★阿修羅♪ > 議論26 > 369.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
副島教授が太田氏に反論!
http://www.asyura2.com/07/dispute26/msg/362.html
上の議論で、筆者が主たる興味を持つのは表題のことである。歴史的に見れば、ロックは(同じユダヤ人として)米国支配の代理人としてロス茶から派遣された、というのが定説と思う。太田氏は、この構造は今も不変であり、ロス茶が真の黒幕であり、ロックはその配下にある、という見解だろう。
これに対する教授の見解は、正反対である。第二次世界大戦をロックが仕掛けて、その過程でロックが世界権力を握ったのだという。だから今の世界皇帝はロックなのだと言う。このことはブログや著作物のなかで言っている。
副島「ロスチャイルド家によるイギリスの経済覇権は、第一次世界大戦の終了とともに終わったのです。第一次世界大戦では、世界の5大帝国が消滅しました。…これらの大国が滅亡して、アメリカ・ロックフェラー帝国が世界覇権国の座に躍り出たのです。
この点で、私はロスチャイルドが今も世界の黒幕であるという、いわゆる「ユダヤ陰謀史観」の人々とは大きく意見を異にします。
1914年、世界覇権の強奪劇がロックフェラーによってなされた。ヤーコブ・シフ(クーン・ローブ商会)やマックス・ウォーバーグたち秘密会議出席者がロスチャイルド家を裏切って、同じく出席者だったジョン・ダビッドソン・ロックフェラー一世の側に寝返ったからです。しかし、このときJ・P・モルガンだけは裏切っていない。
モルガンは今も大きくはロスチャイルド系ですから、まだ負けていない。まだロックフェラーと闘っている。
世界覇権がはっきりと移ったのは、そのあとの1929年のNY株式市場の大暴落のときです。これも偶然の出来事などではなく、仕掛けがあった。…これを機にロスチャイルドのアメリカ支配も崩れ落ちていくわけです。」(ブログ2006.9.12 )
その他、ロス茶は「金」に固執して失敗したが、ロックはいち早く「石油」に着目して世界権力の奪取に成功したのだとも言う。
さて、ブッシュ、ブレアやかつてのキッシンジャーなどのように第一線に立つ政治家たちは、彼らの悪事がバレると、矢面に立って世界人民から大きな憎しみを買う。だから国際金融財閥はなるべく表舞台に登場せず、ウラに回って政治家を操るほうに回っているのだろう。しかし、ロックは表舞台にチラチラ出ることも多く、世界人民の怒りを受けやすい。ところがロス茶については、そのへんがサッパリだ。そこにかえって胡散臭さを感じる。
ECB(欧州中央銀行)などの成立は、ロス茶の強力な画策がなければ、決して実現はしなかったろう。加盟国の通貨発行権という国家主権に関わる権限をECBに集約するというのだから、古典的な国家論ではとても理解不能である。ヴェルナー氏は、ここのところを次のように言う。
「”ヨーロッパ合衆国”を作ることなのである。この計画は50年代から練られていたものである。統合が完了すれば、今度はアメリカとの対立が絶対に避けられない。マネーの支配者たちの狙いはそこにある」(『なぜ日本経済は殺されたか』リチャード・A・ヴェルナー/吉川元忠/講談社‘03年)
「プリンスたちが全世界で権力の拡大をめざしていることは明らかだ。集中化と通貨圏の創設はこの目的にかなっている。だからこそ、ヨーロッパのセントラル・バンカーは進んで欧州中央銀行を創設した。」(『円の支配者』リチャード・A・ヴェルナー/草思社‘01年)
「1990年代半ばには多くの人がありそうにもないシナリオだと思っていたことが、さしたる障害も騒ぎもなく実現した。ヨーロッパ12カ国が自国通貨を捨てたのだ。外から見ていていちばん驚くのは、経済規模ではヨーロッパ最大の国ドイツがドイツ・マルクを捨てたことだ。たとえばイギリスの識者は、これを「謎」と呼ぶ。
エコノミストは終始、ドイツ・マルクを放棄すべき経済合理性はないことに気づいていた。ユーロを創設すべき理由が経済の領域では見出されないことには、ほぼ疑問の余地がない。通貨統合は、ヨーロッパ統一を加速し、”ヨーロッパ合衆国”を樹立するためのツールとして利用された。
欧州中央銀行の一握りの意思決定者がこのユーロ圏を支配し、結局はユーロ圏12カ国に流通する通貨の配分も決定している。これは生半可なことではない。金融政策は、平時のどのような社会にとっても最強の政策ツールである。
欧州中央銀行はブンデスバンクよりはるかに独立性が高い。米の連邦準備制度理事会よりも独立性が高い。…われわれの見るところ、欧州中央銀行は日本銀行とならんで、先進国のなかでは最も説明責任の少ない中央銀行だ。」(『不景気が終わらない理由』リチャード・A・ヴェルナー/草思社‘03年)
ロックが真の世界皇帝なら、なぜECBの成立を阻止しなかったのだろう。大きな疑問である。逆に影の(真の)世界皇帝がロス茶なら、ロックは逆らえなかったと説明がつく。いや、EU対米国という対立軸は彼らの「両建て主義」という世界戦略に適っているのではないか。このことをヴェルナー氏も指摘している。田中宇流に言えば「多極主義」ということになる。
第二次大戦後、ロックが世界権力を奪取したという教授の論証は弱く、説得力が不足しているよう思える。もちろん一読書人である筆者に真相がつかめているわけではない。
(蛇足)教授と太田氏の論戦で、「剽窃」や「身を安全な所に置く」等という場面では、教授の方が正しいと思う。太田氏が「覚書」という形で、「論証」抜きに「論断」しているのは、やはり乱暴だと思う。太田氏側の悪気(わるぎ)のある言いがかりに見える。
教授が珍しく「冷静に反応」しているのは、いい傾向だ。