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北林寿信(農業情報研究所主宰)の雑誌・書籍等発表記事・論文等(プロフィールに記載のものを除く)
農業情報研究所
『地上』(家の光協会)2007年11月号・付録 『地上農産物貿易世界地図 食料自給率39%の現実』の第1章[世界編]の解説記事
1.楽観材料ゼロ!穀物価格高騰は食料危機の前触れか 2.世界じゅうに広がる肉食 3.小麦 生産大国インドが、大量輸入国に転落? 4、トウモロコシ バイオ燃料ブームで輸出ゼロも? 5.大豆 中国、インドが食べ尽くす! 6.米 世界的米不足に備えろ! 7.だれが中国を養うの? 8.バイオ燃料狂想曲の行方 9.グローバル化のつけ?食の安全の危機 10.穀物メジャーの新たなねらいは?
バイオ燃料は現代の”黄金”かーその爆発的拡大への数々の懸念 世界 2007年10月号 218-226頁。
全世界に広がるブーム 各国政府等の後方支援 食料品価格上昇だけの問題ではない バイオ燃料の明るい約束への疑念 最大のリスクは農業・農村への影響 日本はどうすべきか
【ワヤクチャ】とうもろこしやさとうきびなどを作る為にブラジルの畑が利用されアマゾンの森林を伐採するという事が起こっている模様です。結局二酸化炭素の吸収が減るという事。南の国の食料難の原因にもなる。
「現在の研究は、輸送またはその他の燃料としてよりも、熱電併給のために生物資源を利用するのが、今後一〇年における温室効果ガス排出削減のための最善にして、最も安上がりの方法だと結論する」(FAO)。食料と競合しないとされる次世代バイオ燃料においても解消が難しい問題が残ることを考えれば、これは今後一〇年よりずっと先までも有効な結論ではなかろうか。バイオ燃料活用よりも輸送エネルギー削減を考えねばならない。バイオ燃料は、それを回避する口実にさえなっている。
課題多い食品検査体制 問題の根源にある食料供給の「市場化」「工業化」を見直せ エコノミスト 2007.9/4 88-89頁。
中国の安全管理だけが問題なのではない。世界すべての国が問題を抱えている。コスト削減を最優先するグローバル化した食品供給システムに監視・検査体制が追いつくなど、そもそも無理な話だ。このシステム自体を変えないかぎり、問題の解決はない。
米国:FDA検査官は全米でわずか700人 EU:域内外からの脅威に怯える「世界最強のシステム 日本:不正表示が後絶たず 環境汚染の監視に穴
【意見・異見16】「FTAに乗り遅れるな論」に惑わされるな 現代農業(農文協) 2007年8月号 364-365頁。
対談:バイオ燃料生産が脅かす世界の農民の食料生産 北林寿信(農業情報研究所)・鈴木宣弘(東京大学教授)[特集:今、世界の穀物生産に何が起きているのかーWTO農業交渉の影で] 農業協同組合新聞(毎月3回発行) 2007年6月20日号 3面[
大プランテーションが小規模農家を追い出す 温暖化対策で森林破壊? モノカルチャーの拡大 途上国の開発を考えて
農業協同組合新聞⇒シリーズ 世界の穀物戦略
バイオエタノールは砂糖産業の救世主となるか その生産の拡大と世界市場の動向[特集・苦い砂糖が生まれた理由 砂糖の市場と農園の過去・現在・将来] at(季刊あっと)(オルター・トレード・ジャパン社) 7号 86-94頁。
エタノール生産の現状と将来 エタノール生産増大の国際砂糖価格・市場への影響 エタノール生産と農村開発
付表・付図 世界のエタノール生産 ブラジルのエタノール生産と原油価格の推移 トウモロコシ価格の推移 砂糖価格の推移 砂糖消費量の推移(世界と主要国・年一人あたり) トウモロコシ・砂糖の生産・消費とサトウキビ生産の推移 ブラジルの砂糖輸出と砂糖価格(ニューヨーク市場、粗糖)
[ブラジルの砂糖輸出と砂糖価格の推移を示す第5図において、輸出と価格の凡例線が逆になる間違いがあるのでここでお断りしておく]
飼料情勢の変化は一過性のものではない オーストラリアの干ばつと穀物需給 [視点 2007 穀物ショックに備えよ] DAIRYMAN 2007-2 21-22頁
