種を開発することだ。トヨタはレクサスの新車、ホンダはサブコンパクトカーを検討している。
長期的には値引きでなく価格自体を下げることが解決策となる。ハイブリッド車の割高分の半分はバッテリー代だが、安いリチウムイオン電池は数年は出てこない。結局、コスト削減にはハイブリッド車を量産、量販するしかない。それがトヨタの戦略で、同社は今年16万台のプリウスを売ろうとしている(2006年実績は10万7000台)。
燃費基準の厳格化も逆風
ハイブリッド車の販売拡大には巧妙なマーケティングも必要だ。特に今秋からは米政府がより正確な燃費基準を業界に要求してくるからだ。プリウスの燃費は55mpg*1から46mpgに下方修正されるだろう。トヨタとフォードは広告キャンペーンを計画しており、ハイブリッド車の値引きも続きそうだ。
ただ、目を凝らすと、自動車メーカー各社が賭けを分散していることが分かる。トヨタはディーゼル市場を開拓している。新しいアコード・ハイブリッドを生産するかどうか不透明なホンダもしかり。ホンダの北米企画チーフのダン・ボナウィッツ氏の次の言葉は業界を代表する声だろう。「石油ショックがない限り、ハイブリッド車の販売急増はない」。
*1=mpgは、ガソリン1ガロン当たりの走行マイル
David Welch
(BusinessWeek,(C) 2007 Mar.19,McGraw-Hill,Inc.)