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請負会社に雇われてキヤノンの工場で7年近く働いている宇都宮市の大野秀之さん(32)が22日、衆議院予算委員会の公聴会で、職場の「偽装請負」について意見を述べる。キヤノンからは偽装請負を否定され、行政に是正を求めている。請負、派遣、パートなど非正規雇用の労働者の気持ちを国会で代弁するつもりだ。
大野さんは00年4月、宇都宮市清原工業団地のキヤノン工場で働き始めた。雇用主は請負会社だが、大野さんによれば、キヤノンの正社員に手ほどきを受け、超高精度のレンズを作ってきた。事実上キヤノンに派遣されたも同然の偽装請負状態だったという。
大野さんは当時、派遣を請負と偽る偽装請負のことを知らなかった。昨夏にその違法性を知り、10月、栃木労働局に実態を内部告発し、是正を求めた。12月には、キヤノンユニオン宇都宮支部を立ち上げ、支部長に就任した。
大野さんには、「世界一のレンズの製作に携わっている」との誇りがある。しかし、今の雇用形態だと、いつクビを切られるか分からない。「だから正社員になり、契約更新におびえずに、いいものづくりをしたい」
キヤノンはこれまで偽装請負を否定し、大野さんらとの団体交渉を拒否している。「請負会社と業務委託契約に基づき請負取引しているもので、貴組合員は請負会社の従業員として当該業務に従事しているにすぎない」
大野さんは、この言い分を聞き、悲しくなった。「キヤノンという会社が好きだし、ここで今後も働いていきたい」との思いを国会でぶつけようと考えている。