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柏崎刈羽・黒煙の衝撃 浜岡原発は【中日新聞】
柏崎刈羽・黒煙の衝撃 浜岡原発は<上> 揺らぐ 地元の信頼
2007年7月26日
世界で初めて原子力発電所直下で起きた新潟県中越沖地震。被災した東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市・刈羽村)で想定外のトラブルを相次いで誘発し、原発の「安全神話」を大きく揺さぶった。東海地震の想定震源域の真ん中にある中部電力浜岡原発(御前崎市)では、国の基準を先取りする形で耐震強化が進められてきた。地元住民の信頼が前提だった原発。浜岡で地震の余波を追った。
『地震+火災』想定なし
浜岡原発の周辺には「東海地震が起きれば、原発に逃げ込めばいい」という笑い話がある。「原発は地震でもビクともしないほど頑丈にできているはず」という住民の“信頼感”の表れだ。
だが、息子が原発で働いているという男性(67)は「もう笑えなくなった」とつぶやいた。中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発からもうもうと上がる黒煙のテレビ映像が、頭にこびりついて離れないからだ。
地震で消火用配管がズタズタになり、ホースからは1メートルしか水が飛ばない。東電の自衛消防隊は機能せず、頼みの消防は手いっぱいで来られない…。鎮火まで2時間弱かかった火災は、原発の消防体制の未熟さを浮き彫りにした。
「浜岡原発だけを特別扱いにはできない」。この原発を抱える牧之原市御前崎市広域施設組合消防本部の川嶋定雄消防次長は言い切った。
東海地震は中越沖地震を上回るマグニチュード(M)8クラスと想定される。もし起きれば倒壊家屋からのけが人の救出や搬送で、混乱するのは目に見えている。職員数はわずか63人。原発火災に割ける要員はおのずと限られる。
中電は中越沖地震を受け24日、浜岡で柏崎刈羽と同様の変圧器火災を想定した消火訓練を実施した。社員らで組織する自衛消防隊の任務を確認するのが狙いだった。
100人近くの報道陣らを前に、中電の担当者は「火事が複数個所で同時発生しても対応できる」と胸を張った。だが、視察した地元関係者からは「緊急呼び出しをしたわけでもなく、デモンストレーション。東海地震で実際に機能するかは分からない」との声が漏れた。
柏崎刈羽でこうした消防隊が有効に機能しなかったのは、地震対応に人手を割かれたからだ。地震に伴う火災の事前想定はなく、中電のマニュアルも地震と火災は個別に規定している。
宇都宮大の松岡猛教授(システム工学)は「国や電力各社はこれまで、地震時の原発火災のリスク評価をしていない。炉心損傷など大事故につながる確率を出すべきで、評価もせずに『安全である』とは言えないはず」と指摘する。
さらに原発には、原子炉などの重要施設には最高度の耐震性を求めるが、今回の出火元となった変圧器など付帯施設にそこまでの規定はない。浜岡の変圧器も建築基準法に適合する耐震性しか求められていない。
「見直すべきところは徹底的に見直して改善を」。中電はほかの電力会社とともに経済産業省の指示を受け、本店の原子力部と浜岡原子力総合事務所の担当者らが休日返上で、浜岡の体制に「死角」がないか、洗い出しを進めている。
消防と直通回線がないことなどが課題として浮上しているといい、見直し結果を26日、経産省に報告する。
「同じことが浜岡で起きるかもしれない。でも、中電を信じるしかない。私たちはここで生きていくんだから」。御前崎市の自営業男性(58)は、中電から納得のいく説明を待っている。
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/earthquake/CK2007072602036345.html
柏崎刈羽・黒煙の衝撃 浜岡原発は<中> 国の『お墨付き』にも不安
2007年7月27日
活断層を過小評価
頑丈な原子炉建屋内のクレーンまで破損し、運転再開のめどが立たなくなるなど、新潟県中越沖地震で「想定外」が続く東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市・刈羽村)。「現実が(司法が認めた)国の許可を否定した」。原発の設置許可取り消し訴訟に加わってきた元刈羽村議、武本和幸さん(57)は語気を強めた。
東京高裁は2005年11月の判決で、国の審査に通った東電の調査を妥当と認め、より大きな活断層があるとする原告の主張を退けた。だが、今回の地震で記録した揺れの強さは、想定の2・5倍の680ガル(ガルは加速度の単位)。東電の調査よりはるかに大きな活断層があったとみられている。
この過小評価について、活断層を研究している広島工業大の中田高教授は「専門家が見れば分かること。間違った調査をどうして通すのか、見過ごしている国の審査こそ問題」と指摘する。審査が機能していなければ、調査のミスがそのまま想定不足に跳ね返る。
原発に隣接する地区で避難所生活を送っていた女性(72)は「(造るときは)地震の話はほとんどなかったと思う。安全だ安全だと言うけど、どこまで信じていいんだかねえ」と不安を口にした。地震から10日たっても、安全性確認の見通しは立っていない。
中部電力浜岡原発(御前崎市)に対する運転差し止め訴訟でも、地震の想定をめぐり議論が分かれている。原発直下で起きる可能性がある東海地震について、原告の市民団体、被告の中電それぞれが専門家を証人申請し、静岡地裁の法廷は「地震論争」となった。
例えば、東海地震を起こすプレートの境界面のうち強い揺れを生む部分について。「原発直下に設定すべきだ」と主張してきた原告側に対し、中電は国の中央防災会議が示した想定をもとに、その部分は原発直下にないと否定していた。
