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3月10日付・読売社説(2)
[欧州中銀利上げ]「世界株安の余波をどう乗り切る」
「中国発の世界同時株安」の余波が続く中で、欧州中央銀行(ECB)が追加利上げに踏み切った。株価や為替相場に及ぼす影響を見極めたい。
ECBは、政策金利を0・25%上げて、年3・75%とした。利上げは昨年12月以来、3か月ぶりだ。2005年12月から7回連続になる。
ユーロ圏経済は、06年に実質で2・7%成長を記録し、好景気が続く。堅調なドイツ経済がエンジン役だ。一方、今年2月の消費者物価指数の伸び率は、前年同月比1・8%だった。ECBが目指す「2%弱の物価安定圏」には収まる。
だが、景気拡大とともに、賃金などの物価の上昇圧力が高まっている。ECBは、追加利上げで、インフレへの強い警戒感を示したといえる。
ECBは2〜3か月おきに利上げしてきた。トリシェ総裁は記者会見で、なお利上げの余地があることを示唆した。しかし、市場には、利上げの打ち止めは近いとの見方が強い。次の利上げ判断は、物価の動向がカギを握る。
気がかりなのは、今回の利上げを受けて、世界の株式市場が再び、不安定な状態に戻らないかどうかということだ。
世界同時株安の後、主要国の株価はしばらく連鎖的に下落したが、東京市場などでは復調の兆しもある。だが、株価下落に歯止めがかかったかは不明だ。
そんなリスクが残る中でのECBの金融引き締めだ。これが欧州の景気減速や世界経済への悪影響を連想させると、株価回復に冷や水を浴びせかねない。
米国経済は、住宅投資の変調などから先行き懸念が再燃している。中国の過熱経済の是正も、相変わらず進まない。
世界経済は基本的に堅調とされ、「株安は一過性の動き」との見方が強いが、日米欧などの政策当局は、株価や世界経済の推移を警戒していることだろう。
為替相場の乱高下にも注意したい。市場では、低金利の円を調達して高金利の外貨で運用する「円キャリー取引」が縮小して、円が買い戻され、円相場は対ドル、対ユーロで上昇している。
欧州利上げを受けて、やや一服したユーロ高が、再加速する気配がある。次の利上げは遠のいたと市場が判断すれば、逆に、ユーロ安・円高の要因となる。
だが、過度に円高に反転し、日本の輸出企業の業績が悪化すれば、デフレからの完全脱却のシナリオも狂う。米国は、ドルの信認低下につながる急激なドル安を回避したいはずだ。
世界の株価と為替相場は、まだ調整局面にある。安定するまでには、しばらく時間が必要なのだろう。
(2007年3月10日1時36分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070309ig91.htm