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□三洋、多額粉飾の疑い 1900億円の損失、過小評価 [朝日新聞]
http://www.asahi.com/business/update/0223/041.html
三洋、多額粉飾の疑い 1900億円の損失、過小評価
2007年02月23日06時19分
経営再建中の電機大手、三洋電機が、04年3月期決算(単体)で債務超過状態の子会社などで約1900億円の損失処理を検討しながら、実際には約500億円しか処理せずに済ませていたことが、朝日新聞の取材でわかった。適切に処理していれば損失は大きく膨らみ、当期黒字だった決算は赤字に転落していた可能性がある。証券取引等監視委員会は、多額の粉飾の疑いもあるとして調べを進めている模様だ。
関係者によると、子会社株の損失処理不足などは遅くとも06年3月期までには是正したという。しかし、その間は、投資家らに経営実態を正確に開示せずに決算を続けていた疑いがある。
朝日新聞が入手した内部資料などによると、三洋電機は03年9月時点で、半導体製造の岐阜三洋電子(現・三洋半導体製造)や液晶パネル製造の三洋エル・シー・ディエンジニアリング(06年2月に清算)など、業績不振の子会社・関連会社7社で計871億円の累積欠損金が生じていた。
三洋と監査を担当していた中央青山(現みすず)監査法人は、資本金による欠損の穴埋めなどが必要だと認識し、別の関連会社5社への投融資514億円なども含め、総額約1900億円の損失処理を検討したという。全額を単年度で処理する必要はなかったと見られるが、三洋は04年3月期決算で、12社以外の子会社・関連会社も含めた投融資での損失処理を計510億円しか行わなかった。
子会社の中には、債務超過が続いていたのにきちんと株式の評価減をせず、三洋本体に計上された子会社株の簿価と子会社の実際の価値(純資産)との差が1社で100億円を超すところもあった。
会計基準は、子会社の将来の業績回復見通しが合理的に説明できる場合に限り、株式評価減の見送りを認めている。三洋は実現性に乏しい収益計画を示し、大半の子会社・関連会社の「業績は回復する」と主張。引当金を積むなどの措置を十分にとらず、中央青山の会計士もこの処理を容認。04年3月期決算の当期利益は単体で44億円の黒字となり、通期で1株6円を配当。04年9月中間期でも3円を配当した。
だが、子会社の多くはその後も業績を立て直せず、05年3月期に子会社株式の評価損だけで約450億円、06年3月期にはリストラ費用などを含めて約2000億円の損失計上を余儀なくされた。
また、04年3月期は連結でも134億円の当期黒字だったが、当時連結対象外ながら「重要」と認識していた不振関連会社で多額の累積欠損金を抱えていた模様だ。
04年3月期は、三洋の株価が300円台前半から500円台後半に上昇した時期と重なる。その後、業績悪化が表面化。06年3月には金融機関から約3000億円の増資を受け入れた影響もあって株価は低迷。06年3月期連結決算の売上高は2兆3970億円、当期損失は2056億円だった。
監視委は、三洋の決算に虚偽を確認すれば、訂正報告書の提出を促して説明を求める見込みだ。05年9月中間期以降の有価証券報告書に不正が見つかれば、05年12月に導入された課徴金制度に沿って金融庁が課徴金の納付を命じるとみられる。
朝日新聞の質問に対し、三洋電機は「減損処理基準に従い、関係会社の状況を厳格に判断し、適正に処理した」などと回答した。