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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu137.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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キャリートレードに問題が生じるとするなら、キャリー先(欧米)
においてであって、キャリー元(日本)においてではありません。
2007年2月13日 火曜日
◆円キャリートレードの何が問題なのかがわかりません。 2月10日 webmaste
http://bewaad.com/
円高になるリスクもあれば円安になるリスクもある、なんて話を真剣に取り上げる気になるのも難しいところですが(笑)、それにしてもこの社説子は自家撞着を起こしていることに気がついていないのでしょうか。株式投資についてはキャピタルゲインを上回るほどの為替変動を想定しておきながら、円キャリートレード、つまりはインカムゲインを求めての行動で円安を説明しようとしています。キャピタルゲインが吹き飛ぶほどの円安を投資家が見込んでいるのであれば、円キャリートレードの動機はインカムゲインではなく、円安による為替差益に決まっています。
むしろ円安の動きは、単純な購買力平価で説明可能でしょう。日本は遅々たるものがあるとはいえ、一応はデフレ脱却の道を歩んでいて、つまりは相対変化としてはインフレ率が上昇する方向へ動いています。他方でヨーロッパでは、まだインフレ率がそれほど上昇しているわけではないにもかかわらず引き締めを鮮明にしているわけで、つまりは相対変化としてはインフレ率が下降すると見込まれます。インフレ率が上昇しつつある通貨と下降しつつある通貨との間の為替相場が、前者の下落という形に落ち着くのは、購買力平価の予言するところに他なりません。
#絶対値としてのインフレ率によって為替レイトが定まるというのが購買力平価ですから、上記はミスリードな記述でした。そのような金融政策の方向感から、中長期的な見通しとしての期待インフレ率が逆転しているのだろう、というようにご理解ください。(2/11追記)
そもそも為替相場において警戒すべき変動とは、ファンダメンタルズから乖離した相場がファンダメンタルズへ回帰する際のオーバーシュートであるというのが一般的に言えることでしょう。社説子の論調からすれば、ファンダメンタルズよりも円安に現状の相場が形成されていると理解しているのでしょうから、「円からの資金逃避が加速しかねない」なんていう妄言は、聞き流す以外にどうしろというのでしょう(笑)。
では円高へのオーバーシュートがあり得るのかといえば、先の購買力平価を援用すれば、まだデフレから脱却していないというのに再度デフレを深化させかねないようなことがその契機となり得るでしょう。既述のインフレ率の相対関係が逆転し、投資家の円安見通しに基づく円ポジションは一斉に解消されるでしょうから、そのようなことは避けねばなりません‐皮肉なことに、社説子の心配とは逆に、日銀がファンダメンタルズを無視して引き締めに走ることが最大のリスクということになります。
産経社説を離れてキャリートレードに問題があり得るかを考えるならば、過去にキャリートレードが引き起こした問題を見てみるのが早道でしょう。典型的にはアジア通貨危機ですが、東南アジア諸国につぎ込まれていた短期資金の引上げに際して、返済に必要な外貨(つまりはドル)がショートしたことが原因です。問題が生じるとするなら、あくまでキャリー先(の流動性)においてであって、キャリー元においてではありません。
常識的に考えても、今まで借りていたお金を急に返せと言われて困ることはあっても、今まで貸していたお金をもういりませんと言われて困ることがあるでしょうか? 仮に円キャリートレードに巻き戻しが生じるとしても、その際に困らないように対処すべきなのはあくまでキャリー先なのです。もしユーロがECBの金融政策の結果としてファンダメンタルズ以上に高い相場を形成しているとすれば、アジアに限らず通貨危機でよく見られるように、売り浴びせ→外貨不足による暴落、というリスクに瀕している可能性があります。そう、事態は円安リスクではなくユーロ高リスクである可能性の方が大きいですし、リスクが顕在化した場合の影響もまたそうであるのです。
◆長期金利の上昇が一服、G7契機の利上げ警戒薄れる 2月8日 ロイター
