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【戦争を熱望するキリスト教原理主義者】
http://www.asyura.com/0304/war26/msg/1008.html
投稿者 アーヴ 日時 2003 年 3 月 24 日 00:22:24:
■ブッシュをイラク攻撃に駆り立てるものは何か?
【戦争を熱望するキリスト教原理主義者】
国際軍事評論家 ガブリエル中森
●対イラク戦争とアメリカのユダヤ・コネクションの尺度
戦争を熱望するキリスト教原理主義者の信仰度
100万人の戦争反対デモがあっても、国連決議がなくても、フセインがミサイルを解体しても、この稿が出る頃はブッシュは何が何でも対イラク戦を始めているだろう。
100万人の戦争反対は多いか少ないか?
全米3000万人のキリスト教原理主義者の数から見れば、甚だ少ないと言える。何故、ブッシュは対イラク戦に血道を上げたのか? その謎を解くカギがそこにある。
またイラク戦の緒戦を制するものを占って見たい。
2月23日の日曜日、テレビ朝日の番組『サンデー・プロジェクト』が、ブッシュ政権の政策を立案する「ネオ・コン」=ネオ・コンサーバチズム(新保守派)人脈の隠れた主流は在米ユダヤ人コネクションだと特集をした。これには少々驚いた。
マスコミの自己規制かユダヤ系巨大マスコミの圧力か、アメリカ政治を左右する在米ユダヤ人の関係をメディアが取り上げるのはタブー視されてきたからだ。日本も例外ではなかった。
ブッシュ政権高官たちのユダヤ人脈を見ると、「私たちはイスラエルと共にある」と公言する国防副長官ポール・ウォルフォウィッツはまったくのユダヤ人だし、パウエル国務長官も父方にユダヤ人がいる。遺伝子の出方の不思議さで彼は黒人にしか見えないが、姉はまったく白人にしか見えないという。彼はヘブライ語をかなり話す。コンドリーザ・ライス国家安全保障担当補佐官は黒人だが、彼女の大学の恩師はオルブライト前国務長官の父でユダヤ人。
だが、重要なのは閣僚ポストにいる人たちではない。
「暗黒のプリンス」の仇名があるリチャード・パールは国防省軍事政策委員長の要職にあるが、同時にイスラエルの軍事顧問を務め、イスラエルの代表的新聞『エルサレム・ポスト』の大幹部でもある。彼はイスラエルの首相ネタニヤフの政策顧問でもあった。彼がネオ・コン、ネオ・コンサーバチズム(新保守主義)の黒幕である。
彼は「同時多発的戦争を行い勝利する。アメリカは超法規的存在で先制攻撃も必要だ。我々は世界中に任務がある」と公言する。しかし、彼一人が重要なのではない。背後には世界最終戦争を招来させ、この世の終末にキリストの復活を夢見るキリスト教原理主義者たちがいる。
彼らは聖書を字句通りに信じる。彼らがイスラエル右派の台頭に資金援助した。在米ユダヤ人は600万人だが、キリスト教原理主義者は2〜3000万人いる。彼らの連合が親イスラエル政策の梃子になる。
彼らが聖書を字句通りに信じる人たちだと言われても日本人にはピンとこない。第一、聖書を知らないし、日本の基督教団はリベラルだから、日本人は生の熱狂的なキリスト教原理主義者など会ったこともないだろう。
言いたくないのだが、実は私が最初に洗礼を受けたのはこのキリスト教原理主義だった。だから彼らのメンタリティ・論理・精神風土はよく分かる。
●キリスト教原理主義者には
サダムはネブカデネザルでは恐怖の大王
ネブカデネザルはバビロニヤ帝国の王で、また首都バビロンの名を冠してバビロンの王ネブカデネザルとも言う。この王の治下ユダヤ人は戦いに負けて民族ごと連れ去られた。旧約聖書『歴代誌』は「主がネブカデネザルの手によってユダとエルサレムの人を捕らえ移された時」(6章15)と言う。
有名な「ユダの補囚」である。または「バビロンの虜囚」とも言い、紀元前586年のことである。バビロンは今のバグダッドである。サダム・フセインは自らを、かのネブカデネザル王に擬えて「われはネブカデネザルの再来なるぞ」と、しばしば公言して止まない。
これが聖書を字句通りに解釈するキリスト教原理主義者3000万、在米ユダヤ人600万が聞いたらどう反応するか?