ところが、中電はより厳しい地震の設定を求めた国の新しい耐震指針に基づく再評価を今年1月に発表。一転して、境界面のその部分を直下に設定した場合でも「(3、4号機は)耐震安全性を確保している」との結果を示した。信頼性を高めたが、従来の想定が書き換えられたともいえる。
ただ、この再評価に対しても原告は、境界面をより浅くしなければ「最悪の場合を想定しているとはいえない」と批判。中電側は原告の主張を「科学的に無意味」と否定し、議論は平行線をたどったままだ。
北陸電力志賀原発(石川県志賀町)を襲った能登半島地震、そして中越沖地震と、国の「お墨付き」をあざ笑うかのように電力会社の想定を超える地震が相次ぐ。「柏崎の事故は浜岡で起こる事故の予告編だ」。中越沖地震の3日後に静岡地裁であった最後の口頭弁論後、原告側代理人の河合弘之弁護士はそうまくし立てた。
中越沖を上回る規模の東海地震が懸念される浜岡での想定は、果たして十分なのか。中電は26日に自衛消防体制の改善計画を、経済産業省原子力安全・保安院に報告後、名古屋市の本店で記者会見した。
原子力部の増田博武業務グループ長は「(浜岡は)十分、余裕を持たせており、現時点で早急に対応しなければならない問題はない」と述べた。だが、国の「お墨付き」への信頼が揺らぐ中、電力会社の説明には厳しい目が向けられる。
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/earthquake/CK2007072702036344.html
柏崎刈羽・黒煙の衝撃 浜岡原発は<下> プルサーマルは試金石
2007年7月28日
保てるか住民理解
五分の三、失敗率6割−。中部電力が浜岡原発4号機(御前崎市)で導入を目指すプルサーマル計画で、これまでに頓挫した原発の割合だ。新潟県中越沖地震に襲われた東京電力柏崎刈羽原発のほか、同福島第一原発(福島県)関西電力高浜原発(福井県)。いずれも安全性などを確認する国の許可を得られたにもかかわらず、不祥事が発覚して地元自治体が猛烈に反発した。
電力各社は計画推進のハードルとして地元自治体の同意を独自に課す。法律上の義務はないが、原発存立の最大前提である「住民の信頼」を最後の関門として設定したのだ。そんな中、原発への住民の信頼を揺るがせた中越沖地震は、浜岡が地元同意を得るカギとして波紋を投げ掛けている。
「現時点では変わらない」。中越沖地震後の20日にあった地元4市(御前崎、掛川、菊川、牧之原市)でつくる浜岡原発安全等対策協議会(4市対協)の臨時会後、プルサーマルの是非について会長の石原茂雄御前崎市長は「3カ月程度を目安に受け入れの判断をしたい」という従来の見解をあらためて述べた。
被災した柏崎刈羽原発で次々とトラブルが明るみに出る中、報道陣の再三の質問にも見解を変えなかった。経済産業省原子力安全・保安院の担当者も御前崎市を含む地元4市議会への説明で「原発の耐震性は関係ない」とし計画への直接的な影響を否定している。
一方、御前崎市に隣接する牧之原市の西原茂樹市長は4市対協で「プルサーマルだけをサッと進めるのではなく、丁寧に物事を進めていただきたい。それが市民の理解をいただくわれわれの責任」と慎重な姿勢を見せ、トップ間の考えの温度差が明らかになった。
4市とともに同意の対象となる静岡県は、石川嘉延知事が地元の判断を尊重する考えを示しており、げたを預けた格好で、4市の責任は増すばかりだ。
懸念の声もある。浜岡原発の運転差し止め訴訟原告団は「計画実現までの道のりは予定調和にすぎない」と見通す。頓挫した三原発はいずれも死傷事故やデータ改ざんが逆風になった。「これくらい悪質な不祥事がなければ問題はないということ」と顔を曇らせる。
その根底にあるのは「お目付け役と旗振り役がともに国では、計画に何の抑止力も持たない」という不信感だ。原子力政策に完全に中立的な監視機関はない。同意を得られた九州電力玄海原発、四国電力伊方原発の先行2例でも1万人を超える反対署名が出されるなどしていた。
御前崎市内の男性(67)は「結論ありきではないか」といぶかしがるが、「専門的な用語が多すぎて、議論の輪に入れる住民はいないのでは」と本音も漏らした。中電は2005年の計画公表から周辺で全戸訪問し、170回余に及ぶ地元説明会も開いた。今後も地道な取り組みを続ける方針だ。
原発への信頼が揺らぎ始めた今、いみじくもプルサーマル計画が、その信頼を測るハードルとなりそうだ。万全の安全性はもちろんだが、中電は住民に理解を得るための一層の努力が求められる。そして、努力の成果を確認するのが、同意権限を持つ自治体に課せられた責務だ。
プルサーマル 使用済みウラン燃料を再処理して回収したプルトニウムと、ウランを混合した「MOX(モックス)燃料」を使う。使用済み核燃料のほぼ唯一の活用法として、国の核燃サイクル政策の柱を担う。経済効率も高いが、安全性を疑問視する声は根強い。国は昨年、計画に同意した地元自治体に10年間で60億円を従来の交付金に上乗せする制度を新設した。浜岡原発4号機は、有識者らでつくる原子力安全委員会、原子力委員会の答申を受け、経産省が7月、計画導入を許可した。
(この企画は報道部・中崎裕、静岡総局・森本智之、御前崎通信部・中野吉洋、名古屋経済部・山上隆之が担当しました)
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/earthquake/CK2007072802036656.html
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