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バーナンキ現FRB議長も、日本や中国の投資家が米国債を売れば、アメリカの投資家がこれを買うだろうと述べている。
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投稿者 TORA 日時 2007 年 2 月 08 日 14:27:17: CP1Vgnax47n1s
 

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu137.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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バーナンキ現FRB議長も、日本や中国の投資家が米国債を
売れば、アメリカの投資家がこれを買うだろうと述べている。

2007年2月8日 木曜日

◆「陰」と「陽」の経済学―我々はどのような不況と戦ってきたのか rチャード・クー(著)
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4492394710.html

2 アメリカもカネ余り

◆アメリカも「バランスシート不況」であった

あのときのFRB議長はまだボルカーだった。グリーンスパンが議長になるのは、そのニヵ月後である。しかし、グリーンスパンがこのことを全く知らないはずはない。あの事件から十数年の間は、アメリカのこの分野の政策担当者はみな一九八七年に何が起きたかを覚えていたので、こういう問題に対してものすごく敏感だった。したがって、二〇〇五年二月にグリーンスパンが突然ドル安の容認につながるような発言をしだしたことを、私はすごく不思議に思った。

しかしグリーンスパンには彼なりの理由があった。なぜ彼があの時点でドル安容認の発言をしたかというと、実は二〇〇〇年以降のアメリカも一種の「バランスシート不況」に陥っていたからであった。アメリカの資金循環表(図表5-1)の非金融法人企業という線をたどると、確かに八○年代を通じてアメリカ企業はずっと資金不足の状態にあり、たくさんのおカネを借りていた。その結果、当時のアメリカの資金需要は逼迫しており、金利水準も高く、また日本の機関投資家が米国債を買ってくれるかということに、同国の金利は極めて敏感に反応していたのである。

九一年から九三年、前にも触れたようにアメリカでは銀行の貸し渋りが発生し、多くの企業は資金調達ができなくなって、図表5-1にあるように企業部門は無理矢理、資金余剰の状態にさせられてしまった。この銀行の貸し渋りでひどい目にあった企業はあまりにも多く、そのため、その後しばらく彼等は全くおカネを借りようとしなくなってしまった。

その後、ITバブルが発生し、また少し借りはじめる。ところが、二〇〇〇年にITバブルが崩壊したら、また彼等は借金返済に回った。バランスシートに問題が発生してしまったからである。直近の数字を見ても、アメリカ企業はまだ借金返済をやっていることを示している。

ということは、アメリカでも企業がおカネを借りない状況が、ITバブル崩壊以降発生していたのである。だからアメリカの長期金利は、この五-六年、極めて低かった。例えば前述のグリーンスパンの議会証言の時点で同国の長期金利は四%前半しかなかった。当時のアメリカ経済は、名目で五〜六%成長していたし、インフレ率も二〜三%あった。

また、大きな財政赤字、大きな貿易赤字を抱え、それに原油市況も一バレル五〇ドルとかなり高い水準に達していた。本来、それだけの要因がそろえば、アメリカの長期金利は七%か八%くらいに跳ね上がっていても当たり前なのだが、当時の長期金利は四%前半しかなかった。当時のアメリカの長期金利も同国の名目GDP成長率をはるかに下回っていたのである。

結局、アメリカ企業もITバブルの崩壊でバランスシートにかなりの被害を受けた。一九八○年代の日本のバブルに比べればスケールは小さいが、彼等もITバブルにのめり込んでいたために、バブルが崩壌すると彼等もバランスシートの問題を抱えたのである。

彼等はその後、集中的にバランスシート問題の解決に走り、二〇〇三年の終わりごろには問題をほぼ片づけていた。ところが、やはりバブルで火傷した彼等は、咋今の日本の企業経営者同様、その後もおカネを借りなくなってしまったのである。その結果、今の日本と同様、アメリカでも長期金利がなかなか上がらなくなってしまった。それどころか、アメリカの債券市場はあまりにも金利が低いことから投機的な動きが出はじめたのである。

◆クレジット・スプレッドの縮小の意味

アメリカには膨大な債券市場が存在し、そこで資金を運用している人たちが大勢いる。ところがこれらの債券ファンドの運用利回りが上がらないと、ファンドマネジャーは最終投資家からものすごい突き上げを受ける。最終投資家からすれば、経済の名目成長率が五-六%あるのに、彼等の資金を運用しているファンドは四%前半でしか回らない。ここから不満が出てくるのである。

しかし、彼等の主な運用対象である国債の利回りは確かに四%前半しかない。このような状況におかれたファンドマネジャーは、本当はやってはならないことをやる。つまりクレジット・リスクを取りにいくのである。国債だけなら四%前半しか取れないけれども、社債はそれよりも利回りが高い。社債を買って自分のポートフォリオに組み込めば、トータルの利回りは上がっていく。