米国のBSE飼料規制とレンダリング産業[特集・食の安全と公衆衛生] 大阪保険医雑誌 2006年12月号 14-17頁。
この特集記事には次の諸論稿も含まれている。
山内一也 「BSE対策を考えるー現状と新たな問題」、福岡伸一 「部分という名の幻想あるいは流れの生命観について」、辻村 卓 「旬に高い栄養価ー野菜の栄養2006」、寺岡敦子 「食の安全と医療・公衆衛生の諸課題」、藤元百代 「考えよう「食」 見直そう「我が家のおかず」」
遺伝子組み換え作物の将来 その5 中国は遺伝子組み換え稲を承認するのか 農林経済(時事通信社) 06年12月4日 2-7頁。
中国が遺伝子組み換え稲の商業栽培を承認すれば、世界中の国々が主要食用作物の遺伝子組み換え版の採用に走るだろうが、中国がその人の健康、環境、農業と食料安全保障、経済に対する影響を見極めるまでには、なお長い時間がかかるだろう。承認までには遺伝子組み換え技術は既に古臭くなっており、他の先端的育種技術が主流になっている可能性もある。
中国におけるGMイネの開発状況 GM作物の安全管理と規制の強化 GMイネの何が問題なのか 結論
米国の肉牛生産の現状と狂牛病―“必然”の病をくいとめるには[特集=BSEの危険度はどこまでわかったのか
──プリオンの科学最前線] 科学(岩波書店) 06年11月号
この特集の中で一番目を引くのは、山内先生が米国産牛肉のリスクはよく分からないから、「私は食べません」と言い、金子先生も、同じ理由で「食べようとは思わない」と言っていることだ。ただし、金子先生は「気づかずに食べてしまうということはあると思いますし、懸念されるのはむしろそちらのほうです」と述べている。何のことはない、大多数の消費者とまったく同じだ。
遺伝子組み換え作物の将来 その4 WTO米欧紛争裁定の真実とその影響 農林経済(時事通信社) 06年6月12日 2-5頁。
米国政府、農業バイテク団体、マスコミの見方 パネルは安全性やEU承認手続は問題にしていない パネルが取り上げた問題 仮裁定は各国のGM作物・食品導入を促すか
漏れ出た裁定報告書を見れば、WTOが「EUのGM食品輸入規制」に「科学的根拠」がない、あるいは「WTOがGMOの安全性に関して初めて判断を下した」などという流布している見解は完全な誤解であることが分かる。それは、「どのような承認制度をもつかの決定は各国の主権に基づくべきものだ」というEUの主張を覆すものではまったくない。従って、米政府や開発企業・バイテク推進団体の主張とは反対に、GM作物の健康や生態系(農業生態系を含む)への影響、さらには様々な社会的・経済的影響を見極めることができず・ぞの導入をためらっているアフリカ諸国を始めとする多くの国々のGM作物導入がこの裁定により促されたり、強制されることはあり得ない。
狂牛病を見る眼ー狭い視野でのリスク論争からの脱出を 生活経済政策 June 2006 12-15頁。
前書き 不確かな人間の狂牛病感染リスクと感染防止策 不確かな狂牛病の病原体・起源・伝達経路 狂牛病の根源は何か 牛肉消費の拡大がもたらす現代社会の持続可能性の危機
現在の狂牛病論争は専ら人間の健康・生命に対して狂牛病がもたらす直接のリスクの問題に集中している。このリスクを可能なかぎり軽減することは重要だ。しかし、人間の狂牛病感染リスクは非常に不確かで、確かな感染防止策も人類は手にしていない。狂牛病の根絶こそが最も確かな感染防止策だが、狂牛病自体の病原体・起源・感染経路も不確かな現状では、そのための確かな手段もない。ただ一つ、英国でも有機農場では狂牛病は発生していない、専ら草地で牛を育てる場所でも発生していないという確かな事実がある。このような牛の育て方を不可能にしているのが、消費者の大量消費を誘うグローバルなレベルでの果てしない安売り競争だ。これを止めねばならない。それは、最近の研究が次々と明らかにしつつある食肉消費増大の人間の健康への悪影響だけでなく、地球環境・生物多様性・持続可能な農業・社会への破滅的影響を回避するという観点からも強力に支持される。
