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「原発ルネッサンス」の潮流を逆転させる中越沖地震
平成20年2月9日
東海学園大学教授
村田光平
原発の再評価・促進傾向(原発ルネッサンス)に根拠はない
2007年7月16日に発生した中越沖地震は、核の世界に温暖化を口実に原発を促進しようとする「原発ルネッサンス」の動きとは逆方向の新しい潮流を生みつつあると思われます。
同年7月23日付ロスアンジェルス・タイムズ紙は、次のような指摘を行っております。
a) 温暖化の対策として原発を有効なものとするためには、今世紀半ばまでに、毎週あるいは隔週に一基ずつ原発を建設していく必要があり、そのためには部品製造すら間に合わず、非現実的である。
b) 現存する104基の原発(電力の20パーセントを供給)は寿命が近づいており、その代替には4、5か月に一基のペースで今後40年間、原発を新設する必要がある。温暖化対策にはとうてい間に合わないであろう。
c)日本の六ヶ所再処理工場から200kg、英国のセラフィールド再処理工場から30kgのプルト二ウムが行方不明となっている。6kgのプルと二ウムで長崎原爆は作られた。
このような立場は、最近米国の知人(会社社長)から寄せられたよう次のようなメッセージと軌を一にしております。
「米国では温暖化対策として原子力を容認するようにとの圧力があります。私はこれに強く反対します。お送りいただいた資料は私の所属するグループの会員に配布いたしました。
エネルギー保存計画も代替エネルギー戦略への財政支援もない状況の下で原子力を擁護することは、倫理的に許されません。ご指摘の核拡散、廃棄物、大災害の可能性は極めて現実的なものです。核燃料が核兵器に転用される危険性は、核拡散とともに高まります。
エネルギー問題は統合されたグローバルな問題であり、国際協力が求められます。だからこそ軍国主義が最大の危険であると信じます。
世界平和と全ての核物質の削減のために、ともに力を合わせましょう。」
活発化する「原発不信」の潮流
このたびの中越沖地震は、原発事故は発生しないとの大前提に立脚する日本の原子力政策の根底を揺るがしました。そして、同政策の抱える問題点は世界中に知れ渡りました。
例えば、英国のNATURE誌(448号)、The Times紙(2007年7月23日付)は、同地震が柏崎刈羽原発に与えた被害を大きく報じております。その中で、特に強調されているのは、「原発震災」の可能性が立証されたこと、そして東海大地震がこれを惹起する可能性の強い浜岡原発の差し迫った危険性です。浜岡原発問題は、大きな国際関心事になったと思われます。
また、原発輸出の対象国の一つであるインドネシアでは、最大のイスラム団体(NU)が、原発導入に反対することを決めたことが報じられております。
国内では、中越沖地震により、国民の原発の危険性に対する意識が確実に質的変化を遂げています。原発を抱えた地元からは、原発の定期検査期間の変更反対、耐震構造審査に関する第三者委員会設置の要求など、政府不信の動きも具体的に出てきております。
自民党の河野太郎議員は、ある週刊誌のインタビュー記事で核燃料サイクル政策を痛烈に批判し、「こんなバカな政策は一刻も早くやめなさい」と発言した旨も、報じられております。
このように、中越沖地震を契機として、新しい潮流の萌芽が見え始めています。
中越沖地震が原発に及ぼした被害については、日が経つにつれ新しい事実が次から次と明るみに出てきています。地震発生直後に来日し、拙速と批判されたIAEA調査団による再調査も予定されております。その全貌が判明した時の影響も、全世界に及ぶことが予見されます。すでに、柏崎・刈羽原発の全面廃炉の可能性も強力に主張されるに至っております。月刊「ウェッジ」誌2008年2月号は日本の原発の深刻きわまりない八方塞がりの状況を伝えております。
「地球の非核化」と「新しい文明の創設」へ向けて
