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佐藤 優 (著)  「私のマルクス」 評価4.8/5 レビュー
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投稿者 乃依 日時 2008 年 1 月 04 日 18:15:59: YTmYN2QYOSlOI
 

私のマルクス (単行本)
佐藤 優 (著)


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商品の詳細

単行本: 333ページ
出版社: 文藝春秋 (2007/12)
ISBN-10: 4163698302
ISBN-13: 978-4163698304
発売日: 2007/12
商品の寸法: 19 x 14 x 3 cm
おすすめ度: (5件のカスタマーレビュー)
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何をもって実用的と言うか, 2007/12/9
By 野火止林太郎 (埼玉県) - レビューをすべて見る

文芸誌『文学界』に現在も連載中の「私のマルクス」の前半部分となるであろう大学卒業までの「マルクス体験」を綴ったものが本書である。
『正論』から『週刊金曜日』(左方面とはいえ、これが極左であるとは些かも思わないが)までといわれる左右ジャーナリズムから引っ張りだこの佐藤だが、それは何もヘンチクリンなことではなく、出版、ジャーナリズム業界の売れ筋に対する靡きの傾向のひとつに過ぎず、佐藤自身がぶれているとか媒体に合わせているわけではないようだ。
佐藤が言う「実用的」であることの有用性は、現在それ一色になっている「ビジネス書業界」の「使える」とは似て非なるものである。本書で佐藤がマルクスと格闘する過程で神学や宇野経済学などと取り組む様を見るならば、それが分かろう。
しかし、評者はこの佐藤をも消費財とする資本主義的出版業界の定めを感じる。もともと彼のインテリジェンス物を読もうと思ったことはないが、佐藤自身の意図はともあれ、最近の佐藤的実用路線の書物は浅ましい自己啓発的な臭みを発していると思われてならない。
その点では、本書はその下劣な「使える」腐れビジネス書路線から完全に外れ、佐藤優ならではの手ごたえがある。
彼の真骨頂を端的に示すのが、外務省の勤務でいかに忙しかろうが、「毎日最低2時間は机に向って、神学書、哲学書、歴史書を読むことにした」というところである。どこのビジネスエリートさんがこんなことをするだろうか。だいたい哲学書など、その「実用的」効果が現れてくるのは数十年経ってから、あるいは全く現れないと考える者が大半ではないだろうか。佐藤が主張する「実用的」とは、一般人にとってはそういう一見迂遠なものであり、その実用度評価(成果)などは一概に図るのが極めて困難なものなのだ。
しかし、いやそれゆえに佐藤優が他には得がたい書き手であると思われる。
佐藤は『獄中記』のなかで外務省の後輩に向けて、インテリジェンスのプロである以上、思想の最前線を常に追えとアドバイスし、岩波の『思想』を読めなどと書いている。ビジネスもインテリジェンスの一種である以上、これはプロフェッショナルのビジネスパーソンたることを目指す者であれば本気で耳を傾ける必要がある。超人的な彼の体力とストレス耐性のレベルに遠く及ばない一般ビジネスパーソンには、彼の言うとおりできるものではない。評者もその一人だ。せめてその反知性のスタンスを克服し、腐れ自己啓発書やスピリチュアル紛いの成功哲学書を馬鹿にするくらいのことだ。
とにもかくにも、最近結構批判されるケースも増えてきた佐藤優の精神的核心を明かした本書が登場したことは悦ばしい。彼の知的遍歴、佐藤優の「作り方」とも言うべきこの自伝は、本質的な意味で実用的だ。まず最低でも毎日2時間は、たとえ1ページしか読み進めなくとも哲学書を読む必要があるというモチベーションを与えてくれる。これほど啓蒙的、実用的なアドバイスはなかろう。雑誌連載中から欠かさず読んできたが、再読でも一気に読まされた。文章にも知性とユーモアを感じる。
本書が多くの会社勤務労働者の手に取られることを願う。 このレビューは参考になりましたか? (報告する)


16 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
佐藤の青春期, 2007/12/8
By くにたち蟄居日記 (東京都国立市) - レビューをすべて見る

 昨年末に「獄中記」を読んで以来 この一年は佐藤の本が出る度に すぐ買う日々が続いた。本書もその流れで購入し 一気に読み終えた。

 考えれば考えるほど 佐藤という人は 今の日本の言論界では突出した人である。僕の狭い知見で見る限り 佐藤に対する表立った批判は殆ど無く 完全に時代の寵児である。
 佐藤のような経歴と はっきりした物言いを考えてみると 幾らでも反論異論の余地があるような気がするのだが それが出てきていない。

 やはり 佐藤の経歴に圧倒されてしまうのだと思う。神学科でキリスト教を学んだ後に外務省にノンキャリアで入省し ソ連崩壊のモスクワで人脈を駆使し 帰国後は 鈴木宗男と北方領土に取り組み、鈴木宗男の失脚と同時に「国策捜査」にて入獄し 512日もの牢獄生活を 膨大な読書で過ごし 保釈後は 次々と著作を世に問う。敢えて 長く一文で書き出してみたが こんな経歴の方は 最近では他には見たことがない。
 特に 牢獄生活を強いられた知識人などは ここ30年程度余り無かった話だ。佐藤に批判異論がある人も 相手が かような獄中期間に 検察と対峙しつつ 悠々と 哲学や宗教を耽読してきたという部分だけで 位負けしてしまっているのではないかと思うことすらある。

 本書は佐藤の「青春期」である。相変わらず キリスト教には疎い僕には 知らない人名も多い。但し これを読むことで ようやく佐藤の「獄中記」の背景が見えた気がした。というか 獄中で行ってきた読書や思索は 佐藤の大学時代の生活の延長にあったことがはっきり分かった気がした。彼は獄に入ったことで読書家・思索家になったわけではなく 読書家・思索家が 獄に入っただけの事なのだ。

 しかし 凄い方である。 このレビューは参考になりましたか? (報告する)


6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
青春期, 2007/12/11
By 明日天気にな〜れ - レビューをすべて見る

内容は、佐藤氏の原点を紹介する一冊。
肉親から刷り込み、共産圏の国々の旅、
学習塾や高校、大学の友人や恩師、
学生運動、数多くの読書。
それらから筆者が、マルクス主義、哲学、神学に興味を持っていく様子を書いています。

正直な所、私はマルクス主義、哲学、神学について話についていけないことが多くあります。
青春期なら少しは体験が重なる部分もあるかと考え読み進めましたが、
好奇心が人間の思想に向かっている変わった子の青春期なので、神学への出会い、学生運動、真剣に読書する風景。
描かれている世界は、私自身どれも見たことも想像することもない風景でした。
それでも、登場人物の会話や人物紹介、エピソードの混ぜ方が楽しいので良くわから所が多々ありましたが、最後まで楽しんで読めました。

読了後は
うーん・・・高校の倫理教科書読んでみようかな・・とは思えましたが・・・。

たぶん、哲学の素養があった方がより楽しめるのでしょう。
ですが、ほとんどなくても気軽に読めるちょっと変わった青春期として楽しく読めると思います。 このレビューは参考になりましたか? (報告する)



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http://www.amazon.co.jp/dp/4163698302/

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