フランスの人類学者、レヴィ・ストロースは、狂牛病は既に肉の消費が自然発生的に低下しつつある西欧社会の変化を加速し、肉はとっておきの宴会のために、自由の身となり・野生に戻った家畜の狩猟によってしか手に入らなくなる世界を実現するかもしれないと語った。さらに、「人類の進化は、グローバル文明[肉食文明とも言えようー筆者]を僭称するものの拡大による地球の単一化に向かうのではなく、様々なものの対照を、新しいものさえ創出しつつきわだたせてゆき、多様性が支配する世界を再現する」かもしれないと期待した(「狂牛病の教訓―人類が抱える肉食という病理」『中央公論』2001年4月号)。現在の狂牛病をめぐるリスク論争は、このような視点を見失っていないだろうか。
米国食肉産業の実情に目を 危険部位、完全除去は困難 北海道新聞(夕刊) 06.1.29 13面[文化]
検査及ばぬ工場 根拠不明の仮説[食品安全委の米国BSE汚染度評価]
検査・監査体制のズサンさが強調されるあまり、問題の根源ー食肉産業のあり方ーが見失われることになれば、安全確保は遠のくだけだ。
EUの拡大が世界の穀物需給に与える影響についてー統合から1年が経過し、現時点でどのように考えたらよいか 国際農林業協力・交流協会『平成17年度 食料安定供給対策基本調査事業 第三回食料需給動向総合検討会報告書』(平成17年12月) 55-64頁。
1.拡大に伴う農業関連制度の変化と拡大準備過程 1)農業県連制度の変化 2)拡大に向けての制度面での準備過程 3)CAPの即時全面適用の見送りー激変緩和措置
2.拡大前後における貿易と農業・食品産業の変化 1)拡大前 2)拡大後1年の状況
3.拡大の農業市場への影響評価と穀物需給見通し 1)拡大の影響 2)EUにおける穀物需給見通し
鳥インフルエンザ対策の世界的動向と問題点 週刊農林(農林出版社) 1939号(2005年12月25日) 6-7頁。
インフルエンザ・パンデミック対応計画 ワクチン開発と抗ウィルス薬争奪戦 発生源対策こそ目下の急務
今はタミフル争奪戦に熱を上げているときではない パンデミック発生源となる可能性が高いアジア・アフリカ諸国における鳥インフルエンザ封じ込めの努力をいかに支援するのか、国際社会は重い課題を負っている。
BSE問題は幕引きかー間近に迫った米国産牛肉輸入再開 世界(岩波書店) 2005年12月号 29-32頁。
「感染牛を食物連鎖に入れない」というBSE対策の基本を棄て去った政治決着。はたして食品安全委員会は機能したのか。
納得できない幕引き BSE対策への不信の根源 米国産牛肉リスク評価の問題点 消費者はどうすべきか
「BSEやその人間版である変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)については、感染源や感染・発病のメカニズムも“科学的”にはほとんど何も解っていない。もし“科学”が間違っていれば確実に命が奪われるこのような病気に対しては、消費者は“科学者”には許されない“動物的”感覚で対処するほかない。専門調査会はそれを教えてくれた。」
遺伝子組み換え作物の将来 その3 欧州市民、地域の反発・抵抗は高まるばかり 農林経済(時事通信社) 05年9月25日(9728合併号) 2-7頁。
GMO新規承認モラトリアムにいたる経緯、新規則制定とモラトリアム解除を概説、それでも解けないリスク評価不信と解決困難な共存問題のためにGMOフリーゾーン運動が広がる様相を述べた。”それは、「EUのGM作物導入に向けた動きを出発点にまで押し戻す恐れがある」どころか、EU自体を出発点にまで押し戻す恐れがある”、”それは輸出国・地域のGMOフリー維持にも力を貸している”。
遺伝子組み換え作物の将来 その2 米国農務省諮問委が描く10年後のシナリオ 農林経済(時事通信社) 05年8月11日(9717号) 2-6頁。
バイオテクノロジーが今後10年の間に農業と米国農務省(USDA)の役割をどう変えるかに関するUSDA21世紀農業諮問委員会報告(05年5月)の概要紹介。それが描く10年後のシナリオは、その批判的検証を通してありうる方向を探る土台となりうるという観点から。
