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□【政治・選挙】我々は選挙で何を選ぶのか [The Commons]
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20070726-01-1301.html
2007年7月26日
我々は選挙で何を選ぶのか
第21回参議院通常選挙が始まった。安倍内閣が誕生してから初めての本格的な国政選挙である。選挙戦は宙に浮いた年金記録問題、久間前防衛大臣の「原爆しょうがない」発言、そして赤城農水大臣の事務所費問題など安倍総理にとっては逆風が吹き荒れる中でのスタートとなった。とりわけ国民の関心が年金記録問題に集中しているため、各党とも年金を選挙争点の第一に掲げているが、我々は自らの一票を年金記録問題を巡る判定だけに使ってしまって良いのだろうか。
2005年の郵政選挙では、時の総理に「郵政民営化の是非を国民に聞いてみたい」と言われて国民は燃え上がった。その結果選挙で生み出された与党の圧倒的な数によって、憲法改正に道を開く国民投票法や改正教育基本法など国のゆくえに関わる法案が次々に成立した。郵政民営化だけを判断したつもりだったのに、そんなことまで信任したつもりはないという人もいるだろう。そのことを教訓にすれば、今回も年金記録問題だけを考えて投票すると、この先他の問題で足をすくわれる危険がある。
新聞やテレビは部数や視聴率を稼ぐために国民の関心事ばかりを取り上げるが、そんなメディアに左右されて一点集中的思考に陥ってしまわずに、少しは想像力を働かせて1票の使い道を考えてみた方が良いのではないか。
まず参議院議員の任期は6年だから、今回の選挙で選ばれる議員には今から2013年までの間に世界や日本で起こる問題に対応してもらわなければならない。それでは2013年までに世界と日本にどんな事が起こるのだろうか。わかっていることを考えてみるだけでも意味がある。それをふまえて政党と人物を選ぶ方が、一点集中的思考より間違いのない選択になるのではないか。
そこで2013年までの間に確実に起こることを私なりに列挙してみる。
外交面では周辺諸国の政治リーダーが次々交代する。韓国大統領、台湾総統、ロシア大統領が2008年半ばまでに交代し、11月には新しいアメリカ大統領が選出される。国際政治は新たな顔ぶれの時代を迎える。
2008年8月には北京オリンピックが開かれ、2009年には世界最大の水力発電所となる三峡ダムが完成、2010年には上海万博が開かれるなど、この数年は中国が世界の注目を浴び続ける。国威が大いに盛り上がった中国は台湾問題をどう処理するのだろうか。一方で瀬戸際外交を繰り返す北朝鮮の核問題はどう展開するのか。対北朝鮮で強硬姿勢を続ける日本が六カ国協議の中で孤立することにはならないか。民主党候補が新アメリカ大統領になると、対中国、対北朝鮮で日本の立場は軽視される可能性も出てくる。日本の指導者はこれまで以上に外交手腕を問われる事になる。
内政面では、少子高齢化が確実に進行する。2009年には少子化で大学の総志望者数と総定員が等しくなり、2010年には人口の4人に1人が65歳以上の高齢者になる。2011年には35歳以上の中高年フリーターが119万人になると予測され、2012年には生産年齢人口が8000万人を下回る。そして2013年には厚生年金の支給開始が60歳から65歳に引き上げられる。
今回選ばれる議員にとって、少子高齢化への取り組みが最大の政治課題になることは間違いない。その意味で年金記録問題も大事だがそれよりも年金制度そのものをどうするか、社会保障政策の全体像をどう考えるか、また福祉の財源として消費税も含めた税制全体に対する考えなどが選挙で選ぶ際の重要な判断材料になる。
2011年にはアナログ放送が地上デジタル放送に全面移行する。従来のテレビを買い換えないと放送が見られなくなるため国民も巻き込んだ論争が起こってくる。先の国会で継続審議となった放送法改正案を含め、放送のあり方を巡る議論が活発になる。世界ではありえない新聞とテレビの系列関係や独占禁止法に抵触するおそれのあるメディアへの優遇措置などがやり玉に挙がるようになる。メディアに対する考えも選挙の判断材料になっておかしくない。
政治面で考えてみると、今回の参議院選挙で与党が過半数を獲得すれば、衆議院で圧倒的多数を握っているだけに政権は何でも出来るようになる。安倍内閣は長期政権を確実にする一方、民主党の小沢代表は辞任。民主党は政権交代の受け皿足り得ない政党のイメージが強まって危機に瀕する。
そうなれば安倍総理の悲願である憲法改正が最大の政治課題に浮上する。2010年には憲法改正案が発議されて国民投票にかけられる可能性が出てくる。日本国民にとっては初めて憲法を制定する作業に参加する機会が得られる。
一方、参議院選挙で与党が惨敗すれば安倍総理は退陣せざるをえなくなる。その場合2009年9月までに必ず行われる衆議院選挙に負けない人物が後継者として自民党総裁に選ばれる。衆議院で多数を握る与党が、参議院では野党になることで、政治は機能不全状態に陥る。政界再編が現実味を帯び政局は流動化するが、民主党の小沢一郎代表が主導権を握る政界再編になるのか、小泉純一郎前総理が操る政界再編になるのか、そこが見物となる。
与党が僅差で過半数に達しなかった場合、国民新党や保守系無所属、民主党の一部などへの多数派工作で、安倍政権が継続する可能性はある。しかし次の衆議院選挙の事を考えると「安倍総理で戦えるか」という声は大きくなり、求心力は格段に衰える。憲法改正もままならなくなり、この場合も政界再編含みとなって政治は混迷化する。
本来、安倍総理は就任直後に小泉路線をそのまま引き継ぐのか、それとも独自の路線を進むのかを明らかにして、国民の審判を仰ぐべきであった。安倍総理が自民党総裁選挙に圧勝したとは言え、国民が自民党に与えた票は小泉政権の郵政民営化方針に対して投じられたもので、安倍総理の信任とは別の話である。しかし就任後1年もしないうちに参議院選挙が予定されていたため、安倍総理としてはそれまでに自分の政治路線を国民に示し、参議院選挙で国民の審判を仰ぐと考えたのだろう。であるならこの選挙は何よりも安倍総理の信任を問う選挙である。
安倍政治を継続させるのか、それとも一時的な政治の混乱を覚悟してでも政界再編に道を開くか、さらに2013年までに起こる数々の課題に対応できる議員を国会に送り込むことが出来るのか、それが我々の一票の使い方ではないか。
(田中良紹)
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