彼らは親が読んでくれる聖書、牧師の説教で子供の時からネブカデネザルに恐怖心を持って育つ。ネブカデネザルに関する記載は旧約聖書全39巻の内10巻に見られ、記述は実に63箇所もあるのだから、信者は週に何回もネブカデネザルの名を聞かされる勘定になる。
ネブカデネザルはユダヤ人を貧乏人を除き、民族ごと根こそぎ鎖に繋いで拉致して連れ去った。“悪の大王”と聞かされて育っているから、ブッシュがサダムは悪の力(イーブル・パワー)と言われればそう信じるだろう。ネブカデネザルの刷り込みが既にある狂信的信者にとって、サダムは直ぐにイーブルな権化とインプリントされる。だからサダムは抹殺せねば恐怖心が収まらない。当然非論理的になる。
ブッシュが目茶苦茶な論理を展開し、「十字軍だ!」と失言して宗教戦争に持ち込む危険を犯しているのもそのためだ。戦争しなければ、原理主義者の支持を失い再選は覚束ない。
先に言ったが、ビン・ラディンが狙うのが世界同時多発テロなら、彼らが狙うのは「世界同時多発戦争」である。その結果、世界最終戦争となり、無用な人間(誰が決めるのか?)は死に絶え、生き延びた人たちを祝福するイエス・キリストが復活する。
このシナリオの完成が彼らの神聖な使命である。彼らは中絶に反対で、中絶医を平然と撃ち殺す。進化論も信じない。あれは単なる説だとし、原理主義者の多い州の公立校では教えることを許さない。彼ら3000万キリスト教原理主義者の信仰度はそのまま親イスラエル度として換算できる。彼らは信仰でイスラエルに入れ揚げている。わずか在米600万人のユダヤ人の尻尾がワシントンという犬を自由に操れるのもそのためである。
●ロード・マップ論争
最近、「ロード・マップ」なる言葉が欧米の外交官筋の間で流行っている。これが又、ユダヤ傾斜度を測る道標になっている。ロード・マップとは自動車用地図のことだ。
一般の地図を見ても、自動車は目的地へ直接行けない。あちこちに右折禁止があるからだ。是非ロード・マップが必要だ。目的地はバグダッドとエルサレムであるが、問題は何処を先に経由するか、それが論争の種だ。
主な道標は三つあるようだ。
(一)「バグダッドへの道はエルサレムを経由する」
(ブレジンスキー元安全保障補佐官)
(二)「エルサレムへの道はバグダッドを経由する」
(エルサレム・ポスト紙)
(三)「バグダッドへの道は国連安保理の決議を経由する」
(ホルブルック元国連大使)
ブレジンスキーが言う「バグダッドへの道はエルサレムを経由する」の意味は、米国はイラクに闇雲に戦争を仕掛けるだけでなく、イスラエル・パレスチナ問題にも積極的に関与せねばならない。それが問題解決の道順だ、というもの。
2月26日、ワシントンのヒルトンホテルで開かれた保守派のシンクタンクの会合で、ブッシュは知ってか知らずか、「バグダッドへの道はエルサレムを経由する」と言ったらしい。ブッシュの真意は、「先ずバグダッドを占領することがパレスチナ・イスラエル問題の解決に繋がるのだ」という認識だったろう。
ところが、それに『エルサレム・ポスト』紙のコラムニスト、ザルマン・ショバルが「その反対だ、正しいのは『エルサレムへの道はバグダッドを経由する』だ」とわざわざ訂正した。
イスラエル問題よりも先ずバグダッド攻撃が先決だ、と言うのだ。イルラエル問題の解決にはサダムの排除が必要だ。サダムが居なくなればアラファトも存在できなくなるからだと決め付ける。
だがこれは事実誤認である。アラファトは闘争資金をサダムに依存などしていないのは明白だ。サダムが排除されてもパレスチナの闘争は止まない。
我々日本人には、(一)も(二)も結局同じに聞こえる。だが、三番目のホルブルック元国連大使の道標は明白だ。「バグダッドへの道は国連安保理の決議を経由する」のは当然だからだ。対イラク攻撃に新たな国連決議の必要性を強調するリチャード・ホルブルックはボスニアの調停者である。
しかし、ブッシュは道路標識を無視してバグダッドへの道をひた走るだろう。
ブッシュ米大統領は日本時間3月2日未明、週末のラジオ演説でフセイン政権との対決を「米国は決意した」と宣言した。米国は国連安保理での武力行使容認決議を求めて失敗した場合でも、軍事攻撃に踏み切ることが、国民向けの演説を通じて決定的となった。
●開戦前夜、金の無心をするイスラエル
2月20日。イスラエル国防省のアモス・ヤロン長官はワシントンでチェイニー副大統領に会い、40億ドルの早期資金供与を迫った。
