★阿修羅♪ > 国家破産49 > 308.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu138.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
--------------------------------------------------------------------------------
3%の金利差があれば、日本のカネは米国へ向かう。
プラザ合意前後から、日米金利差はつねに3%。
2007年2月19日 月曜日
◆英中銀総裁、円安批判「理解に苦しむ」 2月15日 日本経済新聞
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20070215AT2M1500B15022007.html
イングランド銀行(英中銀)のキング総裁は14日の記者会見で、最近の円安傾向にドイツやフランスといった欧州諸国から批判が出ていることについて「日本に国内景気を弱める円高政策を求めるとは理解に苦しむ」と反論した。
総裁は先週末の7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議に出席。席上、独仏などが「円が安過ぎる」と主張したことに対し、総裁は過去10年、G7は日本に景気浮揚のため低金利を求め続けたと指摘。「日本に景気拡大を望む一方で(低金利の結果である)円安に文句を言うのはおかしい」と強調した。(ロンドン=吉田ありさ)(16:03)
◆「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 2月17日
http://www.melma.com/backnumber_45206_3551124/
日本円は30%も過小評価されている、と英誌『エコノミスト』米国車は不公平極まりない価格競争に曝されているが、日本も米国も認識不足
老舗『エコノミスト』誌は2月10日号で「日本円が不当に安い」と批判的な記事を掲載した。
いわく。
「ユーロに対して日本円の為替レートは30%も過小評価されている」。
このためEU製品は日本へ輸出できる環境にはない。また「米国の自動車は“円安”という有利な武器を背景とする日本車との価格競争で、不公平極まりない状態になった」とも書いた。
にもかかわらず2月10日からのG7で、円安問題は先送りされてしまった。
ポールソン米財務長官は就任以来、二回も北京にとんだが、日本にはまだである。彼の目は完全に中国を見ているからだ。
やっと三月に来日する予定で調整に入ったポールソン財務長官だが、米国連邦議会での証言でも「円安は深刻ではない」と立場を鮮明にして、自動車労働組合の圧力に揺れる議会からの批判を抑えている。
内実はどうなのか。
米国は財政赤字を補填するために、日本からの資金導入が必要なことは言うまでもないが、日本の外貨準備高9000億ドルのうち、7000億ドルが米国債の保有である。
理由は極め付きに単純明快。日米の金利差である。
(米国の政治圧力? それは二の次でしょ)
ちなみに前掲エコノミスト誌の最新データによれば、
日本の国債10年モノ標準金利 1・73%
米国の同上 4・74%
日米金利差は、絵に描いたように3・01%。
要するに3%の金利差があれば、日本のカネは米国へ向かう。プラザ合意前後から、日米金利差はつねに3%。
これが米国が日本の金を吸い上げる装置である。
水は高きから低きに流れるように金は金利の高い商品、債券、通貨に流れ込む。
それに逆らう投資家は殆どいないが、もし存在するとすれば、狂気の持ち主か、逆バリ専門家だろう。あの中国ですら外貨準備のおよそ、4000億ドルが米国債に投資されているように。
最近の日本勢は、18・58%もあるトルコ国債や5・8%の豪州国債、同様なレートのニュージーランド国債へもむかっているものの、少額である。
▼国民の大半は物価上昇トレンドを知覚していない
問題はなにか?
