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[民主主義の危機]「テロ特措法&ドーピング」問題に共鳴する軍需利権型資本主義の暴走
<注>お手数ですが、当記事の画像は下記URLでご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20071011
平和宮[国際司法裁判所/International Court of Justice](2006年8月、撮影)
f:id:toxandoria:20061014174713j:image
EU-Dictrictにある欧州委員会ビルの風景(2006年8月、撮影)
f:id:toxandoria:20061014174522j:image
・・・これらの画像は、当記事内容と直接の関係はありません。
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●ドーピング(スポーツ選手の禁止薬物汚染)の発覚で現役引退を表明したアメリカのマリオン・ジョーンズ元選手が、2000年シドニー・オリンピックで獲得した全てのメダルを米国オリンピック委 員会(USOC)に返還したと報じられています。また、USOCのピーター・ユベロス会長はリレーに出場した他のメンバーにもメダルの自主返還を呼びかけています。そして、その根本にはドーピング効果(doping)が疑われる薬物類を生産する栄養補助食品会社・バルコ社(BALCO)の問題があります(参照、http://www.cnn.co.jp/sports/CNN200710090003.html)。アメリカにおけるドーピング問題は陸上界だけに限るものではなく、同じくBALCO(Bay Area Laboratory Co-opera/バルコ)社関連で言えば、その他にも米大リーグのバリー・ボンズなど有名選手の名が挙がっており、他のあらゆるスポーツ分野へ波及しています。
●元々、尿検査・血液検査等の専門企業であったバルコ社は、必然的に派生する得意な研究分野を生かしつつ、その事業を健康補助食品からドーピング紛いの機能性食品(栄養補助、嗜好性、病気予防に応える補助食品)へ拡大してきたという経緯があります。このような事業分野の拡大そのものが悪いとは一概に言えませんが、問題は、グローバリズム時代の熾烈な競争環境のプロセスで<現代の民主主義社会における倫理と法に照らして規制されるべきギリギリの線をたやすく越えてしまう>という可能性が常に付き纏っていることです。本来であれば、これは特に、この類のタネを蒔く立場にある政治家・投資家・企業経営者・専門研究者らが自覚すべきことのはずです。なお、このドーピング問題はアグリビジネスにおけるバイオメジャーの横暴化(革新的技術である遺伝子組み換えの潜在的リスク拡大)の本質にも繋がると見なすことができそうです。
●視点を変えれば、グローバリズム時代における、このような「コンプライアンスを無視した野放図な事業ドメイン拡大の現象」は、今や世界中で見られる産軍複合体と政治権力の癒着の構図に重なって見えてきます。つまり、必ずしもグローバリズムそのものが悪とは言えないながらも、「科学的な知」と「政治権力」の過剰な癒着は、ますます我われを「強制的消費の時代」に押し込んでしまったようです。既に、アメリカ社会はこの強制的な消費メカニズムのサイクルにスッポリと取り込まれており、その典型がサブプライムローン問題だと見なすことも可能です。
●それは、我われが“必要以上の消費拡大へエンドレスに向かうよう強制されている”ことを意味します。なぜなら、我われがエンドレスの消費努力を怠るや否や世界は「基軸通貨たるドル暴落」という悪夢(パニック)の中に放り込まれ、世界中が連鎖的経済縮小というマイナスのスパイラル陥ると思い込まされているからです。どうやら、これが“現代の悪魔の正体”の一部であるようです。「科学合理主義」と「哲学」(及びソフィスティケイトされた非カル系宗教)が「悪魔」(紛(まご)うことなく存在する人間精神の醜悪な部分)を徹底的に隠蔽したことによって、人間の完全で合理的な自由意志に基づく理想の民主主義社会が実現するかに見えたはずであるにもかかわらず、それどころか、我われはその「悪魔」の逆襲に晒され易くなっているのです。
●つまり、「科学合理主義」と「政治権力」(これも、紛(まご)うことなく善と悪の配合的バランスがエネルギー源となっている)の癒着こそが「新自由主義」なるカルト的エセ思想を育んだ悪魔の胎盤です。別に言うならば、これは「現代政治が再び魔術(悪魔)的政治の時代へ逆戻りしつつある」ということです。そこで絶えず満を持して出番を待っているのが「軍需関連産業」(≒産軍複合的ビジネスの裾野の広がり)の拡大・浸透のダイナミズムであるという訳ですです。そして、6年前に、我が国でそのための露払い役を意識的に買って出たのが小泉純一郎であり、それを引き継ぎ、早まって図に乗リ過ぎ、本音を露骨に出してズッコケたのが安倍晋三です。
