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□浜岡原発は大丈夫なのか [池田信夫 blog]
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/9390e50bf9d4e797ed9a0cc9e11c9b74
浜岡原発は大丈夫なのか
2007-07-18 / Misc
中越沖地震で衝撃的だったのは、柏崎原発で50件もの放射能もれが起きたことだ。しかも設計で想定されていたM6.5を超えるM6.8がほぼ直下で起きたとされている。テレビでは変圧器の火災が注目されていたが、危ないのは配管類だ。さらに恐いのは、制御系に問題が起きて原子炉が制御不能になることである。
今回は、さいわい地震と同時に運転が停止されたが、関係者がもっとも心配するのは浜岡原発だろう。なにしろ、こっちはM8以上の大地震が30年以内に80%以上の確率で起こるとされる東海地震の震源の真上に建っているのだから。現地のブログによれば、柏崎で観測された680ガルという加速度は、浜岡の設計値も上回るという。
本当かどうか知らないが、2年前には浜岡2号機の設計を担当した東芝の子会社の技術者から、東海地震が起きると「浜岡原発は制御不能になる」というという内部告発が行なわれた。彼によれば、
1.浜岡2号炉の耐震計算結果は地震に耐えられなかった
2.直下型地震が起こると核燃料の制御ができなくなる可能性がある
とのことだ。当初の耐震計算では、2号機は想定される地震に耐えられないので、彼は設計の変更を提案したが、地理的な制約などで不可能だという理由で当初の設計どおり建設することが決まり、彼は退社したという。
これに対して、中部電力は「安全性に問題はない」と反論したが、告発者が匿名であるため、これ以上くわしい議論は行なわれなかったようだ。炉心溶融が起こって首都圏のほうに風が吹いた場合は、数百万人の死者が出るとされる浜岡原発が「姉歯状態」だとすれば大変なことだが・・・
▽関連記事
□設計者からの諌言「浜岡原発は制御不能になる」 [JANJAN]
http://www.janjan.jp/area/0504/0504145797/1.php
設計者からの諌言「浜岡原発は制御不能になる」 2005/04/15
私(林信夫はペンネーム)は日本原子力事業株式会社(現・株式会社東芝)の社員として、中部電力浜岡原子力発電所2号機の設計に当たった技術者です。浜岡原発は基礎を固定する岩盤の強度が弱いという問題があり、当時、技術者たちは原子炉が地震に耐えられるようにいろいろ工夫をしましたが、いずれも耐震計算をしてみると「持たない」という結果が出たのです。それでも2号機の建設はそのまま進みそうでした。私はとても悩みました。そして、技術者の良心に従って会社を辞めました。周りの人たちへのささやかな「警告」になればと思ったからです。
それから30年余りが経ちました。今年1月には、浜岡原発の運転中止を求める署名運動が全国的に進められていることを新聞記事で知りました。中部電力が浜岡原発の大規模な補強工事をすることも新聞記事で読みました。ほんとうに恐ろしい事態が起こっているに違いありません。私はこの際、私の知っていること、私が経験したことを、すべて明らかにすることにしました。それが社会に対する私の責任と考えたからです。
2つのことを申し上げたいと思います。
第1は、浜岡2号炉の耐震計算結果は地震に耐えられなかった
第2は、直下型地震が起こると核燃料の制御ができなくなる可能性がある
ということです。
耐震計算結果は地震に耐えられなかった
私は1969年4月に東芝の子会社である日本原子力事業(株)に入社し、東芝鶴見工場で、原子炉の炉内構造物の設計に従事しました。上部・下部シュラウド(炉心隔壁)、上部・下部格子板、緊急冷却装置など核燃料を支える部分の設計です。
最初は東京電力福島原発2号炉、次に中部電力浜岡2号炉の設計を担当しました。設計者は計算担当者の指示にしたがって、炉内構造物をいくつかの部分に分け、その部分の重量など計算用のデータを提出します。そのデータに基づいて計算担当者が耐震計算をします。
浜岡2号炉の場合、設計者は100人近くいました。部門ごとの設計者代表が集められた会議の席で計算担当者から聞かされた話は「建屋と圧力容器について、いろいろ耐震補強の工夫をしてみたが、空間が狭すぎてうまく行かないので諦めた」ということでした。原子力発電所の建設は、建屋→建屋内の圧力容器→容器内のシュラウド、格子板などといった順に、安全性の許可を得ながら5、6年掛かりで進めますので、後になって補強のための空間がないとわかっても、それから広げることはできないのです。
