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2月17日付・読売社説(1)
[サッポロTOB]「買収防衛策の真価が試される」
日本企業の買収防衛策の有効性が問われる局面だ。
米系投資ファンドのスティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドが、サッポロビールの持ち株会社にTOB(株式公開買い付け)による買収を提案した。
サッポロは当面、取締役決議で昨年導入した買収防衛策を活用し、自主独立路線を貫く方針という。サッポロが防衛策を発動した場合、スティールはその差し止めを求め、提訴する公算が大きい。
日本は防衛策に関するルールが十分に熟していない。企業は買収にどこまで抵抗できるのか、司法判断は正当性の基準を明確化することにつながる。
サッポロの防衛策はこんな内容だ。
議決権比率で20%以上の株式取得を目指す買収者に対しては、事業計画の説明などを求める。そのうえで、企業価値を損なうと判断した場合は、買収者以外の株主に1株につき1株の新株予約権を割り当てる。予約権が行使されれば買収者の議決権比率は約半分に下がる。
「ポイズンピル(毒薬条項)」を使った事前警告型の防衛策である。
スティールは既にサッポロ株の約19%を取得している。TOBによって、これを議決権比率の3分の2寸前の66・6%まで買い増す考えだ。株式の3分の2以上の取得を目指す時には、全株式を買い付ける義務があり、66・6%なら、この義務をぎりぎり回避できる。
提示された買い付け価格は、サッポロ株の過去1か月の平均終値より約12%高い825円だ。証券界には「この程度の割り増しで、どれだけの株主が買い付けに応じるか疑問」との声が多い。
スティールは、やはり大量の株式を保有していた明星食品に対してもTOBを仕掛けた。明星が日清食品に支援を求めた結果、日清による明星株のTOBに応じる形で、高値で売り抜けた。
サッポロは、株主に対し、スティールが低割増率での部分買い付けにとどめたことなどを指摘し、明星のケース同様、経営権取得より第三者への転売を狙ったTOBだ、と強調するだろう。
スティール側にも、防衛策が株主総会の決議を得ていないこと、自らを除外した新株予約権は株主平等原則に反する、といった主張がありうる。
日本企業は、スティールが2003年に相次ぎ実施した中堅上場企業への敵対的TOBで、買収の脅威に気付いた。
だが、野村証券金融経済研究所によると、買収防衛策を導入した上場企業は190社、全体の5%しかない。買収劇が頻発する中で、あまりにも無防備だ。
(2007年2月17日1時44分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070216ig90.htm