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070208-00000396-reu-bus_all
欧米が緩和的な金融政策を修正する中で、日本だけが超低金利政策を継続。為替市場では円がいったん独歩安の様相を強めたことから、G7を控えて、欧州から円安に対するけん制発言が相次いだ。
円債市場にとって、G7は円安の取り扱いが最大のテーマだ。「円安是正のための利上げシナリオが相場のリスク要因」(邦銀)といい、週初から2月利上げ観測が相場の上値を抑制した。6日には10年最長期国債利回り(長期金利)が1.750%と、日銀が利上げを見送った1月金融政策決定会合前の1月16日以来の水準に上昇した。
もっとも市場では「為替に関する声明文に大きな変化はないというのがコンセンサス」(リーマン・ブラザーズ証券・チーフJGBストラテジストの山下周氏)になりつつある。為替レートは経済ファンダメンタルズを反映すべきとした基本理念に照らし合わせた場合、米欧景気の堅調さと日本の国内需要の低迷を考えれば、円安が正当化される面があるためだ。
ポールソン米財務次官は6日の米下院歳入委員会での質疑応答で「現在の取引水準を好まない向きもあるかもしれないが、自由で競争的な市場を支持しつつ、そのために戦うのが私の責務。円は基調的な経済ファンダメンタルズに基づき、競争的市場で取引されていると確信している」などと発言。欧州からの発言とは距離を置いた。
日銀は、物価と消費関連指標の下振れを理由に12月と1月に追加利上げを見送った。足元の景気指標は依然として強さは見えず、さらにフォワードルッキングな金融政策に基づいた金利正常化という利上げロジックにもほころびが見え始めている。政治的な圧力が強まる中で、早期利上げに向けて日銀に残された道は「外圧の力を用いて政府を説き伏せるしかないのではないか」(邦銀)との声も出ていた。
(私のコメント)
最近のユーロの独歩高でEU諸国は音を上げているようですが、それでも金利を上げるスタンスです。金利を上げればますますユーロは高くなるわけですが、普通だったらユーロ金利を下げてユーロ安に誘導するところだ。しかしユーロはスペインなどを中心にバブル経済であり景気は引き締めスタンスでないとバブルはますます拡大してしまう。しかし輸出産業の多いドイツなどではユーロ高で悲鳴を上げている。
最近の特徴としては円とドルとが連動して動く事ですが、アメリカのヘッジファンドとしてはまことに都合がいい。単なる金利差だけでキャリートレードするのは為替が動けば儲けがふいになる事がありますが、円とドルとが連動して動いて金利差があれば安心してトレーディングが出来る。
日米にとっては都合がいいのですがEUにとっては円安で安い日本の商品が入ってくるから日銀に対して金利を上げろと圧力をかけている。日本が景気が良くてインフレ気味なら金利を上げて調整するところですが、日本はデフレ経済で消費は低迷している。景気指標も良くはない。
日銀の福井総裁としては金利を上げたいところですが、日本経済のファンダメンタルズは依然として悪く、利上げを出来る状況にはない。経団連が奮発して春闘などで大幅な賃上げを認めれば景気は好転するだろうが、経団連は国際競争を理由に大幅な賃上げは認めないだろう。
もし円安傾向が続くならば経団連も賃上げしても利益は円安でカバーできるから賃上げが出来るだろう。賃上げが出来ればその分が消費に回って景気が回復して利上げも出来る環境が出来る。このように為替相場と国内景気とは深い関係があり、90年代からの超円高と超低金利はドル安とアメリカの好景気とはセットで続いていた。
80年代はレーガンのドル高政策でアメリカは不況が続き日本はバブル経済で経済は好調だった。ところが90年代になってクリントンのドル安円高政策でアメリカは好景気になり日本は15年も不況が続いている。つまり通貨が安くなれば国内はインフレ気味となり株も土地も上がり労働者の賃金も上げやすいから好景気になる。ところが日本は円高がずっと続いている。
ところが2000年にユーロが誕生して、円に代わるドルの逃避先ができて、円は100円を超える事はなくなって落ち着いた動きをするようになった。まさにユーロ様様なのですが、円がドルと連動する事でユーロに対して大幅な円安でも摩擦が少なくなった。ようやく90年代から続いた超円高の重圧から解放されて日本企業も業績が回復してきた。
円が現在の水準で落ち着くならば日本企業の業績も回復して賃金も上がって消費も上がっていけるようになるだろう。消費が回復すれば金利も上がりデフレが解消してインフレ気味になり国内投資も活性化するだろう。だから日銀は利上げはまだ少し先に延ばすべきで春闘の状況を見極めるべきだ。