私も私が担当していた核燃料集合体の上部の水平の位置を保持するための上部格子板の応力計算をしてみましたが、「完全につぶれる」という結果が出てしまったのです。
計算担当者の説明によると、浜岡2号炉が地震に耐えられない原因は次の2つです。
(1)岩盤の強度が弱いこと(福島は強かった)
(2)核燃料集合体の固有振動数が想定地震の周波数に近く共振し易いこと
ごまかしの再計算
そして計算担当者は、「対策」として、次の3つの方法で再計算すると述べました。
(1)岩盤の強度を測定し直したら強かったことにする(福島なみ)
(2)核燃料の固有振動数を実験値でなく米GE(ゼネラル・エレクトリック)社の推奨値を使用する
(3)建屋の建築材料の粘性を大きくとる(振動が減衰し易い)
つまりごまかしの計算をして、当初計画のまま押し通してしまうということです。
私はその直後の1972年7月に退社することにしました。会社の会議室で上司に辞意を伝えました。自分の席に戻ったときには、耐震計算結果のバインダーはなくなっていました。
私の退社後に耐震補強を行ったかどうかは私にはわかりません。しかし、浜岡1号機は配管破断事故とシュラウドの亀裂で停止中、2号機も亀裂の入ったシュラウドの交換が終わる(08年3月)まで停止と報道されています。私が設計に携わった頃から今日まで大きな地震もなかったのに、このように深刻な事態が起こっていることから推測すれば、中部電力は耐震のための設計変更はしないまま建設を進めたものと考えられます。
計算担当者が中部電力に内緒でごまかしの計算書を提出した可能性がないわけではありませんが、技術者が関係者に相談もせずに偽の計算書を出すことはまずあり得ませんから、中部電力は地震に耐えられないことを承知していたはずです。
浜岡1、2号機が造られた70年代初めには東海地震の震源域のど真ん中に位置していることがわかっていなかったという報道がよくありますが、もっと問題なのは原子力発電所立地について地盤強度の基準がなかったのではないかと思われることです。プレート境界や活断層の有無以前の問題として、なぜ、地盤強度の弱い浜岡に電発が立地したのか。基準さえあれば浜岡原発の建設は避けられたはずなのです。
退社して10年ぐらい経ったとき、大学院時代の研究会のOB会で、大手重機メーカーで原子力施設の仕事をしている後輩に会いました。「浜岡2号機は耐震が持たないので会社を辞めた」と話したところ、彼はたまたま浜岡2号機の圧力容器を担当していて「そう言われれぼあそこはちょっとした地震でもビンビン揺れます」と言っていました。これが大地震もなかったのに配管が壊れたり、シュラウドに亀裂が入った原因と思われます。
中部電力は、地盤および原子炉の建家、圧力容器、配管などに、震度計を設置して、地震時のデータを公表すべきです。そうすれば、すべてが明らかになります。公表できないとすれば、それは浜岡原発がいかに地震に弱い構造であるかを自ずと物語ることになります。
直下型地震が起こると核燃料の制御ができなくなる可能性がある
現在の原子炉の耐震計算は横波(水平方向の揺れ)に対してのみを行っています。しかし、阪神・淡路大震災のような直下型の地震では、縦波(上下方向の揺れ)も強く、建物がつぶれました。この縦波を原子炉について考えると、制御棒の挿入が不可能になり、原子炉は制御不能の状態に陥ることが考えられます。
ご存知のように、軽水炉(BWR型)原子炉の燃料集合体は使用済みになると、原子炉から引き上げられ、新しい燃料集合体に換えられます。これが簡単にできるのは、燃料が下部格子板の上に乗っているだけだからです。ただし、燃料集合体と燃料集合体の間を制御棒が動くスペースを確保するために、下部格子板の穴にはめこまれ、横方向には動かないようになっています。
メルトダウンの危険性
ここを直下型の大地震波が襲うことになると、大きな上下の振動と、水平方向の振動が同時に来ます。上下の振動が激しければ、燃料集合体は上に投げ出され、下部格子板から離れて宙に浮き、下部格子板は水平方向にも振動してますから、穴の位置がずれて穴に戻らなくなる可能性があります。したがって、強い地震を感知して、自動的に制御棒を挿入しようとしても、制御棒が核燃料集合体にぶつかったり、破損したりして、挿入できなくなる可能性があります。
原子炉が制御不能に陥れば、核反応は止まらなくなります。その後、液注、配管破断による炉内の水漏れ、緊急冷却装置の故障を経て、やがてはメルトダウン(炉心熔融)です。浜岡原発は世界に放射能を撒き散らす最悪の事態を引き起こす可能性があります。過去に設計に関わった者として、そのことを明確に申し上げます。
(林信夫)
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