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三角合併 賛否判断に追加情報
会社法施行 規則改正案
株主保護が課題
法務省は、外国企業などが自社株を対価に日本企業を買収できるようになる「三角合併」の5月解禁を前に会社法施行規則を改正し、合併される企業の株主に対する合併側企業の情報開示の範囲を拡大することを決めた。株主に、合併への賛否の判断をしやすくする狙いだ。ただ、現在の改正案ではなお、株主保護の措置が不十分との声もある。海外からの買収攻勢を懸念する日本経団連は合併要件の厳格化を求める姿勢を崩していない。(豊田千秋)
■株価や経営情報も
三角合併では、外国企業(海外親会社)が日本の子会社と日本企業を合併させ、合併の対価として、日本企業の株主に、海外親会社の株式を交付するケースなどが想定されている。
こうしたケースについて改正案では、日本企業が株主に対し、海外親会社の株式の株価、損益計算書や監査報告などについて、日本語で説明するよう義務づけた。株主は合併相手の経営状況が分かりやすくなる。
また、外国企業の子会社が日本企業にTOB(株式公開買い付け)をかけて大半の株式を取得すれば、株主総会では容易に合併が承認され、合併条件などで少数株主が不利になる可能性もある。このため改正案は「少数株主を保護するために合併条件について追加的な開示を行う」との規定も盛り込み、少数株主が合併前に、市場で株を手放すなどの判断ができるようにした。
■提供の努力必要
ただ、合併先の親会社が非上場の場合は、こうした規定が効果を持たない。例えば、海外の非上場の投資ファンドが日本法人を設置し、日本企業の合併や買収を行う場合、日本企業の株主は、価値が分かりにくい非上場株式を受け取ることになる。経済産業省は、「非上場株式を受け取りたくない株主は株主総会で合併に反対できる。合併前に株式を市場で売却したり、買い取り請求権を使って企業に買い取らせることもできる」(経済産業政策局)としているが、株主保護の点で問題との指摘もある。
また、情報開示は株主総会の2週間前までに送付される招集通知などに記載されるが、特に外資企業が合併相手の場合、時間が足りず、十分な検討が出来ないとの声も出ている。経営陣が合併に合意した時点で、相手側企業に関する詳細な情報を提供するなどの努力が求められそうだ。
■事業実績がカギ
一方、昨年末に与党が決定した2007年度税制改正大綱では、三角合併で合併する会社同士に事業の関連性がある場合に限り、消滅会社の株主に対して、存続会社の親会社の株式を交付する際、株式譲渡益に対する課税繰り延べを認めることにした。
海外企業が日本企業を合併するために名目だけのペーパーカンパニーを日本に設立しても、事業実績がないため、株主への課税繰り延べが認められない見通しだ。株主が株主総会で合併を承認しないケースも出てくると見られている。
■厳格化求める
昨年5月に施行された会社法で三角合併は、株主総会に議決権で過半数の株主が出席した上で3分の2以上の賛成を必要とする「特別決議」によって承認されることになった。これに対し、日本経団連は、承認の要件をより厳しくした「特殊決議」(議決権を持つ株主数で半数以上、かつ議決権で3分の2以上の賛成で承認)の導入を求めていた。
政府・自民党はすでに、経団連の主張を認めない決定をしているが、経団連側は承服しておらず、「特殊決議と特別決議の中間的な決議事項を会社法の改正で作ってもらうよう要求していく」(阿部泰久・経済第2本部長)としている。自民党も、5月に三角合併が解禁されて以降、問題点が明確になれば見直す考えを示している。
関連特集M&Aと企業防衛
(2007年3月16日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20070316mh12.htm