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米国への資金還流が、年々、サステナブルでなくなってきた。
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投稿者 TORA 日時 2007 年 3 月 18 日 15:51:56: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu140.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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米国への資金還流が、年々、サステナブル(維持可能)でなくな
ってきた。2007年にはそれが順次、露わになるでしょう。

2007年3月18日 日曜日

◆灰色の火曜日:世界バブルの変化の予兆 3月12日 ビジネス知識源
http://blog.mag2.com/m/log/0000048497/

(前略)
【キャリートレード】
特に資金量が多い日本の長期金利は、世界最低に1.6%と低い。キャリートレード(金利の低い円で借り、他国の債券・株・資源・不動産に投機すること)が起こる理由です。

【日本の事情】
じゃ、日本は、世界経済の投機と過剰投資を抑制するために、金利を3%や4%に上げることができるか。

◎それは不可能です。日本は政府部門が1000兆円の借入金を抱える経済です。長期金利が上昇すれば、今も30兆円の赤字の政府部門財政は、40兆円、50兆の赤字に向かうからです。たった1%の金利上昇が、10兆円の利払いの増加を意味します。

日本の約10年間の低金利(または短期ゼロ金利)が、世界のバブルを生んだ原因とも言っていい。日本の低利資金は海外流出してきたからです。

◎この日本が、06年3月から、量的緩和を停止し、利上げに入った。このことの意味は大きい。07年以降の、世界の金利を上昇させる要因になります。

◎日本の低金利と金融緩和は、数年かかって、海外にバブルを生みました。それと逆の、量的緩和の停止と利上げは、今年から、世界のバブル相場に(確実に)打撃を与えます。

【米国の事情】
米国は、住宅価格の崩落が起こると、住宅金融(ホーム・エクイティ・ローン)を使った消費経済が深刻なダメージを受けます。

◎米国は住宅の値上がり分を現金化して借り、それで店頭での購買を増やしているからです。そのため今の金利を上げることはできない。しかし、他国と金利差を作って、他国より金利を高く保ち、1年で100兆円分の債券買いを誘導しなければならない。これが、米国がもつ矛盾です。

世界経済の約40%を占める日米の利上げには、国内経済の状況から、限界があります。日本の政府が、日銀の利上げに反対し、米国も反対する理由がこれです。

【中国も利上げが困難】
中国は、金融規制を強化はしても、やはり3.1%の金利を目立っては上げることができない。中国は、人民元への世界からの投機を押さえため、金利を低く保ちます。

◎中国政府にとってもっとも怖いのは、人民元の切り上げです。理由は、中国の経済の35%は輸出であり、この輸出は、対米ドルで人民元が上がると、急減するからです。

そのため中国政府は、世界最大に貿易黒字分(年間約20兆円)で、ドル債券買いをしています。これが、米国が金利を低く保てている条件です。

▼矛盾

(1)2007年の世界経済は名目で7%(315兆円分)の高い成長が見込まれていいます。

(2)しかし、世界経済のメインプレーヤーである日米中が、それぞれの事情(日本は政府債務、米国は住宅価格、中国は人民元相場)で、利上げができない。

以上の事情の中で、PERの高い株価、言い換えれば、予想純益を割く金利とリスクプレミアムが低いままに、株価が形成されています。06年の世界の株価の平均上昇は19%でした。中国に限れば187%。欧州は31%です。

◎株価の理論値=[(企業の予想純益)÷(1+期待金利+リスクプレミアム)]の各年度合計

繰り返しになりますが、PERが20倍なら、将来の予想純益を割引く[1+期待金利+リスクプレミアム]は、わずか1.05に過ぎないのです。この期待金利+リスクプレミアムが、8%に増加するなら、理論株価は46%も下げるのは、前述した通りです。

以下で、期待純益、PER、[期待金利+リスクプレミアム]、理論株価(時価総額)の関係を示します

期待純益  PER [期待金利+リスクプレミアム] 理論株価
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
100億円  30倍     3.3%          3000億円                  
100億円  25倍     4.0%  2500億円 
100億円  20倍     4.5%          2000億円
100億円  15倍     6.7%          1500億円
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

PERも株価の乗数金融と言えます。期待純益×PER倍率が理論株価になるからです。このPERは、市場の期待金利とリスクプレミアムの変化で大きく変わります。3.3%ならPER30倍。4.5%なら20倍、6.7%なら15倍です。

日本、中国、米国は、それぞれ前述した理由から、自発的な利上げには、困難な事情があります。この3国は大きくは金利を上げません。じゃ、どこから金利が上がる可能性があるのか? 