そうしたファンドマネジャーの行動が活発になれば、社債の価格は上がり、社債の利回りがどんどん下がってくる。その結果、社債と国債の間の金利差であるクレジット・スプレッドもどんどん縮まっていく。

二〇〇四年当時は、グリーンスパンを含めてFRBの関係者たちは、このクレジット・スプレッドが縮まっているのは良いことだと思っていた。通常クレジット・スプレッドは不況色が強くなると企業の倒産の可能性が高まるので拡大し、好況色が強くなると縮小するきらいがあるからだ。

あのとき、アメリカのFRBは政策金利を引き上げており、それでもクレジット・スプレッドが縮まっているということは、マーケットが不況にならないと見ていると解釈できた。したがって、FRBはクレジット・スプレッドが縮まっているということは、自分たちの政策が正しいことの証だと考えたのである。

二〇〇四年の一〇月に私はFRBのエコノミストに会ったが、そのとき私は、「あなたたちの考えは、ちょっと間違っているのではないか。日本だってクレジット・スプレッドはものすごく低い。電子顕微鏡で見なければ見えないほど縮まってしまっている。これは、不況にならないとみんなが思っているからではなくて、民問資金需要が不足しているからだ。こうした理由でクレジット・スプレッドの縮小が起きているとしたら、油断できない。

これは将来、不況が起きないということではなく、実はマーケットがかなり投機的になっているということだからだ。クレジット・スプレッドが異常に}小しているということは、リスクに見合ったリターンになっていないということだ。そこを注意してくれLと言った。

FRBのエコノミストは私の指摘で、そのような解釈も可能であることにびっくりしていたが、そのわずかニカ月後から、FRBのトーンががらりと変わった。それまでは債券市場での低い金利やクレジット・スプレッドの縮小を高く評価していた当局が、そこから急に投機的要因が債券市場にあるという警戒的な発言に変わったのである。

投機的な要因があるということは、アメリカ全体もカネ余りで、行きどころのなくなったカネが債券市場でクレジット・スプレッドの縮小現象を引き起こしているということだ。

こういう現象が起きる背景には企業のバランスシート調整とその後の借金拒絶症があるわけだが、グリーンスパンは、このアメリカのカネ余り状況こそドル引き下げの歴史的なチャンスだと考えたのではないか。つまりこのような局面でアメリカ政府がドルのトークダウンに走れば、日本や中国の投資家はドル安を嫌気してドル債を売り、その結果、米国債の金利は上がる。

当時、長期金利は四%前半だったが、例えばそれが海外勢の売却によって四・八%になったとしよう。しかしそこまで金利が上がってくると、これまで無理して社債を買っていたアメリカ国内の投資家が、四・八%なら無理して社債を買わなくてもよいということで国債市場へ戻ってくる可能性がある。ここで実際に彼等が戻って国債を買いはじめれば、国債の利回り上昇はそこで止まることになる。

その結果、社債の金利が上がり、国債の利回りはそこそこのレベルで頭打ちとなる。社債の利回りがいわゆるリスクに見合ったリターンのところまで戻るのであれば、それは金利の正常化の一角であり、歓迎すべきことである。だからグリーンスパンは、あそこであんな発言をしたのではないか。

国債の金利が当時の四%前半から四・八%や五%になれば、社債市場に流れていたカネが再び戻ってきて、国債金利の上昇はそれで止まるということを言いたかったのだろう。実際にそうなれば、最終的な長期金利の上昇は○・三%とか○・五%といったモダレイトなものになる。

このように考えれば、アメリカ政府がドル安のトークダウンをした結果、日本や中国の投資家が米国債を売り、それでアメリカの金利が急騰し、アメリカ経済がおかしくなるというリスクは、バランスシート不況下ではそれほど大きくないということになる。

実際に、バーナンキ現FRB議長も、日本や中国の投資家が米国債を売れば、アメリカの投資家がこれを買うだろうと述べている。これは今のアメリカ経済の状況が、資金需要が逼迫していた八○年代とは全く違い、その違いがグリーンスパンをはじめとする昨今のアメリカ当局者によるドルのトークダウンを可能にしたと考えられるのである。


米国債保有残高割合のグラフ
http://www.jlp.net/syasetu/040315c.html


(私のコメント)
最近ではドルと円が連動して動くようになりユーロの独歩高が目立ちます。円安だと騒がれていますが、1ドル120円は特に円安と言うレベルではないのですが、ユーロから見ればかなりの円安になる。円がドルと連動するようになったのは日本経済がアメリカ経済に組み込まれた事を意味するのだろうか?