彼はその前にアーミテージ国務副長官、ウォルフォウィッツ国防副長官にも会って根回しをしている。米政府の某高官が「彼はシャロン首相から、早く金を出させろ、と螺子を巻かれている」とボヤイた。
●ワールド・トレード・センターの再建もユダヤ人
こちらはロード・マップでなく、「ロード・マーク」だ。
テロ攻撃で崩壊したNYのワールド・トレード・センターは、NYのロード・マークで、ユダヤ金融資本のシンボル的牙城だった。だが、入居するユダヤ系高級職員の大多数は何故か、9・11の日に出勤せず、皆が難を逃れた。当日、NYを訪問予定だったシャロン首相もスケジュールを突然キャンセルして無事だった。
そのロード・マークを再建するのが又もやユダヤ人だ。
2月28日付『エルサレム・ポスト』紙が、「再建の建築家として選ばれたのはポーランド出身の在米ユダヤ人のダニエル・レベスキンドだ」と報じた。
●湾岸戦争では50万、
今回は20万人で済むと見積もる理由とその矛盾
2月28日現在、米軍はイラク攻撃に20万人の展開を完了した。これは湾岸戦争時の同盟軍の半分にも満たない。不足分はハイテクで賄うという。
標語は「モア・ハイテク、レス・ブラッド」で、将兵の損害を最低に抑えるのが目的だ。数千人、いや数百人の米軍兵士の損害を数えた段階で、今はブッシュの戦争支持の米国内世論が戦争反対に転じることは明らかだからだ。それでは政権が持たない。従って戦争の短期終了が至上命題だ。湾岸戦争では40日かかったが今回は遅くて一ヶ月以内、希望目標は10日だそうだ。電光石火的に決める気である。
それを可能にする手段は、
(一)インフォメーション・テクノロジー
(二)大量破壊兵器使用
の二つである。
〔一〕インフォメーション・テクノロジー
湾岸戦争では、偵察・目標の確認は専ら偵察衛星に依存した。そのため、現場に情報が伝達されるまでに数時間を要し、例えば「スカッド・ミサイルの発射を防ぐことは96回中一度も成功しなかった」と、当時空母機動部隊を指揮したステファン・ベーカー提督はそう述懐する。
しかし今やインフォメーション・テクノロジーは飛躍的に進歩した。アフガン戦争では偵察衛星の代わりにプレデター、グローバル・ホークなどのUAV無人偵察機が多く使用された。次の対イラク戦争では更に多く使用される。地上の兵士もデジタル・カメラやラップトップを保有するので、司令部と現場の間に偵察・目標の確認に時間的ロスは少なく数分で済む。司令部と現場が同時に同じビデオ画像を見るからだ。
〔二〕大量破壊兵器使用
サダムの大量破壊兵器根絶を狙った戦争に、アメリカは疑似核爆弾を使用して一気に戦意を喪失させる。疑似小型核の名前は通称デージー・カッター、BLU82・燃料気化爆弾とその後継型であるMOAB(空気爆発大型兵器)である。
デージー・カッターとは、元来はスポーツ用語で地を這うように飛ぶ打球のことだ。地表すれすれで爆発するのでこの名前がある。ベトナム戦争で初めて使用され、前回の湾岸戦争でもクウェートのイラク軍地下陣地・地雷原・戦車群に使用された。
BLU82は低空を飛ぶMC130輸送機の後部から押し出した後、落下傘で降下する。後継型のMOABは、より高空から落とし、後は衛星が爆発地点まで誘導する。このため、MC130が対空ミサイルで撃墜される心配がなくなった。
爆発物は、硝安・アルミ粉末・ポリスチレン石鹸のゼリー状の混合物で、これが空中に噴霧され、大量の空気を酸化剤にして爆発する。敵は一瞬に酸素を奪われて窒息、同時に発生する衝撃波は一平方センチ当たり70キロの超過圧で敵を叩き潰す。ミニ疑似核爆弾と言われ、心理的効果は絶大である。MOABは今実験段階だと言われるが、BLU82・燃料気化爆弾の装薬1万5000ポンドに対して、MOABでは2万3000ポンドと五割以上増量してある。MOABを使用して数夜の内にイラク軍を戦意喪失させる腹だ。
●矛盾
しかし、ラムズフェルド国防長官は米陸軍参謀総長が「イラク占領には更に数十万の兵士が必要だ」と建議したことに腹を立て、「戦争が6日か、6週間か、6ヶ月要するか分からないのに如何してコスト見積もりができるのか?」、「それは見当違いだ」と、本音を吐いた。
短期で終わるというのは、議会に戦争を売り込むのに必要なマスコミ相手の宣伝で、本当はラムズフェルドも長期化すると恐れているのではないか。しかし、何はともあれ戦争を始めることが彼らには至上命令だ。これはもはや信仰なのだ。
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