◎実は「ドル安調整」です。米ドルの下落です。

■7.米ドル債券を買っている国に変化が起こっている

以下は、直近の12ヶ月間の、世界の資金還流構造です。大きな変化が起こっています。マイナスは資金の純流入(海外からの債券の購入超過)を示します。プラスは、逆に資金の純流失、つまりその国からの海外債券(70%以上は米ドル債)の購入超過を示します。

以下のように、米国は、世界に1年で8800億ドルの債券を売り、資金調達しなければならない。米国は、自国では必要な資金を調達できていない経済です。赤字金額は、戦争費(総軍事費60兆円:日本の12倍:中国の6倍:ロシアの20倍)のため、年々増えています。

       資金流入・流出(原因)
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【資金の流入国:対外債務の増加】
米国     −8800億ドル(貿易赤字:海外からのドル買い)
英国     − 690億ドル(アラブ諸国のシティでの運用)
ユーロ諸国  − 200億ドル(産油国と中国のユーロ買い)

【資金の流出国:対外債権の増加】
中国     +1790億ドル(香港を含む:貿易黒字マネー)
日本     +1700億ドル(貿易黒字と外債投信)
スイス    +1060億ドル(オイルマネーの仲介)
ロシア    + 960億ドル(オイル+天然ガスマネー)
サウジアラビア+ 900億ドル(オイルマネー:05年)
マレーシア  + 220億ドル(貿易黒字マネー)
シンガポール + 360億ドル(運用マネー)
ベネズエラ  + 270億ドル(オイルマネー)
台湾     + 250億ドル(貿易黒字マネー)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(英エコノミスト誌)

米国は、年間8800億ドル(約100兆円)、海外からの米国債券買いの超過が必要な経済です。言うまでもなく、貿易赤字のためです。

◎以前の認識では、貿易黒字国の日本と中国がドル債券を買い、資金を米国に還流させて「米ドル基軸通貨体制」を支えているということでした。しかし、直近の1年では、日中の資金の純流出は合計で3490億ドル(約40兆円:米国の必要額の40%)に過ぎない。

米国に還流するマネーとして大きく浮上したのが、産油国マネーです。スイス、ロシア、サウジアラビア、ベネズエラの対外債権の購入増加は合計で3190億ドル(32兆円:米国の必要額の32%)です。

◎原油価格の高騰のため、50%の原油を輸入する米国の赤字も大きくなって、産油国からのドル買いに依存するようになったのが、米国です。これが「新しい現実」です。産油国からのドル買いが継続するかどうか、米国経済の帰趨は、ここにかかっています。

(注)スイスは、プライベートバンクが中東のマネーを集め、主に米国の債券で運用しています。

日本は、米ドルにもっとも忠実な国でした。ドルが下がり、為替差損を蒙っても、ドルを買い続けています。過去は政府、今は投資信託を通じ、高齢者の個人マネーが米ドル債券を買っています。

▼07年は「ドル安トレンド」を予測する

◎07年は、ドル安傾向が強くなります。米国が金利を上げることができず、日本とユーロは利上げ傾向に変っているからです。従って、ドル債の購入を誘っていた金利差が縮小します。

安くなる通貨を「ドルを守るため」と、産油国であるロシア、サウジアラビア、スイス(運用の仲介)、ベネズエラが買い続けるかどうか? 

生活財を作る製造業が空洞化してしまい、必需品の生産力を失った米国の貿易赤字は、構造的であり容易には縮小しません。そうすると、世界がドル買いを続けるかどうか、ここが焦点になります。

◎米国への資金還流が、年々、サステナブル(維持可能)でなくなってきた。2007年にはそれが順次、露わになるでしょう。

プーチンのロシアは、反米の姿勢を強めています。サウジアラビアは、過去は米国に忠実でした。しかしイラク戦争を通じ、米国依存の姿勢を変えつつあるという重大な変化が見えます。今、中東全域は、反米に傾斜しています。理由は、米国が「中東の民主化」を標榜しているからです。

例えばサウジで民主化なら、それは王族を追放する政体革命を意味します。他の首長国も、同じです。ベネズエラ(チャベス政権)の反米は、言うまでもありません。

もし産油国が「為替差損が予測されるから」という理由で、ドル債券の買いを減らし、手持ちのドル債券を売るように転じればどうなるか。(代わりに買われるのは、ユーロでしょう)

世界の政府や中央銀行が持つ外貨準備(約$3兆:350兆円)の60%は、米ドル債券です。貿易黒字が貯まった外貨準備は、国有財産です。為替の差損で国の財産を減せば国民から非難されます。日本は、米ドルとの関係では特殊であり、これは世界に共通ではない。

▼ドル安と米国の金利上昇

◎海外が保有する米国の債券が売られれば、米国の金利はFRB(議長バーナンキ)が望まなくても、上昇します。

◎現在の米国の長期金利(4.6%)は、海外からドル債券が1年に100兆円分も買い越しされているという条件で、成立しています。為替差損を嫌い、米国債券買いの世界の潮流に変化が起これば、米国の長期金利は急上昇します。金利は、資金の需給関係で決まります。

◎その結果は[期待金利+リスクプレミアム]の上昇、つまりPERの低下です。米国の株価が、新たな金利とドル価格に向かって、下落調整することを意味します。そして、噂されるイラン開戦を起こせば、ドルは自滅します。
(注)イラン開戦の可能性は、今のところは高くないと見ています。

▼結論

以上、本稿では、以下の予測に基づき、世界の株価の下落調整を予測します。

(1)日銀は量的緩和を停止し、順次0.25%の調整利上げに入った。これは世界のヘッジ・ファンドのキャリートレードを縮小させ、投機資金の量を縮小させる。ヘッジ・ファンドの資金量は減る。

(2)産油国で、米ドルの忌避が起こりつつある。そのためドル安と米国の長期金利の上昇(=米国債券売り)が予測される。

(3)マーケットの[期待金利+リスクプレミアム]が上がって、PER20倍の水準以上になった世界の株価の、価格調整が起こる可能性が高まっている。

see you soon!