遺伝子組み換え作物の将来 その1 遺伝子組み換え作物の普及と開発の現状 農林経済(時事通信社) 05年5月16日(9696号) 2-7頁。
GM作物が今後どこまで普及するのか、その普及が世界に何をもたらす(可能性がある)のかを多方面から検討する試みの第一弾。
付表として、国別GM作物商業栽培面積(1996−2004年)、GM作物商業栽培面積(作物別、2004年)、国別の商業栽培GM作物種類(2004年)、主要5ヵ国のGM品種普及率(2003年)、形質別GM作物商業栽培面積(2004年)、市販中および近々商品化が予想されるバイテク作物、を掲載。
BSEと食品安全[特集 食品安全システムはどこまで確立されたか] 生活協同組合研究(財・生協総合研究所) 2005.4(No.351) 30-36頁
問題の背景と規模・深さを知るために、BSEの発生・拡散とこれに対する対応の経緯を述べ、次いでBSEに関するリスク管理の限界と米国産牛肉輸入再開問題も含めた日本のBSE対策の基本的問題に触れる。
付表・付図 英国におけるBSE確認件数の推移(-87年から94年まで)、英国の肉骨粉輸出先と輸出数量(1988-1996年)、世界各国・地域のBSE確認件数(05年1月3日まで、一部は05年1月末-2月初めまで)、EUの肉骨粉主要輸出国と輸出量(1997-2001年6月)。
異常気象で災害が多発する地球 社会的弱者に災害がふりかかる [付]2004年に起きた世界各地の異常気象と気象大害 [特集・異常気象と災害が列島を襲う] 季刊理戦(実践社) 79 2005年春号 66-75頁
「BSE」撲滅の姿勢堅持が肝要である 牛の全頭検査見直しで提言 農林経済(時事通信社) 05年1月6日(9665)号 8-12頁
BSEが存在するかぎり、検査、SRM除去は最も重要な安全対策である。そのあり方は真剣に議論する必要がある。だが、議論に熱中するあまり、検査やSRM除去がなければ牛肉は食べられないという事態を「異常」と思う感覚が麻痺しかかっていないだろうか。そうなれば、検査もSRM除去も無用な「正常」状態を取り戻す(BSE撲滅)というBSE対策の根本目標が霞んでしまう。このような懸念から、ここでは、BSE撲滅のための最も有力な直接的手段と考えられる肉骨粉禁止の重要性を強調した。人間の安全を確保する最善の道は、動物を健康に育てることだ。その実現には、安価で大量の牛肉を追い求める消費者、家畜の健康を軽視した効率化でそれに応える生産者、一丸となって現在の「食料システム」からの脱却の道を追求することが必要だ。BSEのために払われた多大のコストの見返りが検査やSRM除去でしかないとすれば、あまりに寂しすぎないだろうか。
EUの環境政策―持続可能な発展への挑戦 生活と環境(日本環境衛生センター) 2004年10月号 15−19頁
EUは環境保護の分野の世界的リーダーとしての地位を不動のものにしつつある。それは、環境政策の目標の追求における「一貫性」のためと考える。多くの国は、環境保護の強化がもたらす社会的・経済的コストの前にたじろいでいる。だが、EU環境政策は、高度な環境基準は革新とビジネス機会を刺激するという信念に基づき、持続可能な経済発展を環境保護と結合するという遠大な課題に真正面から挑もうとしてきた。それが「一貫性」の源泉である。EUの環境政策から何を学ぶべきかといえば、何よりも環境を損なうことのない経済・社会の発展、すなわち「持続可能な発展」を最優先課題とする法的基盤に支えられ、それを実現するための制度的枠組みや手段を着実に追求する姿勢であると思われる。持続可能な発展は環境政策だけでは実現できない。他の政策が環境を顧慮することなくそれぞれの目標を追求すれば、環境政策の目標は達成できないだろう。他の政策も、政策の立案や実施に環境保護の要求を組み込まねばならない。EU用語でこれを「統合」と呼ぶ。それは持続可能な発展を実現するための本質的要素である。ここでは、EUが持続可能な発展を優先課題として据えつける過程と、それに基づく「統合」の追求に焦点を当てる。
