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<BSE検査>打ち切る自治体はゼロ 厚労省通知を無視
(毎日新聞 - 03月02日 02:42)
毎日新聞
牛海綿状脳症(BSE)対策で実施している国産牛の全頭検査に関し、生後20カ月以下の牛に対する国の補助がなくなる8月以降、検査打ち切りを決めた都道府県はないことが毎日新聞の調査で分かった。36道県は自主検査費用を08年度予算案に計上し、残りの都府県も「他自治体の動向を見る」など同調の可能性が高い。全国一斉の検査終了を求めていた厚生労働省通知は無視された形で、安全に対する国と自治体の意識の差が明白になった。
BSEは若い牛だと発見しづらく、厚労省は食品安全委員会の「感染リスクは高くならない」との答申に従い05年8月から検査対象を21カ月以上に限定した。しかし自治体から反発が相次いだため今年7月末までの3年間は都道府県が20カ月以下の検査を続ける場合に国が全額を補助する措置が取られている。
処理場がない福井県を除く各都道府県に8月以降の対応を聞いたところ、自主検査継続の前提で予算案を組んだのは36道県。20カ月以下の牛の約3分の1を出荷する北海道は最も多い3500万円を計上した。ほかの自治体は数万〜千数百万円の予算を組んだ。残りの▽秋田▽東京▽山梨▽長野▽滋賀▽京都▽大阪▽広島▽高知▽熊本−−の10都府県も継続自体は否定せず「頭数が少ないので予算措置の必要がない」「補正予算で対応する」などと答えた。
検査を続ける理由で多いのが、消費者に対する安全・安心の確保と、検査の縮小に伴う地場産牛肉のブランド力低下。「他県が続けるなら、やめられない」といった横並び意識も見える。千葉県では県民へのインターネット調査や意見交換会で「科学的には安全」と説明したうえで賛否を聞いたが、約8割が検査継続を望んだという。山形県や鳥取県の担当者は「国の説明が不十分」と指摘する。
厚労省は昨年8月、「各自治体で検査の扱いに差が生じれば消費者の不安と生産・流通現場の混乱を招く」として、補助打ち切りを機に検査を終了するよう求める通知を出した。食品安全部は「残念だが自治体の判断に口は挟めない。予算化されても執行は8月以降なので、その間に自治体の考えが変わる可能性もある」としている。【清水健二、北川仁士、位川一郎】
▽食品安全委員会プリオン専門調査会座長の吉川泰弘・東京大大学院教授(獣医学)の話 感染リスクは05年当時よりさらに低くなっているはずで、20カ月以下の検査に科学的な意味は感じない。自治体にすれば、国から安全確保の責任を負わされ、打ち切る決意ができないのではないか。継続するなら、どのような条件が整えば終了するかを議論して消費者に示すべきだ。猶予期間の3年間で、丁寧な説明をしてこなかった国の対応にも問題がある。
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