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宮城沖地震により女川原発全機が自動停止〜明白となった原子力発電所設計用地震動予測の甘さ〜 2005/08/21
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昨日8月16日に発生した宮城沖地震(M7.2)により、東北電力女川原子力発電所で運転中であった1〜3号全機の原発がすべて緊急停止してしまった。このとき観測された地震動は、わずかながら設計で想定された揺れを超えてしまった。
東北電力によれば、最大加速度設計値250ガルに対し観測値251.2ガルと、設計値とほぼ同レベルである。一見予測の正しさを示したものと見えるだろう。だがそうではない。予測は大幅に外れたのだ。
ところで女川原発で予測が大幅に外れる恐れはすでに想定されていた。警鐘!原発震災(9)「文科省も想定外の揺れを予測、浜岡原発のグラフをご覧いただきたい。
ダントツの浜岡原発に次いで伊方原発と女川原発が抜きん出ている。しかもいずれも設計用地震動の2倍近い揺れに襲われる可能性を指摘していた(ただし、向こう30年間に3%の確率だ)。
ここに掲げた設計用地震動とは、原子力発電所を建設する際に耐震設計用に作成された2種類の地震のうちの強い方で、じっさいには起こるとは考えられないとして「設計用限界地震」と呼ばれている地震による揺れである。
女川の場合、速度で26.6カイン、加速度で表すと375ガルである。もう一つが「設計用最強地震」で、現実に起こると考えられる最大最強の地震で、速度でカイン、加速度で250ガルだが、冒頭に述べたように今回の地震であっさり到達してしまった。
この2種類の設計用地震の違いは、心得ておかれたい。最強地震に対しては機器・容器等の金属材料が弾性限界の範囲内にあること(変形しても元へ戻る)を要求する。いっぽう限界地震に対しては、塑性変形を許すが機能は維持することを要求する。
すると女川原発では今回の地震に対しては変形を生じていてもおかしくはない、ぎりぎりのボーダーラインだったということになる。
女川原発の耐震設計においては、もっとも敷地に大きな影響を及ぼす地震として、ほぼ30〜40年おきに繰り返し発生するM7.5の宮城県沖地震を設計上想定している。この地震は、想定東海地震と同様、プレート境界で発生する。
今回の宮城沖地震の規模はM7.2とされたから、およそ「想定地震」の3分の1の強さしかない地震なのだ。その地震でほぼ設計用最強地震と同レベルの地震動が観測されてしまったということは、単純に言えば揺れの想定が実際の3分の1ほどの過小評価だったということになる。
すなわち耐震設計はたいへんな過小評価で、現実の3分の1の耐震性しかなかったことを意味する。阪神淡路大震災以来、危惧されてきたことがまたも実証されてしまったわけだ。
十分な耐震裕度を有していると電力会社や政府が豪語してきた原子力発電所の耐震性が、今度こそ厳しく問われなければならない。
原発の耐震設計についてごく簡単に整理しておこう。
まず原発サイトに影響を与えると思われる大きな地震を抽出する(複数個)。それらの地震の規模、震源の位置を想定する。それらの地震が起きたとき、当該の原発サイトに伝わる地震動を想定する。そのいずれの地震動にも耐えられるように設計しなければならない。これが現行の耐震設計審査指針の考え方である。(ここで言う「耐えられる」の意味は、上に述べた2種類の地震によって異なる。)
耐震設計の不備を指摘する人々は、(1)想定された地震の規模が小さすぎること、および(2)震源の位置が遠すぎること、(3)サイトへ伝わる地震動の想定が小さすぎること(地震動が伝播するさいの減衰計算の不備)などを挙げるのだが、今回女川で明らかになったことはこのうちの(3)である。
このことは、女川原発に限らない。現行の原発における耐震設計の不備をつくものと受け止めるべきであろう。少なくとも宮城県沖地震と同タイプのプレート境界型地震(太平洋沿岸)について地震動の過小評価が明白となった。
現行耐震設計審査指針により建設が許可されてきた既設の原子力発電所、とりわけ太平洋沿岸の原子力発電所について、早急に見直しが必要だ。このことは、先の文科省地震調査推進本部による地震動予測と原発の耐震設計比較結果を示すグラフにも現れていた。
今回の地震が「想定宮城県沖地震」ではないという見解はではないという見解は18日、正式に文科省地震調査推進本部が発表した。だとすれば3分の2のエネルギーはまだ開放されずに残っていて一気に爆発のときを狙っていると警戒する必要がある。いわば今回の地震は「想定宮城県沖地震」の引き金になるかもしれない。
警鐘!原発震災(9)で指摘したように、女川・伊方両原発は、浜岡原発に次いでもっとも危険な原発といえる。これら3原発のうち女川原発は、地震の規模は送大きくはないが繰り返し期間が極めて短いこと、したがって切迫している点に特徴がある。
一方、浜岡原発は、その切迫性と共に地震の規模(M8.0〜8.5)および震源の近さにおいて他に例を見ない。震源直上に位置し、その距離わずか10〜15kmほどといわれる。
M7.2、震源深さ約42km、震央距離はいちばん近くても陸地から100km以上も離れていた。そんな地震がM7.5を想定した設計用最強地震と同等の揺れを原子炉基盤に入力させてしまった。
それが今回の女川原発自動停止によって与えられた自然からの警告である。この警告を、まず東北電力は真摯に受け止めよ。
(東井怜)
JANJAN
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