●しかも、この傾向を助長してきたのが我が国のメジャーなマスメディアであり、特に<悪魔に魂を売り払った民放テレビの低劣な映像の垂れ流し>は有害なドーピング薬物のような役割りを果たしながらゼニ儲けに勤しむばかりです。もはや、それは大悪魔の臭い息と涎(よだれ)が振り掛かった有害なジャーゴン(Jargon/政治的意図で意味不明とされた術語・隠語/参照、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9A%A0%E8%AA%9E)の放射以外の何物でもありません。
●それはさておき、ここで厄介なのは、もはや「軍需関連産業」の裾野の広がりと一般の経済・生産活動との境目の見極めがつかなくなっていることです。なぜなら、一口に「軍需関連産業」と呼ぶとしても、その内容を具に取り上げようとすると困難を極めるのが実情だからです。武器・弾薬・軍用機・軍用車両・艦船などは明らかに「軍需関連産業」と見なすことができますが、電子機器・核燃料・医薬品・食品・繊維などはグレーゾーンになってしまいます。結局、現代の経済社会は好む好まざるにかかわらず限りなく「軍需関連産業」の恩恵を蒙らざるを得ない構造となっている訳です。
●だからこそ、重要なのは我われ<一般国民の平和への意志>であるということになります。その中でも、特に重要な責任を負うべき役割が政治家・投資家・企業経営者・専門研究者らであることは言うまでもありません。なぜなら、彼らこそ積極的に平和のタネを蒔くべき立場にあるからであり、この点でも「軍需関連産業」の裾野の広がりはドーピング問題の構図に共鳴する部分があります。しかしながら、最も重要なのは、我われ一般の国民・市民が平和への意志を強く訴え続けることです。イラク戦争、アフガン戦争、イラン問題、パレスチナ問題、朝鮮半島問題など、そしてミャンマーの軍事政権の残虐等を引き合いに出すまでもなく、今の世界は戦争・軍事一色に塗り込められているかのようです。
●しかしながら、必ずしもそればかりではありません。東西ドイツ統一を成し遂げたゲンシャー(西ドイツ外相)の多国間平和主義の精神(≒立憲愛国主義の精神)とフランス流共和主義の理念の融合をルーツとするEU(欧州連合)による戦争回避努力への意志、あるいは、遅まきで予断を許さぬ状況ながらも、東アジア(朝鮮半島問題)を巡る六か国協議における歩み寄りへの意志が垣間見えつつあります。東西ドイツ統一が、その後の東西冷戦構造の崩壊に繋がったことは明らかであり、ある試算は、この東西ドイツ統一がヨーロッパ地域だけで少なくとも300万人以上の人命を救ったと見なしています。無論、東西ドイツ問題が米ソ間の核戦争へ直結・拡大したとすれば、地球上の人類の生命がどれほど失われたかは想像を絶することです。
●言うまでもなく、今の世界で最も大規模な軍事力が対峙するのは日本を含む北東アジア地域です。ピョンヤン(平壌)を中心に円を描けば分かりますが約1,500kmの範囲内に北朝鮮・韓国・アメリカ・ロシア・中国・日本(=六か国)の強大な軍事力が対峙しており、軍装備・兵力ともに、これほど大規模な軍事力が対峙する地域は世界を眺めても他にはありません。たまたまのことですが、朝鮮戦争の最後の戦火(1953年)からの55年間は中近東やアフリカなどの如く容易に火を噴いてこなかっただけです。もし、これが火を噴いた場合の人的な被害も想像を絶する規模となります。
●2007.10.8に、イギリスのシンクタンク、オックスフォード・リサーチ・グループがドロ沼化する一方のイラク戦争、アフガン戦争についてレポートを発表(10/7)したことが報じられています(出典:2007.10.9付、ロンドン発・共同通信)。それは、世界規模でのテロ封じ込めで成果をあげるには米軍主導の多国籍軍がイラクから即時撤退することが必要だとしています。そして、米国の対テロ戦争が却ってテロ支援者を増やす結果となっているので、戦略を根本から練り直しつつイランとシリアを巻き込んだ集中的な外交努力が必要であると主張しています。
●おそらく、このレポートの背景にあるのは<大方のイギリス国民の平和への意志>であり、ヨーロッパ諸国の市民レベルも同様の<多国間交渉による平和実現への意志>を持っているはずです。それどころか、イラク・アフガン戦争の当事国であるアメリカ国民の過半以上もイラクからの撤退を希望しています。そして、何よりも注目すべきはアメリカ・ブッシュ政権の北東アジアにおける戦争回避の意志です。任期の終わりを目前としたブッシュの実績稼ぎ、あるいはイラク・アフガン戦争を天秤に掛けた現実的な選択という可能性もありますが、見逃すべきでないのはブッシュの政治権力を押してきた勢力の戦略に変化が出てきたという可能性です。これには、地球環境問題に関する危機感の増大が影響を与えている可能性もあります。
