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「原子力立国」と核武装は両立しない
安倍首相のエネルギー戦略は支離滅裂
チェルノブイリ原発事故から20年目を迎えた昨年は、皮肉にも「原子力ルネッサンス」の年と呼ばれた。世界各国で脱原発政策の見直しが開始されたからだ。
アメリカでは、スリーマイル島原発事故以来、新規原発の建設がストップしていた。しかしブッシュ政権は、過度の石油依存から脱却するとして、2025年までに電力需要の半分を原発に切り替える方針を打ち出した。脱原発先進国のドイツや、原発に対してネガティブな姿勢をとってきたイギリス・ブレア政権も原発を見直す論議を開始した。
原因はピーク・オイルを迎え、原油価格が高騰していることにある。加えてイラク情勢は悪化し、ロシアや中南米の産油国では「資源ナショナリズム」が台頭している。世界のエネルギー需給はかってないほどに逼迫しつつあるのだ。
日本でも昨年8月、政府の諮問機関である総合資源エネルギー調査会原子力部会は「原子力立国計画」を発表した。このレポートは、05年10月に閣議決定された「原子力政策大綱」の具体化プランとして作成されたものだ。
レポートの骨子は以下のとおりだ。電力供給における原発依存度を2030年以降も30〜40%以上に維持する。そのために新規原発建設に加え、既存原発の寿命を60年に延長する。さらにプルサーマル、再処理、「もんじゅ」の運転再開など、核燃料サイクル路線を推進する。
レポートでは核廃棄物処分場対策や原子力産業の海外進出も掲げ、「原子力は市場に委ねるだけでは推進できるものではなく…原子力政策を『国家戦略』として推し進めるべきである」と強調している。日本は国策として原子力を推進してきたことは明らかだが、それを明言したのは今回が初めてだ。
既に「原子力立国計画」に列挙された施策が動き出している。昨年4月青森県六ヶ所村の核燃料再処理工場でアクティブ試験が開始され、今年8月の営業運転が目指されている。プルサーマル計画の2010年実施にむけ、九州玄海原発や四国伊方原発は地元自治体と合意した。高速増殖炉「もんじゅ」の改造工事も05年より進められ、来年5月には性能試験を開始する予定だ。廃棄物処分場問題では、多額の交付金支給を打ち出し、いくつかの自治体が応募の検討を始めた。政府・電力会社は、「塩漬け」状態になっていた懸案事項を一気に進展させようとしているのだ。
しかし、こうした強引な「原子力立国化」は早晩行き詰まる以外ない。六ヶ所再処理工場では、アクティブ試験開始直後から作業員が内部被曝する事故が相次いだ。さらに主排気筒から放出した放射能が拡散せず、敷地内に降下してくる「想定外」の事態が起きている。
各電力会社は、「トラブル隠し」問題のほとぼりが冷めるのを待って、プルサーマル計画再開に踏み出している。しかし昨年11月柏崎刈羽原発でまたしても「海水温データ改ざん」問題が発覚し、地元住民は強く反発している。玄海原発のプルサーマルの是非を問う県民投票条例制定を求める署名活動では、わずか3ヶ月で5万人の署名が集まった。直接請求に必要な有権者数約1万4千人をはるかに上回り、近く条例案が県議会に上程される。
核のゴミの最終処分場に一時立候補を表明した滋賀県余呉町は、町民の猛反発にあい昨年12月に応募を断念した。今のところ他に立候補する自治体は無く、核のゴミ問題解決の目処はまったくたっていない。
ところで、「原子力立国」と日本の核武装は両立しない。日本はアメリカと原子力協力を結んでおり、日本が得た核物質はいかなる軍事目的にも使用できない。これを破棄すれば核燃料は全てアメリカに返却しなければならず、原発は操業できなくなる。
安倍政権の閣僚は、こうしたことも理解せずに荒唐無稽な核武装論を主張している。要は日本のエネルギー戦略、安全保障戦略などまともに考えていないということである。こんな政権に日本の未来を託すことはできない。
(2007年1月25日発行 『SENKI』 1235号1面から)
http://www.bund.org/editorial/20070125-1.htm
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