【後記】
価格崩壊は、市場が楽観している極に、ある日突然、大規模な空売りから起こることを意識しておいてください。


(私のコメント)
先週は従軍慰安婦問題で株式日記もかかりきりになりましたが、ロスアンゼルスタイムズの記事を紹介しましたが、欧米の新聞記者もずいぶん落ちたものだと思います。日本の新聞記者もそうなのですが、自分達だけが情報の送り手といまだに思い込んでいる。だからろくに裏も取らずにセンセーショナルな記事を書きたてる。

しかし読者達は新聞ではなくネットから情報を得るようになって新聞を信用しないようになって来た。だからデタラメな新聞記事を書きたてれば誰も記事を読まなくなる。日本語も読めない外人記者ではニューヨークタイムスのオオニシ記者の記事をアレンジして書いていることがよく分かる。ネットで調べれば簡単に分かる事を日本語が読めないから英字新聞の記事をそのまま転載してしまう。

アメリカがすべてを仕切って世界を動かしていた頃は英語情報だけで間に合っていたのでしょうが、中国などの大国化で外人記者も中国に行っているようですが漢字が読めないから英字新聞任せの取材になってしまう。だから中国情報に関する限り漢字の読める日本人記者の方がアドバンテージがある。

中国から始まった世界同時株安も欧米の投資ファンドは中国の事をどれだけ知って投資をしているのだろうか? 日本の事をあれだけデタラメを書きたてるのだから中国に対しても同じだろう。中国の経済的、軍事的存在感が増してくるにつれて英語だけの情報では中国の事が分からなくなり、香港やシンガポールなどの中国情報では偏ってしまう。

上海などの株や債権や不動産の情報も魑魅魍魎の世界であり、海外からの投資はみな中国の大地に吸い込まれて行く。欧米のファンドは日本や東南アジアに対しては強引なグローバルスタンダードを押し付けてきたのに対して、中国は外国からの要求には屈しない。日本はその点を見習うべきだった。

中国が頑強に元の切り上げに抵抗するのも日本の失敗を見ているからですが、中国製品の国際競争力が高くならない事も影響している。しかし黒字は貯まっていくから為替介入で中国はインフレがひどくなり金利を引き上げて引き締めなければなりませんが元高を招くから引け上げられない。日本も国債の発行残高が多くて引き上げられないし、アメリカも不動産バブルの関係で引き上げられない。

しかし日本の0,25%の引き上げとECBの0,25%に金利の引き上げは、世界の金融に大きな影響をこれからもたらして来るだろう。わずか0,25%の引き上げでも欧米のファンドは目一杯レバレッジを利かせているから僅かな利上げでもリスクプレミアムは大きく縮小してしまう。日本のゼロ金利の資金は大きなリスクプレミアムで勝負できるからそれだけ影響も大きい。

日欧の金利の引き上げはアメリカの資金流入に変調をきたす可能性が出てきた。アメリカには毎年100兆円の資金流入がないと金利が跳ね上がり株価が暴落してしまう可能性がある。今までは日本と中国が資金を還流させていましたが、後は産油国からのマネー流入ですが、イラク戦争で反米感情が高まっている。

もしアメリカがイラン攻撃に踏み切れば、中東の産油国はアメリカの資産没収を恐れてドルや米国債を売ってユーロに移すだろう。だからアメリカのイラン攻撃はアメリカの自殺行為なのだ。イラク戦争にしても毎月1兆円の軍事費を使いブッシュは戦力の逐次投入で戦費はかさむ一方だ。このような状況ではドルや株の暴落は時間の問題だ。

先週の世界同時株安はその予兆のようなものですが、日欧が金利を引き上げた以上金利差を少なくする利下げは出来ず、ドルを高く保つ為に利上げをしたくともサブプライムローン破綻などの影響でそれも出来ない。このようにアメリカを見れば政治的にも経済的にも絶体絶命の崖っぷちにいる事がよく分かる。

90年代のアメリカは日本を円高で締め上げて金利を下げさせてドルを還流させてきた。しかし現在は中国が相手だから元高で締め上げるわけに行かない。いずれアメリカは中国は日本のようなわけには行かない事を思い知るだろう。日本に対してはあれほど内需拡大しろと言ってきたのに中国に対してはアメリカは及び腰だ。

中国も外資の導入を進めなければ経済が行き詰まることを知っている。しかし労働者の賃上げをして元高にして購買力をつけて内需拡大すべき時に来ているのですが、そんなことをすれば外資は逃げ出すだろう。だから中国も問題を抱えており08年のオリンピック前に問題は表面化する。

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