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日銀審議委員2氏内定 追加利上げ どう影響 【読売新聞】
政策の持論 未知数
日本銀行の新しい審議委員に、三菱商事副社長の亀崎英敏氏(63)と、商船三井フェリー社長の中村清次氏(64)の2人が内定し、金融政策を決める日銀政策委員会の4月以降の陣容が固まった。ただ、市場では新メンバーがどのような政策判断を下すのか未知数との見方が多い。今後の日銀の利上げにどう影響するのか、注目が集まっている。
◆「無難な人選」
新たに審議委員に就任する2人は、4月4日で任期が切れる産業界出身の福間年勝氏(元三井物産副社長)と、春英彦氏(元東京電力副社長)の後任で、国会の同意を得て就任する。
追加利上げを見送った1月の金融政策決定会合では、6人の審議委員の賛否が3対3の真っ二つに割れている。新委員2人の意向が、今後の政策変更に大きな影響を与える可能性もある。
亀崎氏は海外でのビジネス経験が長く、米国だけでなく、東欧やロシアなどの事情にも詳しいという。一方の中村氏は、親会社である商船三井で財務、企画を中心に担当し、企業財務に精通している。海外の人脈も豊富という。
今回は、安倍政権として初めての審議委員人事だったため、「上げ潮政策に合う人を選ぶのではないか」などの憶測もあったが、市場では「無難な人選に落ち着いたのではないか」(東短リサーチの加藤出氏)との声が出ている。
ただ、亀崎、中村両氏とも市場ではあまり知られた存在ではない。現時点では経済・金融政策でどのような持論を持っているかは未知数といえる。
◆慣例踏襲
旧日銀法の政策委員会は7人で、日銀総裁に加えて、旧大蔵省、旧経済企画庁、大手銀行、地方銀行の代表者が選ばれた。あとは、商工業と農業に精通した識者を選ぶことが法律で規定され、主に旧通産省や農水省のOBが就くケースが多かった。
1998年に施行された現行の日銀法では、民間など幅広い分野からの人選が可能になった。財務省や日銀が候補者を探し、首相官邸が最終的に政府の人事案を決めているとされる。ただ98年以降、産業界2人、金融界2人、学者2人という構成は変わらず、今回も「慣例」が踏襲された。
クレディ・スイス証券の白川浩道氏は「前例踏襲は意味がない。求められているのは市場と対話ができる人。今は金融政策のプロが少なく、どうしても福井総裁や日銀の事務方の主導で決まる」と批判する。
◆投票
決定会合の議案に対する投票には、委員の個性が出る。例えば4月で任期が切れる福間氏と春氏は対照的だ。
春氏は、金融政策に関する福井総裁の提案に反対したケースはゼロだ。一方、福間氏は計16回も総裁提案に反対票を投じた。ほぼ4回に1回は反対した計算だ。
前回2月の金融政策決定会合では、利上げするとした福井総裁の提案に、執行部の一員である岩田一政副総裁が反対する異例の事態も起きた。
市場関係者からは新委員2人について「当面は執行部提案に賛成する無難な投票行動になるのではないか」との見方がある一方で、新たな視点で政策委員会の議論を活性化させることを期待する声も多い。
◆海外では
米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)など、欧米の中央銀行などで金融政策決定に加わるメンバーは、中央銀行や学者、エコノミストなど金融・経済に精通したプロの出身者で固められている。
金融政策を決めるFRBの連邦公開市場委員会(FOMC)で決定権があるのは、ベン・バーナンキ議長ら執行部7人とニューヨーク連銀総裁、4人の地区連銀総裁の計12人だ。ECBは、ジャンクロード・トリシェ総裁ら執行部6人のほか、ドイツ連銀など13人の各国中央銀行総裁の計19人にのぼる。
産業界代表など、金融政策とは縁が薄いメンバーもいる日銀政策委員会は、欧米から見れば、やや異質な存在と言えそうだ。
日銀政策委員会
日銀の最高意思決定機関。正副総裁3人と、外部の学識者や経済人などから選ばれる6人の審議委員で構成される。月に1〜2回開かれる日銀の金融政策決定会合で、利上げなど金融政策変更について、委員9人の多数決で決める。
(2007年3月8日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20070308mh06.htm