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□地下鉄サリン事件と中沢新一 [有田芳生の『酔醒漫録』]
▽地下鉄サリン事件と中沢新一
http://saeaki.blog.ocn.ne.jp/arita/2007/03/post_a316.html
2007/03/24
地下鉄サリン事件と中沢新一
3月23日(金)春の陽気の霞が関を歩く。厚生労働省の児童家庭局で取材。97年の神戸児童殺傷事件のときから気になっていたのは、子供の「心」を専門的に診察する医師のあまりにも少ないことだ。「子どもの心の診察医」を養成するための検討会も困難があったようだ。精神科医は「児童精神科」という表現をするが、小児科医は「小児神経科」といった言葉を使う。「精神科」という言葉を嫌うのだ。議論は「心の診察医」という言葉の統一だけで相当の時間を費やしたそうだ。2年間にわたる検討結果は「『子どもの心の診察医』の要請に関する検討会」の報告書としてこの月末に公表される。報告書の内容を説明してもらい驚いた。専門的に携わっている医師は何と70人弱!。大学医学部付属病院で臨床研修ができるのは、東大、信州大学などわずか5つ。子供たちの実情に対応できる養成をするにはどうすればいいのかといえば、診療報酬を厚くすることをふくめ、「その気」になるかどうかだという。ここでも世論が問題だ。説明をしてくれた課長補佐の知的な雰囲気が素敵だった。銀座に出て教文館で長女がお世話になった栄陽子さんの『留学で人生を棒に振る日本人』(扶桑社新書)、ビル●エモット、ピーター●タスカ『日本の選択』(講談社インターナショナル)を買う。アップルストアから伊東屋へ。ファーバーカステルの梨の木を軸にしたボールペンを入手。プランタン銀座の「ビゴの店」に寄ってから壹眞珈琲店で読書。
赤坂の「かさね」。カウンターに座ると眼の前に「れんぎょう」の花が咲いていた。鮮やかな黄色が可憐だ。しばらくすると島田裕巳さんが現れた。いつもブログ日記を読んでいて、聞きたいことがあったから久しぶりに会いたいと思ったのだった。歌舞伎の話題では海老蔵がすごいという話を聞いた。彼を頂点にして歌舞伎は黄金時代だという。統一教会、創価学会、オウム真理教のことなどの情報交換。創価学会と公明党の緊張関係とこれからの予測なども面白い。創価学会の方針を公明党がそのまま受け入れるという関係ではなくなっているというのだ。宮崎料理に日本酒が進む。「これですよ」と島田さんが紙袋を出してきた。そこに入っているのは原稿の束。1枚目にタイトルがある。「中沢新一批判、あるいは宗教的テロリズムについて」とある。30年以上のつき合いのあった中沢さん批判をなぜ行ったのか。島田さんによれば地下鉄サリン事件には中沢さんの理論が深く関わっていると確信しているからだ。噂ではずっと言われてきた。麻原彰晃の側近と中沢さんが親しくしていたことも事実だ。ところが事件と結びつける分析はこれまで誰も行ってこなかった。島田さんはそこに鋭いメスを入れた。いまや憲法九条を守る旗手のひとりとして持ち上げられているが、そんな資格はないというのが島田さんの論考である。近く亜紀書房から発売となる。中沢さんと林真理子さんが「週刊朝日」で行った対談がある。地下鉄サリン事件のあとに行われたもので、ボツになった。江川紹子さんは統一教会員だなどなど内容があまりにもひどいものだったからだ。バー「木家下」に移り、そんな話を続けた。
▽地下鉄サリン事件と中沢新一(2)
http://saeaki.blog.ocn.ne.jp/arita/2007/03/post_c89d.html
2007/03/25
地下鉄サリン事件と中沢新一(2)
3月24日(土)島田裕巳さんの中沢新一さん批判、いやいや地下鉄サリン事件との関わりを分析した原稿を熟読していた。雑然とした資料のなかから「週刊朝日」の「マリコの言わせてゴメン! ゲスト 中沢新一」を取り出した。内容がひどすぎてボツになった経緯がある。おそらく編集部にも残っていないだろう。フリーになってさまざまなテーマを書いてきた。それらの資料はほとんど散逸しているけれど、この対談だけはすぐ出せるようになっている。それだけ「何だこれは」と思ったからだろう。たとえば中沢発言から。
これもカットだけど、飯星景子は統一教会を脱会していないですからね。(中略)二木(注、日刊現代記者)が資料を島田(裕巳)に渡して「幸福の科学をたたけ」と言って原稿を書かせたんですよ。それで島田は書いちゃった。(中略)これは島田が悪いんじゃないですよ。二木が悪いんです。(中略)あの人、学生のとき、爆弾製造犯ですからね。
わたしへの批判もふくめてこんな対談が続いていく。そして事件についてもこう語っている。
ぼくは確信犯ですから。坂本弁護士事件というのは、オウム真理教の犯罪じゃないといまでも思っています。(中略)これは絶対に載せないでください。真犯人は別にいます。
そこで林真理子さんは「エッ、ホント!?」と驚き、中沢さんは「午後7時に坂本弁護士の自宅に3人の女性が入っています。これ知っていますか?」と続ける。「これも載せられないけど、石原慎太郎の四男がオウム真理教の幹部だって知ってます?」と語る。さらに「これは絶対に載せないでください。実行犯の大半が、北朝鮮の被差別部落出身ですね」という。林の「上祐もそうだとか」という問いに「そうです。林(郁夫)さんもそうだし。石井久子もそうだし」。
対談はこんな調子で行われている。中沢さんは松本サリン事件についてもこう語っていた。
これも載せないでほしいんだけど、「松本サリン事件」が起ったあと、公安の一部が、ぼくが黒幕だと思ったみたいね。あの人たちって、思想的な背後関係をさぐるから。
こうして幻の対談を引用していけばきりがない。島田さんはこの対談を知らないが、中沢さんとオウム真理教との関係を分析すれば、ここで語られたような事件の思想的背景が中沢新一さんにあったことを実証的に明らかにした。この対談でも中沢さんはたとえばこう語っていた。
麻原さんは、戦後の日本が五十年作ってきた歴史を、全否定しようとしているんだと思うんです。
島田さんが中沢さんを批判するのは、このような事件を肯定するかのような発言の根拠に対してである。「はじめに」ではこう書いている。
彼がオウム真理教が行ったサリン事件について、それを否定していないばかりか、むしろそれを正当化しているのではないかという印象を受ける。さらに彼は、サリン事件の規模がより大きなものになり、犠牲者の数が大幅に増えることを期待するかのような発言さえしている。
なぜそのような発言をしているのか。島田さんの新刊ではそれが明らかにされていく。この仕事をするとき、島田さんは中沢さんの著作や発言をすべて読んだという。夕方の池袋。「おもろ」で常連と泡盛を飲む。演劇評論家の江森盛夫さんに島田本のことを伝える。中沢さんの仕事を評価してきた江森さんが「それ本当なの?読まなくちゃ」と驚いていた。『中沢新一批判、あるいは宗教的テロリズムについて』(亜紀書房)はきっと話題となることだろう。