日本が金利を上げなかったから「円安」が続くのである。日銀の専管事項である金利の決定を、背後から自民党と官僚どもが束になって圧力をかけたからである。かれらは米国の走狗なのか、といえば、そうとばかりもいえない。
つぎに輸出業者が円安に裨益して、これが株価上昇に繋がるという短期的、近視眼的現象に日本の政策決定者が重点を置きすぎた結果である。
輸出好調の自動車、鉄鋼、製造機械、精密期間などなど。円安によって予想外の経常利益を達成した。
しかし経済も“ゼロ・サム・ゲーム”である以上、円安で被害のでる産業がやまのようにある。
石油・ガスなど輸入、鉄鉱石、稀少金属など原材料の輸入、日本の生活にかかせない食料品など、これら全ては円安によって為替差損の損害が続出、レストランのメニュウも所謂“百円ショップ”もこれまでの廉価な価格維持は難しく、タクシーは十年以上ぶりに値上げを申請した。
つまり国民の知覚のない裡に、円安による経済的被害も徐々に忍び寄ってきており、経済の根幹を揺らす事態になりかねない雲行きなのである。
この文脈では英誌『エコノミスト』の指摘は正しい。
◆文末に、「この文脈では英誌『エコノミスト』の指摘は正しい。」とのご指摘ですが、別の文脈を簡略に紹介してくれませんか。
(宮崎正弘のコメント)
短くても、鋭いご質問ですね。
ちょっと長いコメントをします。
日本のトータルの国益として考えた場合、円安より円高のほうが、相対的に有利です。
「強いドル」政策を堅持すると獅子吼しながら、米国が実際にやっているのは「ドル安放置策」。
これはすでに過去三十年にわたっての「ビナイン・ネグレクト政策」であり、もはや米国の製造業が、ドルの操作で競争力を回復できないことを知っているからでしょう。
ピッツバーグの鉄鋼、デトロイトの自動車も、米国は完全に競争力を無くし、あのGMが倒産寸前、航空機はといえば、生産台数において、ボーイングがエアバスを抜き去り、不抜のトップとは言っても、米国の航空会社は青息吐息、ユナイテッドも、ノースウエストも、デルタも“チャプター・イレブン(会社更生法)”の申請を何回も繰り返す。
米国の輸出の花形はコンピュータのソフト、ハリウッド映画。あと、何がありますか?
いまや産業構造はハイテクにあらずブレーンのみ、残りは農業です。
議会は、とくに下院は小選挙区制度ですから企業城下町から選ばれ、労働組合の代表が選挙で勝つことになり、当該地域の失業の不満を吸収するために極めて安易に日本批判をくりだす。
その狭い利益の範囲内で、「日本円が不当に安い」とか「中国元は操作されている」とかの批判を口にしますが、ホワイトハウスは、もっと高い国益にたって判断するため、「為替レートを市場に任せる」という口実のもとに放置してきた。
欧米関係で最大の論点が、これです。
ドルは対ユーロで40%ほどの下落です。エアバスは競争力を失い、フランスは武器輸出で競争力を失い、ドイツの機械も輸出不振。しかし貿易の八割がEU域内ですから、それほど悪影響がでていない。
ユーロが強い恩恵でロシアほかからの石油とガスの輸入代金が安くつく。
さて英紙『エコノミスト』が言っているは「キャリー・トレード」への懸念です。
同紙独自の「ビックマック」指標で、40%の差があるユーロ vs 日本円(BIGMAC INDEX とは、各国のハンバーガーの価格を購買力平価で勘案し為替レートの強弱の指標とするモノ)。
その日本円のレートを日本の当局が「調整不能」と密かに嗤いながら、では低金利の日本で円を調達し、海外に投資しているか、といえば、それは2000億ドル前後だろう、と予測しています。
なぜならヘッジファンドが最近日本円を調達していないからだと。(独自の情報源のようで、これは小生には真偽がわかりません)。
日本円が円安にぶれると、輸入でマイナス、輸出でプラスですが、トータルで国際競争力の維持と発展に国益があるとしたらどうなるか。
そう考えた場合、たとえ対ドルレートが、100円を切る円高になろうとも、日本の技術に頼らざるを得ない新興国家は、日本からの機械、製造装置、特殊鋼鈑、ハイブリッド・カーが必要。
一方で輸入は石油、ガス、食料、原材料、稀少金属です。昨年は、これらの値上げによって日本の経常収支は落ち込みました。
総体比較で勘案しても、円安より円高のほうが、日本の国益に叶う。そういう文脈で、円安は危険である、と小生は思います。
目先の利益と鞘抜き、キャピタル・ゲインに狂奔する短期眼の市場は、そう判断していないということです。