2月に無理をして金利を上げれば円高が復活して経団連はまた国際競争を理由に賃上げはなくなり消費が低迷するだろう。基本的にいえば経済のファンダメンタルズが悪いところは通貨は安くなり、良いところは高くなる。だから現在の円安は当然なのです。ところが円安で他のアジア諸国は競争力が衰えて困るかもしれない。韓国の自動車などはアメリカで売れなくなる。
円キャリートレードについては2月8日にも書きましたが、ヘッジファンドが円キャリートレードで日本から資金を調達して世界に投資している。だから日本が不景気なのに世界経済は好調だ。ところが日銀が大幅に金利を一気に引き上げたら世界経済はショック死を起こすだろう。それだけ日銀は世界経済に大きな責任を持つようになったのです。増田俊男氏は次のように指摘している。
◆魔の1月18日(日銀金融政策決定会合) 2月9日 増田俊男
http://www.chokugen.com/opinion/backnumber/h19/jiji070209_403.htm
経済は軍事のようにはいかない。強いものがいつも強いとは限らず、また世界経済の主導権も常に交代する。ここのところ、日本以外の先進国の経済は、ちょうど1980年代後半の日本経済と同様な状況にある。10年間世界経済は供給過剰下での国際競争激化で貿易財価格が低く抑えられたことが消費者物価に影響し、先進国は総じて低インフレ、低金利となった。ところが一方、世界的な過剰流動性は商品市場に流れて資源、原材料価格の高騰を起こし、資産価格、特に株式と不動産価格を押し上げている。低インフレ下の資産価格高騰は、まさに1998年前後の日本経済バブル前夜である。
今、アメリカのやや加熱気味の好況は住宅価格の適度な下落で調整され、利上げも利下げも必要がなく、また3−4%という高くもなければ低くもないGDP成長を持続している。金融政策は不変で、順当に好況を維持するアメリカ経済にさしあたりリスクは見当たらない。当然のこととして、株価は新記録を更新している。しかしながら、こうした良過ぎるほどのアメリカ経済にこそ「漠然とした不安」が芽生えやすい。
今、アメリカ経済は「手探り」状態になっている。1990年の初め、日本経済はかつて経験したことのないバブルに突入、そして「手探り」の三重野日銀総裁による「失策」。その経緯についての説明はいまさら不要だろう。現在、世界の先進国が注目しているのはFRB(米連邦準備制度理事会)バーナンキ議長ではなく、日銀の福井総裁である。それは日銀のみがかつて世紀のバブルの舵取りをして失敗した経験を持つからである。今、世界の先進国はかつてと同様のバブル前夜の「漠然たる不安」の中にある。世界が日本の日銀の次なる動きを見守るのは当然なのである。
果たして、日銀にこの認識があるのだろうか。1月18日の金融政策決定会合で利上げを見送ったのは、政治圧力に屈したからと言われても弁解できないだろう。日銀は市場の信頼を損ね、民間資金は金利の高いアメリカに流出し、さらにキャリートレードで国際ファンドは円の借り入れを増すから、円はどの国際通貨に対しても安くなった。1月18日の時点では、「アメリカは利下げの可能性、日本は利上げの可能性」で為替市場は「円高、ドル安」のトレンドにあった。また円高を機に、日本の輸出企業は外需依存度を落とし内需拡大策を採ろうとしていた。日本経済が外需依存から内需依存に転じれば、今までのような国民の実感なき好況から実感の持てる好況に変わる。日本経済が内需依存に、アメリカ経済が外需依存に転じると、世界経済の主導権が日本に移る。
1月18日はこうした世界からの期待と日本経済好況の構造的転換、さらには世界経済の主導権の日本への移行という最重要な転機となる日であった。日銀が失った市場の信頼は容易に取り戻せない。円安、日本の株価のみ低迷……すべては福井日銀の責任である。「日銀の独立性」とは、時の政府ではなく、「市場との対話」を重要視することである。いま2月の利上げのファンダメンタル上の理由がなくなりつつある。利上げをすれば不合理、またしなければさらに市場の信頼を失う。自ら四面楚歌の状況を作った福井総裁は、かつての三重野総裁に劣らず「軽い」。
(私のコメント)
日銀の福井総裁は「株式日記」を読んで適切な判断をして欲しいと思うのですが、春闘の賃上げがなければ消費は回復せず景気は回復しない。今のところ輸出企業が業績がいいが、賃上げが国内産業にも影響を与えてくるまで注意深く見定めなければならない。しかし日銀が利上げをすれば円高となりキャリートレードが逆流して世界経済に大きな影響を与える事になる。