★阿修羅♪ > 国家破産49 > 344.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
マグロだけじゃない海洋資源の危機
温暖化で海が酸性化している
日本人のマグロ好きは世界的に有名だ。日本人は世界で獲れるマグロの3分の1を、主に刺身として消費している。
ところが近年、欧米や急激な経済成長を遂げる中国でマグロの需要が増加した。狂牛病や鳥インフルエンザなどで肉の需要は減少したが、健康食ブームとも相まって魚料理や刺身文化に注目が集まっているからだ。
その結果世界中の海でマグロは乱獲され、このままでは深刻な資源危機に陥る危険性がある。危機感を持った世界のマグロ資源管理機関が一堂に会し、1月22日から神戸で合同会議を開催した。会議の席上、国連食糧農業機関(FAO)の担当者は、「このままだと資源は壊滅的な状況になり、漁獲は減少することになる」と懸念を表明した。
しかし、危機に晒されている海洋資源はマグロだけではない。昨年5月、ドイツ連邦政府地球気候変動諮問委員会(WBGU)は『将来の海洋、温暖化、上昇化、酸性化』と題した特別レポートを発表した。WBGUはこのレポートで、このままでは今世紀中に前例のないほど海洋の酸性化が進み、海中の食物連鎖、生態系において重要な役割を果たしているサンゴなどの石灰化生物は絶滅の危機に瀕すると警告している。
現在、大気中のCO2濃度は産業革命前より36%上昇し、382ppmとなった。CO2の約3分の1は、海洋に吸収されている。その結果海水のpHは、産業革命前と比較して0・1、つまり30%も酸性化しているのだ。
既に海水温の上昇により、世界中でサンゴ礁の白化現象が起きている。これに酸性化が加われば、海洋生態系を根底で支えているサンゴや、骨格や殻が炭酸カルシウムで形成されている海洋生物は死滅に向かう。
そうなれば、マグロをはじめ食物連鎖の上位にある他の漁業資源が激減していくことは避けられない。
国土も狭く、資源も乏しい日本にとって、漁業資源は貴重な宝だ。島国日本は、世界第6位の大きさの排他的経済水域を持っている。ところが日本の漁獲高は、ピークだった1984年の半分にまで激減している。
こうした足元の現実を無視して、ジャパン・マネーで世界中からマグロを買い漁っているのだ。しかし中国には、日本の総人口に匹敵する数の億万長者が生まれている。マネー勝負では勝てないだろう。
マグロなどの高級魚が食べられなくなるのは口寂しいが、それを嘆く暇があるなら、もっと深刻な海洋資源そのものの危機を直視し、国内漁業の育成をこそ目指すべきだ。
魚好きの日本人は、動物性タンパク質のほぼ半分を魚介類から摂取している。このままでは、秋刀魚や鰯などの大衆魚すら食卓に上らなくなってしまう。
http://www.bund.org/editorial/20070205-1.htm