Interview:異常気象で災害が多発する地球 地球温暖化は耐えられる限界をこえている SENKI(せんき社) 1160号(04年11月5日)
ウエブ・サイト(http://www.bund.org/)でも全文が見られる。
米国牛肉輸入再開問題―何が問われるべきか(世界の潮) 世界 2004年11月号 29-32頁
BSEは、好きに草を食べることも許されず、来る日も来る日も穀物と成長促進用抗生剤を添加した配合飼料を強要される「食肉生産装置」とされた牛たちからの警告だ。それは、人間が自分の安全を護る方法は、何よりも牛の健康を護ることだと教えている。だが、人間は気づかない。すべての関心が「牛から人への」感染を防ぐ小手先の手段に集中している。こんな防御網は、怒った牛たちがどこからでも破るだろう。手元にある「銃を持つ牛」と題する絵本、ハンバーグにされる運命を知った若雄牛が反乱を起こす。「われらの闘いは自由のため、巨大な頭高くあげ、野牛と一緒に走れ、さもなきゃ死ぬだけだ」と。最大の問題は、人間がこんな想像力を失ってしまったことではなかろうか。
資料:気候変動―何が起こっているのか、どう分析されているのか(特集 気候大変動) 世界 2004年10月号 94‐99頁
極端な気象事象、および気候変動とその影響に関する研究動向(日誌)
・BSE問題の本質[BSE根絶の日はいつ?] 地上(家の光協会) 2004年4月号 55-59頁
生産者と消費者の真の安心は、BSEが根絶され、安全が保証されないかぎりは得られない。そのためには、BSEを生み出す社会的土壌を、消費者、生産者を含むすべての関係者が協力して変えていかねばならない。BSEといい、鳥インフルエンザといい、その根源は「食料生産装置」としての家畜を犠牲にし、その生産効率を最大限に高めようとする人為にあるのではないか。集約的家畜飼養、配合飼料、抗生剤、ホルモン・・・、農業と同様、わずか半世紀の間に畜産は激変した。その生産物は飽くことなく安売り競争に興じるスーパーと外食産業を通じて、食生活や生活様式を一変させた。だが、気がつけば、安心して食べられる食べ物は消えつつある。
・米国のBSE対策では安全は守れない[Special Report] 週刊東洋経済 2004.3/6 48-51頁
米国のBSE感染防止策は、人間の感染防止策も含めてデタラメだ。その根本的原因は、米国牛肉の生産コスト増・競争力低下を恐れる牛肉業界の多額の政治・選挙資金供給と激しい圧力が、農務省人事や議会活動を通じて、BSE監視・検査、特定危険部位排除、肉骨粉禁止などの根本的BSE対策の徹底を阻んでいることにある。このズサンな対策への批判を封じ込てきたのが、米国人がBSEからくるヤコブ病に感染する確率はゼロという似非「科学」である。わが国も「全頭検査」で安全は保証されるという「神話」を作り上げることで、基本的BSE対策のアナから目を逸らしている(肉骨粉「全面」禁止後に生まれた牛二頭のBSE感染をどう説明するのか)。これに目を瞑って「同等」の安全対策が確保されたと米国牛肉の輸入再開を急ぐことは許されない。食料の供給と消費には相応のコストをかけねばならない。さもなければ、食の安全と安心は得られない。これがBSE(そして鳥インフルエンザ)の教訓だ。
・先進国と途上国の溝深まるWTO農業交渉ー容易な決着よりも、新たな政策の探求を(AGRIQUEST) 地上(家の光協会) 2003年11月号 122−123頁
カンクンWTO閣僚会合の失敗を機に、自由化交渉を急ぐよりも、新たな政策を探求すべきである。カンクン会合の直前にテネシー大学農業政策分析センターが提唱したような、減反・農家備蓄・価格支持など、「自由市場に突き進むなかで忘れられた政策手段」をバランスよく適用した「世界のための新たな農業法」ー「自由化」→「生産過剰」→「価格低下」→「所得減少」→「直接支払」→「生産過剰」の悪循環を断つ、先進国・途上国共通の農業危機脱出のための政策ーを、国際的連携のもとで進める必要がある。
・遺伝子組み換え作物「世界戦争」――農業バイオテクノロジーは人類への福音となるのか 世界(岩波書店) 2003年10月号 181−188頁
