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(回答先: 羽田空港と両立しない「横須賀原発」 −2 投稿者 JPLAW 日時 2008 年 6 月 05 日 22:33:58)
http://www.rimpeace.or.jp/jrp/umi/yokosuka/hanedaetreactor3.html
原子力安全・保安院の内規「02.7.30評価基準」には、いくつかの図表が添付されている。その中で、原発の立地が航空機墜落によって 影響を受けるかどうかを判断するためのフローチャートがある。
付近(距離と方角を考慮)に飛行場が存在するか? → YES → 離着陸時に係るデータなどを基に落下確率を評価 → 原子炉施設 への落下確率の総和が1千万年に1回より小さいか? → NO → 航空機事故の想定が必要
横須賀基地と羽田空港の関係で、YES,NO の分岐がこのようにたどられることは羽田空港と両立しない「横須賀原発」−2で示されている。 国の計算方式とデータをそのまま用いて計算したら、1千万年に1回という基準値の3倍を超える値となったのだ。
「02.7.30評価基準」では、「基本的な考え方及び評価方法は他の原子力施設の安全審査においても参考となりうる」と一番初めの(目的) の項目で明記されている。ここでいう「他の原子力施設」とは実用発電用原子炉以外の原子力施設を指し、具体的には再処理施設など 放射性物質を溜め込む施設などを意味している。当然原子炉を備えた施設もこの基準の適用対象となる。
米海軍の原子力空母は、加圧水型の原子炉を動力源としている。外務省が出したパンフレット 「米国の原子力軍艦の安全性と『ファクトシート』の概要」 の5ページに載っている「米海軍原子炉の構造」と、加圧水型(発電用)原子炉の図(たとえば 三菱重工の概念図)を 比較すれば、原子炉自体の構造に変わりはない。原子炉の熱を蒸気に変えてタービンを回した先が、スクリューにつながるのか、それとも 発電機につながるかの違いだけだ。原子力防災で考えなければならない原子炉の存在ということでは、まったく違いがない。
艦船の船体で防護されていようと、発電用原子炉のようにコンクリート壁で防護されていようと、原子炉が存在する以上はそこに「外部 人為事象」として航空機落下を考えなければならない。その際の国の判断基準が「02.7.30評価基準」となるのは、国の論理からしても当たり前のことだ。 「軍艦の上には飛行機は墜落しない」というドグマが証明されるのなら、話しは別だが..。
原子炉を抱えた空母が横須賀に来る、というのなら、横須賀基地が羽田空港離発着の航空機の墜落事故を想定することが必要な場所だから、 「02.7.30評価基準」の基本方針にあるように「必要に応じて設備の分離配置設計や防護設計を講じる等により、安全機能を有する構築物、 系統及び機器がその機能を達成する能力を維持することを確認する、というプロセスが必要になる」
くどいようだが、これは筆者の主張などではなく、国が原子炉施設の設置を承認するための基準なのだ。
軍艦の場合の防護設計とは、船体を覆う装甲の強さに該当する。原子力空母の装甲の厚さなどの最高レベルの軍事機密を、日本政府は米国 政府から開示されているのだろうか。その上で航空機の落下について安全だ、と言い切るのだろうか。
羽田を離発着する航空機は大型の旅客機だ。燃料が満載に近い状態の大型機が激突した場合に、艦載機用の燃料庫や弾薬庫を艦内に配置 している原子力空母がどんなダメージを受けるか、想像するにも恐ろしいことだ。
事前のシミュレーションをしていても世界貿易センタービルは予想外の火災の影響で崩壊した。そもそも大型機が燃料満載で軍艦に激突 するというシミュレーションや実地の実験などが行われたことがあるのだろうか。
原子力空母の横須賀配備は、認可するしないの問題ではない、と国は言うに決まっている。では、これまで原子力防災の基準に照らして 危険と認定される事態に手をこまねいているのだろうか。
国に助け舟を出すつもりもないが、原子力防災の基準に合わせるやり方が無くは無い。羽田空港の離発着数を4分の1にすれば、落下確率 はかろうじて基準値をクリアする。ただしこれはいくつかのファクターのひとつだけクリアされる、という意味でだが。
逆に言えば、横須賀に原子力空母を持ってきて、これまでの原子力防災の基準を守ろうとするのなら、羽田空港の機能を大幅に削減しな ければ不可能だ、ということだ。
原子力空母の配備は、原子炉の事故があったとき、被害が関東一円に拡がる危険がある。同時に、事故防止の観点からも羽田空港の機能 制限が必要となり、関東圏の住民に等しく負担がかかる問題だ。原子力空母の配備は横須賀だけの問題ではない。
(RIMPEACE編集部)
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