(私のコメント)
世界には陰謀が溢れていますが、日本人は陰謀を信じない人が多い。それだけ善良な人が多いからですが、善良なのはいいのですが陰謀を見抜いてそれに対応して振舞えればそれでいい。しかし陰謀を見抜けずに踊らされてしまう政治家や経済人や学者がじつに多い。
新聞やテレビなどを見てもニュースを報ずるのみであり解説される事はほとんどない。ワイドショーなどでコメンテーターがコメントする事も素人談義であり有害無益なコメントが多い。経済記事においてもどうしてそうなるのかエコノミストや経済学者も分からずトンチンカンな解説をしている。新聞記事も新米の経済記者が書いているから素人同然だ。
「株式日記」では何故そうなるのか陰謀論的な解説をしてきましたが、当たっているかどうかは時間が経てば分かる事が多い。しかし5年や10年の前の学者やエコノミストが書いたことなど誰も読まない。しかし株式日記では10年前のバックナンバーまで読めるようにしているのですが、今読み返しても見当はずれな事は書いていない。
英国の「エコノミスト」誌は権威ある経済雑誌ですが、最近の日本の円安についての記事が書いてあります。確かにユーロやポンドに比べると円は1ユーロ158円とずいぶん安くなりました。2001年には1ユーロ90円だったから75%も値上がりしたことになる。年利にすれば12%以上の利回りだ。
株式日記では早くから外貨はユーロにしておくべきだと書いてきました。2000年にユーロが誕生する以前は日本の円かドイツマルクしかドル安のヘッジが出来ませんでしたが、ユーロの誕生で世界の金持ちは暴落リスクのあるドルからユーロに外貨を移し始めた。
◆2003年5月29日 株式日記
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu47.htm
《 拡大したEUはすでに経済規模でアメリカを上回り、総人口もアメリカより多くなる。だから目減りするドルよりユーロで外貨を持つ事が、ドルの暴落による為替差損を回避するために必要だ。つまりアメリカの日本への経済的脅しは効かなくなる。そして日銀はドルの買い支えはすべきでない。 》
2003年当時も1ユ−ロ120円だったから30%も値上がりしている。ユーロに引っ張られてオーストラリアドルや韓国ウォンも円に対しても値上がりしている。それなのに円はドル安に引っ張られてドルに連動するように安くなっている。このような動きは金利差だけでは説明できない。
80年代から90年代にかけてペーパーマネー化したドル安リスクに対するヘッジマネーは経済規模第二位の日本の円が一手に引き受けてきました。90年代は経済が不振であるにもかかわらず1ドル80円を切るまで値上がりした。世界の大金持ちからすればドルだけで持つのは不安だから円が買われた。
ところがユーロの誕生でドル安に対するヘッジにユーロが買われるようになり日本の円は買われる事が少なくなった。円では超低金利だから持っていてもメリットは少ないが、ユーロならば2,6%の利回りになり、ユーロ高で合計すれば十数パーセントの利回りになった。だから世界の金持ちはドルや円を売ってユーロに切り替えている。これがドルと円が連動して安くなっている原因だ。
ならば円の金利を上げれば円が高くなるだろうが、日本の経済は不況だから金利を上げれば経済が落ち込んでしまう。輸出企業は円安で潤っているが労働者の年収は落ち込んでいるから景気は良くならない。イングランド銀行のキング総裁もその点を言っているのだ。
問題はアメリカの双子の赤字であり、アメリカの慢性的な貿易赤字は日本や中国などからの資金還流が必要だ。そのためには日米の金利差は3%以上必要だ。だからアメリカが金利を上げれば日銀も金利を上げる事ができるが、金利差が3%以下になるとドルが暴落する可能性がある。
なぜ日本の財務省が景気を回復させまいとするのか不思議だったのですが、アメリカとの密約があるとすれば納得が出来る。アメリカは基軸通貨の特権を生かしてペーパーマネーを刷りまくって世界から物を買っている。貿易赤字が巨額になっても日本からの資金還流があれば平気なのだ。それを保証しているのが日本との3%の秘密協定だ。
アメリカはドル安なのだから金利を上げてドル高にすべきなのですが、そうなると株が暴落してしまう。さらに住宅バブルがあるからむやみに金利は上げられない。だから日銀は金利を大幅には上げられない。FRBのバーナンキ議長もポールソン財務長官も最近の円安について容認しているのも、その辺の事情がある。