2007年7月20日、私は外国特派員記者会見で浜岡原発および六ヶ所村再処理工場の危険性を訴えるとともに、「原発ルネッサンス」の下で原発を輸出する動きが活発化しつつあることへの深い憂慮を表明いたしました。
このような活動を含めた私の近況報告に対しては何人もの世界の有識者より声援が送られてきました。
アル・ゴア前米副大統領からは2007年10月1日付の返書が寄せられました。同返書が、地球の非核化と新しい文明の創設を理想に掲げ、温暖化を口実とする「原発ルネッサンス」に強い懸念を呈する私の立場に一定の関心を示していることは、アル・ゴア氏が私と波長を同じくすることを示唆するものと受け止めております。同氏の『不都合な真実』が、地球環境に対して最大の破壊力を潜在的に有する原発の推進に利用されている現状に不本意の筈だからです。同氏が2007年度のノーベル平和賞を受賞したことにより、米国での温暖化対策への取り組みが加速され、天然資源を節約する新しい文明の創設の必要性について、全世界が認識を深めていくことを期待し得る状況になりました。アル・ゴア氏からは、私の祝意表明に対してファーストネイムで呼びかける今年1月10日付返書が来ました。
また、アル・ゴア氏と同時にノーベル平和賞を受賞したIPCCのPachauri 議長は2007年11月23日付の私宛メッセージの中で私がこれまで表明してきた懸念が正しかったと指摘しております。
さらに、フランス語圏諸国が加盟する国際機関「フランコフォニー」のDIOUF事務総長(前セネガル大統領)からは、2007年12月10日付私宛書簡の中で、私の活動が「世界の全ての市民にとって重要な問題に関する論議を起こし、その内容を深めるものであり極めて有益である」との熱い声援が送られてきました。
そのほかにも各国、各方面より多くの心ある人たちの理解と支援に接しておりますが、未来に希望を抱かせる新しい潮流が生まれつつあるのが感じられます。
急がれる中越沖地震による被害の総括
「原発ルネッサンス」の動きは2007年の国連演説でサルコジ仏大統領が原発を希望する国全てを支援する用意があると述べ、すでに中国、アルジェリア、リビア、カタール、アラブ首長国連邦、及びインドとの協力に合意するなど活発化しております。中国は2020年までに原発を30基も増設する方針であると報じられ、さらに50基、100基の増設計画もあると伝えられております。英国も原発新設に踏み切ると報じられております。
しかしながら、このような危険な流れがいつまでも続くとは思われません。核テロ、核拡散、各種放射能災害などへの配慮が全く欠落しているからです。批判が起きるのは必死と思われます。
特に注目を要するのは米国が最も恐れている核テロの可能性です。2003年、国際原子力機関(IAEA)は核物質の盗難件数が660件に達したことを公にしております。また、上記のロスアンジェルス・タイムズ紙の中で日本の六ヵ所村の再処理工場から200kgのプルトニウム(長崎原爆30発以上製造可能)が行方不明になっていること(英国のセラフィールド 再処理工場からは30kg)が報じられております。これらの事例は氷山の一角に過ぎません。
米国にとり核物質の管理を国際的に強化することは緊急の課題のはずです。核拡散の防止と原発促進という二つの矛盾する任務を与えられたIAEAの抜本的改革を含め、米国が何らかの対策を講ずるに至ることは確実と思われます。
最近、私を昼食に招いたフランス人記者はフランスがテロの対象となる動きが見られだしたこともあり、仏国内で上記のサルコジ大統領の姿勢に対する批判が耳にされ出したと述べておりました。また、同記者は上記のプルト二ウム行方不明事件に重大な関心を示しておりました。
「原発ルネッサンス」が中越沖地震の教訓を一切顧慮することなく突き進むのは正当化し難いことです。中越沖地震が原発に与えた被害は恐るべきものと思われます。その総括を急ぎ、これを世界に発信することは日本の使命であると確信いたします。これにより「原発ルネッサンス」に取って代わる新しい潮流は大きく促進されることになると思われます。
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