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日立製作所は、急成長しているICタグ(電子荷札)に使われている非接触無線ICチップの世界最小・最薄モデルの開発に成功した。大きさ0.05ミリ角、厚さは0.005ミリで、128ビットの情報(38ケタの数字)を記録できる。紙幣などに埋め込んで偽造対策として活用したりする、といった様々な応用例が考えられ、ICタグが一気に広がる可能性がある。
日立中央研究所の宇佐美光雄主管研究長らの開発チームが試作した。米サンフランシスコで12日(日本時間)から開催される国際固体素子回路会議で発表される。
日立はすでに一辺0.4ミリの正方形のICチップ「ミューチップ」を製品化している。小さなアンテナを取り付け、書き込まれた固有の識別番号などのデータを接触せずに無線送信できるICタグとして使われている。
05年に開かれた愛知万博の入場券にも偽造対策として採用された。マンションの出入りの管理などにも利用されている。
新モデルはミューチップを64分の1に微細化したもので、記録容量は同じ。開発チームは「SOI」と呼ぶ半導体製造技術を採用してトランジスタ素子の間隔を狭くし、基板へのデータの書き込みに電子線を使うことで小型・薄型化を実現した。09年の実用化を目指している。日立は昨年、0.15ミリ角ICチップの試作にも成功している。
小型化することで、一度に多くのチップを生産できることから、量産中の0.4ミリ角より生産効率が60倍程度向上し、コストも圧縮できる。ミューチップは100万個単位の大量生産でも1個10円台と割高だった。
割安な微細ICチップは様々な用途が想定される。紙幣など折り曲げられやすい紙にも埋め込みやすくなり、偽造対策として使える。スーパーなどでの商品の決済システムや、製品の生産履歴の確認、在庫管理などでも活用されそうだ。