外貨準備高から見れば日本はほとんどをドルで保有しておりドル一辺倒なのは異常だ。日銀ですら3割をユーロにしているが、外貨準備高としてはユーロはお付き合い程度だ。1ユーロが157円だから円買いユーロ売り介入してもいいのでしょうが日本には売るべきユーロが無い。

日本としては対ドルで安定していれば問題は無いという事なのでしょうが、EUとしては困る事になる。国の外貨準備として3割程度のユーロを持っていれば円買いユーロ売り介入も容易だろう。その為には手持ちのドルと米国債を売っていく必要がある。

しかし日本の財務省はドルの暴落を恐れて売りたがらないし、売るときは米財務省の許可がいる。しかしリチャード・クー氏の「陰と陽の経済学」によればアメリカも金余りであり、ファンドマネージャーも債券の運用に苦労していて、少しリスクのある利回りのいい社債などを買っている。

もし日本が米国債を売って米国債の利回りが上昇すれば、ファンドマネージャー達は利回りの良くなった米国債を買うだろうと書いている。その背景としてはアメリカの企業もバランスシート不況で返済を優先して借り入れ需要が減っている背景がある。

このような状況ならば80年代の時とは違って日本がドル買いを停止しただけで米国金利が上昇した時とは状況が違っているようだ。日本企業も円高になったときのことを考えて中国に工場を移して備えましたが、そうなると円は逆にじりじりと下げてきました。輸出企業は1ドル100円でも採算が取れる体制でいたのに120円では儲かって仕方がない。

ドルと中国の元はリンクされて円もドルとリンクされたように動いている。最近では中国がドル買いを一手に引き受けて外貨保有残高で日本を抜いてトップになった。ならば今のうちに日本はドルや米国債を売ってユーロなどの割合を増やしたらどうだろうか。アメリカも金がだぶつき運用難だから米国債の買い手はいくらでもいる状況だ。

日本政府はなぜドル売り円買い介入をしないのだろうか? 最近では円キャリートレードがその代わりをしてドルを買い、米国債を買い、住宅抵当証券を買っている。つまりアメリカのヘッジファンドは日米の金利差で商売をしている。ヘッジファンドが日米金融を一体化させて、彼らがドルを買えば円が売られるから円安気味なのだ。


◆【円・ドル・人民元】米中のバブル不安を緩和する円安 2月6日 産経新聞
http://www.sankei.co.jp/keizai/kseisaku/070206/ksk070206000.htm

(前略)
今回はどうやらジャパンマネーを駆使するヘッジファンドが安定装置になっているようだ。日本の金融機関から超低金利の円資金を大量に調達してドルに換え、高い利回りの米国の国債や住宅抵当証券に投資して利ザヤを稼ぐ。専門家はそれを「キャリートレード」と呼ぶが、安く仕入れて高く運用する商法である。日米間の金利差だけで年5%以上、さらにその円を大量に売ることで円安を加速させて為替差益を上乗せし、年10%以上の利回りを稼げる。

 ジャパンマネーの全容は不明だが、日本の金融機関が海外の帳簿を使ってヘッジファンドなど「非居住者」向けに短期で融通する資金は昨年11月末2兆4860億円の残高で同7月末に比べて2.7倍に達した(日本財務省の国際金融統計から)。この額はキャリートレードの一部でしかないが傾向はわかる。

 日銀の政策は結果として、ヘッジファンドに円の調達と円売りを誘っている。日米の金利差は昨年7月に日銀が「ゼロ金利」を解除したあと、縮小するどころか、逆にわずかながら拡大気味だ(グラフ参照)。金利差を背景に円安が加速し、日本企業の収益をかさ上げする。伸び悩む個人消費に代わって輸出が景気を引っ張る現実に味をしめた政治家からの圧力も強い。日銀の福井俊彦総裁は「利上げ」して金融市場を正常化したいのが本音なのだが、個人消費に勢いがないと強行するだけの動機に欠ける。結局ヘッジファンドを追認するわけだ。

 日銀はG7後の2月20、21日に開く金融政策決定会合で再び、利上げについて議論する。これまでは国内経済の動向からのみ金融政策を検討してきたが、日米金利差がここまで組み込まれた国際金融市場を無視できるだろうか。(編集委員 田村秀男)


(私のコメント)
もし日銀が利上げをした場合、ヘッジファンドは金利負担が増えるから返済しなければならない。去年のゼロ金利解除の時も途上国などの株価暴落が起きたが、日銀はよほど慎重に金利操作をしないと円キャリートレードの逆回転を起こしてパニックを起こしかねない。日銀が資金供給しているからアメリカや中国のバブル崩壊を防いでいるともいえるのです。

考えてみれば日本の1980年代のバブルは日本企業がスイスから超低金利の資金を調達して土地や株を買っていた構図が思い出される。それが90年のソ連崩壊でスイスの資金は東ヨーロッパの投資に行って日本のバブルは崩壊した。だからアメリカや中国のバブルが崩壊するのは日銀の金利の引き上げがきっかけとなるだろう。


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