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http://www.geocities.co.jp/SweetHome/7391/fremd/homeless.html
明日はわが身
大阪で住んでいたのは川のある公園の近くで、そこにはたくさんホームレスが住んでいた。ホームレスのブルーテントといってもなんだか立派なんやわ。外から覗くと時計があったり、ちょっとした家具なんかがあったり、日向ぼっこ用の椅子がおいてあったりと。イアンが生まれる前なんかは毎晩ぶーちゃんと川沿いを散歩していて、猫を飼っているブルーテントのおじさんなんかとよく話をした。
「わしらもなぁ、こんなところでこんな生活やんか。猫でも飼って心を和ませなアカンねん。あんたも、今はこうやって猫かわいいって寄ってきてるけど自分の子供が生まれたらそっちに夢中になるでぇ。うちの嫁もそうやったわ。」
などなど世間話をよくしていた。ブルーテントのおじさんたちってダンボールとかアルミ缶なんかを集めてお金を稼いでるらしいです。
ぶーちゃんと一緒に暮らすまではホームレスとかそんな人たちを家の近所で見たことがなくてあまりよく分からなかった。
確か私が大学生の時の真冬に、ミナミの道頓堀川の近くで眠っているホームレスのおじさんを川に投げ入れてその人が亡くなってしまったという事件があって…。
人の命をそんなふうにゲーム感覚で扱うとは怒り心頭だったけども、恥ずかしいことながら「ホームレス」ということになんだか差別的な感情を持った自分がいた、自分の近所にはホームレスなんていなくて何も知らなかったくせに。
友達のうちの一人は「誰にだってその人それぞれの人生がある。そのホームレスのおじさんだって人生を歩んできて、それでホームレスになっただけ。周りがとやかく言うもんじゃない。何も知らないアホな若者がおじさんを殺す権利はまったくない。」
と怒っていて、本当にそのとおりだと思った…けどまだ分からなかった。
そうして気がつけば目の前の公園にたくさんのブルーテントがあるところに住んでいた。いろいろおじさんたちと話したりして、なーんとなく分かるようになった。その一つの理由は私たちは自営業。はっきり言って
明日はわが身
です。サラリーマンもいつ首を切られるか分からないけども、自営はお客さんから入金が遅れるとすべて崩れ落ちます。支払いも出来ずに、家賃も払えません、失業保険もありません。大きな入金が予定されていても「やったー、お金が入る!!」とウホウホで入金日を待つのではなく「ほんまに入金あるんやろうか…?」と入金日までモヤモヤした気分で心臓に悪いです。うれしいのは入金日だけでその次の日からは次の入金日のことを考えているんですわ。
いつも危機感と隣合わせって言うんでしょうかね。
そう考えるとみょーにブルーテントのおじさんたちに親近感を抱くようになってました。
それでカナダに出発する前日の夜中。ぶーちゃんが事務所で最後の荷物の処理をしていたら、事務所を覗くおじさんがいたそうです。淀屋橋の川沿いのブルーテントに暮らすおじさんだったそうで
「引越しで捨てるものがあったら欲しい。」
って交渉に来たそうです。よく引越しって分かったよなぁ、不思議。それから上の自宅にいる私に電話がかかってきた。
「なんか捨てるのない?そのおじさんしっかりしてそうな人やで。」
洗剤、食器、いらない布団などなど。「使ってくれる人がいるならもらって欲しいわー。」と私ノリノリですわ。
で、いろいろもらってくれた。私のボロボロ壊れかけママチャリなんかも。
私はそのおじさんとは会わなかったんやけど、ブツを渡し終えたぶーちゃんと話していて、
私「洗剤とかどうやって捨てようかなって思ってたから助かったわ。捨てるよりも使ってくれる人にもらってもらえるほうがやっぱり嬉しいやん。イヤーよかったよかった。」
ぶ「アンタさ…、やっぱり変わってるわ。ふつうさ、子持ちの女の人ってホームレスって嫌がらへん?子供になんかされるとか…。」
たぶん昔のままの私だったらそうやったでしょう。でもあんたと一緒になって自営してたら「明日はわが身」を実感しました!!
それに考えようによれば、「家」に住んでる人間の方が世の中で悪いことしてませんか?
朝の電車の中で女子高生に痴漢してるのだって、小学校に乱入して子供に危害加えるのだって、みーんな「家」に住んでる人です。
私たちは運がよかったから家も何も失うこともなく日本で暮らせただけで、きっとそんな普通の生活から一変何もかも失ってブルーテントになった人っているはず。私たちにはその可能性は十分あった。
そんなある日ぶーちゃんは言ってました。「あのさ、すっごくいいアイデアがあるねんけど。僕らの話術と一眼レフがあれば出来る!!」
それは…、私たちはブルーテントのおじさんと会話ができる。で、仲良くなったおじさんにインタビューして、その経歴とブルーテントの家の中の写真を撮らせてもらって一冊の本を作る。文章は私が書いて、それをぶーちゃんが英訳して世に売り出す…。この案をもう少し練って、スポンサーをさがして本を出版しよう。売り上げは寄付して、私たちは本を出すことによってまた新しい人間関係が出来る。
なかなかエエ考えではないですか!
と思ってカナダ人の友達が来日した時に言ってみた。
「うーん、カナダではそれは受けないと思う。」
国民を家のないままほっておいて公園に住ますなんて「その実情に迫る」などの好奇心の前に「日本って国はなんて人権が守られてない国や!!」って批判されるだけで絶対理解してもらえないって。
よその国でもそういう反応やと思うでー…ということでした。
考えてみればそうかもしれない。自国の国民がブルーテントで暮らしてても何も支援しない政府はおかしいといわれても仕方がない。
で、先日母と電話で話してたら「去年の年末からまた大川のブルーテント増えたよ。あんたが次に帰ってきたときはびっくりするくらい。こうことに政府は税金を使うべきやと思う。」
ブルーテント…日本独特のものなんでしょうか?日本の政府…こういう支援にもお金を使ってください。地域の人々、ブルーテントのホームレスの実情を少しずつ理解していってください。人生に役に立ちそうないい苦労話できる人もいるんですよ。
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