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柏崎原発“あわやチェルノブイリ”
地震による火災があった東京電力柏崎刈羽原発
Photo By 共同
震度6強を記録した柏崎市の東京電力柏崎刈羽原子力発電所で16日、敷地内にある変圧器から出火し、約1時間半にわたり黒煙が噴出した。また、7基ある原子炉のうち点検した1基から、放射性物質を含む水が漏れたことが分かった。被害はなかったが、一歩間違えば大惨事にもつながりかねない事態に“原発の町”の住民らは「チェルノブイリの二の舞いは勘弁」と身を震わせた。
≪市民震えた火災、黒煙≫震度6強という大きな揺れのショックが収まりきらないうちに、住人らを襲ったもう1つの衝撃。原子炉が大爆発した旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(86年)を連想させる事態に、ある住民は「家屋が多く倒壊しているのに、原発だけが大丈夫なんてことはありえない」と不安顔で話した。
火災が発生したのは地震発生直後。敷地内に建つ3号機のタービン建屋外に設置してある所内電源用変圧器から出火した。県などによると、職員らが消火に当たり約1時間半後の正午すぎに鎮火。発見から消防隊到着まで1時間以上かかり、消火には東電社員と協力企業の作業員計4人が当たった。火災の原因について東電は「調査中」とした。
県原子力安全対策課によると、大きな揺れを検知し施設内にある原子炉7基のうち運転中の3基と、起動準備中の1基が緊急停止。あとの3基は点検のため稼働していなかった。地震に伴い原発で火災が起きたのは国内初。施設内にある3つの加速計が、原発設計時の予想を大きく上回る値を示していたという。さらに、東電は夜になり定期点検中の6号機で、放射性物質を含む水が海水に漏れたのを確認したと発表。同社は「環境や人体への影響はない」としている。
原発は震源から約19キロと近く、断続的に大きな余震が続いている。地層学者で原発にも詳しい生越忠(おごせ・すなお)さんは「原子炉本体の耐震設計は厳しいが、変圧器などは震度5が耐えられる程度しかない。今回は小規模な火災で済んだが、風向きなどによっては他の建物に飛び火する可能性もあり危険だった」と指摘する。
原発での火災は海外メディアも、至急報で被害状況を詳細に伝えた。6月末に国内の原発変電施設で火災があったばかりのドイツでは、ニュース専門テレビが黒煙が上がる柏崎刈羽原発上空からの映像を繰り返し流した。英BBCは通常の番組を中断して地震発生を速報。また、中国の国営通信、新華社も「原発の変圧施設から出火」などと報じるなど、高い関心を示していた。
[ 2007年07月17日付 紙面記事 ]
スポニチ
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2007/07/17/02.html
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