安全性・健康影響・環境影響やその経済的便益とコストの評価が確立されないままに、また生物多様性と多様な農業の毀損の恐れが広がるなか、遺伝子組み換え(GM)作物が世界中に拡散する恐れが現実化している。強力に推進するバイテク企業とそれを後押しするブッシュ政権と、抵抗する世界市民との間の「世界戦争」が進行していると捉えるべきである。そしてその「世界戦争」はいま重大局面を迎えている。
日本は、既に環境汚染を引き起こいてしまっているかもしれない実験と、既承認GM作物の一般栽培の「モラトリアム」を行い、国民論争を組織するとともに、その健康影響・環境影響・経済と農業に与える便益とコストなどの包括的・客観的評価で、GM作物導入の是非を根本的に問い直すべきである。また、自由貿易協定(FTA)などを通じて世界にGM作物を強要する米国の動きを阻止するために、とりわけWTOにおけるFTAに対する規律を強化することを目指さねばならない。
・ヨーロッパ全域に広がる大干ばつと猛暑の被害―のんびりと構えてはいられない地球温暖化対策(AGRIQUEST) 地上(家の光協会) 2003年10月号 122−123頁
・地域経済統合の現状と展望 国際農林業協力 Vol.26 No.1/2 03 4/5月号 55-61頁
目次:はじめに 地域貿易協定の急増と世界的拡散 地域貿易協定の内容の拡大 地域貿易協定の動機と目的 地域貿易協定の効果と影響 農業問題 貧富の差は縮まるのか おわりにー国際貿易システムの行方
90年代以降、地域経済統合に向かう奔流が世界を襲っている。それはなぜなのか。その目標は何なのか。目標は達成できるのか。それは貧富の差を縮め、貧困を減らすことができるのか。それは世界の対立と分裂を深めることにならないのか。地域経済統合の進展状況を概観するとともに、これらの問題について指摘した。
・CAP改革・・・[CAP改革に注目せよ] (AGRIQUEST) 地上(家の光協会) 2003年4月号 117−119頁
・[編集協力]世界の農業事情地図 地上(家の光協会) 2003年4月号 48−61頁
・フランス中央山塊紀行 山村活性化の道は? 土と健康(日本有機農業研究会) 2003年1・2合併号 24-26頁
・高品質に懸けるフランス・ワイン 国際競争激化のなかでの再生策 (AGRIQUEST) 地上(家の光協会) 2003年2月号 101頁
・活性化をめざす試み続くフランスの山村地帯を歩く(AGRIQUEST) 地上(家の光協会) 2003年1月号 118ー119頁
・[EUの食品安全]事件続発 険しい食品安全への道ーブレーキかかる農業政策のグリーン化 地上(家の光協会) 2002年10月号 117頁
・遺伝子組み換え作物を巡る攻防ー世界食糧サミットにアメリカの戦略をみた(AGRIQUEST) 地上(家の光協会) 2002年9月号 85頁
・遺伝子組み換え作物をめぐる国際情勢と再出発めざすEU レファレンス(国立国会図書館調査局) 2002年7月号
・多面的機能を確保するための国土経営契約(CTE)(AGRIQUEST EU農業・連載第3回) 地上(家の光協会) 2002年7月号 88-89頁
・追い詰められるブルターニュの「工場畜産」(AGRIQUEST EU農業・連載第2回) 地上(家の光協会) 2002年6月号 88-89頁
・「マル・ブッフ」時代に農業は生き残れるか(AGRIQUEST EU農業・連載第1回) 地上(家の光協会) 2002年5月号 88-89頁
・EU諸国はどう対応してきたか 天笠啓祐・郡司和夫・魚住道郎・北林寿信・増井和夫・安田節子『肉はこう食べよう 畜産はこう変えよう BSEを乗り越える道』(コモンズ、2002年3月) 第4章
・いま日本がすべき対策とは? 地上(家の光協会) 2002年4月号 58−63頁
・狂牛病 日本のとるべき対策とは何か 世界(岩波書店) 2001年12月号 159−168頁
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