●いずれにしても、残念なのは、このような<コンマ差で平和への意志に傾きつつある世界政治のリアリズム>に鈍感な日本政治の現実です。言うまでもなく、ここで生かすべきは<広島・長崎の原爆体験>であり、不戦と多国間交渉主義を徹底させた<日本国憲法の平和主義>の精神です。国家を守るために命を捧げるだけが愛国ではなく、平和憲法を守ることに全知・全能(人生)を捧げるという愛国のかたちもあり得るはずです。このような意味でのリアリズムに鈍感なのが日本の大方の政治家たちです。また、このような観点から、これからの地球環境問題と平和を視野に入れたグローバル経済のあり方を考えることができないのが、自民党へ巨額の賄賂(政治資金)を手渡すしか能がない日本経団連のお偉方です。ホンネ部分では地球環境問題に無関心で軍需産業の拡大へ過剰に傾斜する成長戦略は、間もなく世界中のつまはじきになるはずです。
●直近の記事[2007-10-09付toxandoriaの日記/「福田自民党」と「小沢民主党」に共通する日本政治の老人性痴呆化の問題(補足・改題記事)、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20071009]で、「テロ特措法問題」を巡り、二大与野党の福田&小沢・両党首を槍玉に挙げましたが、これは「老人性痴呆症」に対する差別的発言のつもりではありません。このお二方に代表されるが如く、その他の多くの国会議員の先生方も実年齢とは無関係に<老人性痴呆化シンドローム>を患っている懸念を訴えた訳です。ともかくも、今のままでは、ほどなく“日本だけが、<コンマ差で平和への意志に傾きつつある世界政治のリアリズム>に鈍感なままで「テロ特措法&ドーピング」問題に共鳴する<軍需利権型資本主義>を暴走させる”ことになる可能性があります。
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◆なお、当記事はsophiologistさま、kaisetsuさまから[http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20071009]へ頂いた下記のコメント&TBに触発されて出来たものです。
(コメント/sophiologistさま to toxandoa)
toxandoria様
今回もTBがうまく送信できないので、コメント欄を代用させていただきます。ひとこと言いますと、日本経団連巨大資本と私のいう大資本的自由主義=全体・独裁主義は通じますね。
「大資本的自由・民主主義と精神・社会的自由・民主主義と大資本的自由主義=全体主義・独裁主義」
http://d.hatena.ne.jp/sophiologist/20071023』 (2007/10/10 02:26)
(TB/kaisetsuさま to toxandoria)
「小泉改革」に異議あり―そのネライとホンネ大研究 (単行本) 久慈 力 (著)
http://blog.kaisetsu.org/?eid=596320
罠としての小泉政権ー日本の自爆, 2003/6/19
By C.ハサウェイ - レビューをすべて見る
小泉政権発足当時当時小泉純一郎の怪しさを見て取っていた本として評価できる。見かけは改革者、中身は最も古びているものという、その本質を。
小泉首相が日本にとって罠だったことは今や確実である。彼の政権時代、多分小渕政権の頃から始まっていた理性よりも訳の分からない機械状のものに依存した なし崩しの世界が大幅に強化された。自民党の神道系の壮大な頭の悪さに対する認識を欠いていたのが致命的だった。今や日本は自公保という最も醜悪な土人政 権のもとで問題解決に暴力が推奨される社会へと突入したように思う。
丁寧な論証や冷静な分析を毛嫌いし、安易ななし崩しの雰囲気が今や支配的である。今思 えば石井こう基議員が殺されたのが5.15事件だったのだと思う。それが小泉政権下で起きてきたことも偶然ではあるまい。今後よせばいいのにわざわざ国家 統制が強化され世界資本主義から脱落してゆくのである。小泉純一郎、竹中平蔵、木村剛などなどマスコミが作り出した学問的見解など丸でない土人の残虐性と 情緒に訴えるデマゴーグたち。
『toxandoria の日記、アートと社会』、2007-10-09
[民主主義の危機]「福田自民党」と「小沢民主党」に共通する日本政治の老人性痴呆化の問題(補足・改題記事)
(一部、抜粋)
ともかくも、kaisetsuさまがおっしゃるとおり総理就任後の福田康夫氏は必死になって安倍政権が書きなぐった「美しい国」と「戦後レジームからの脱却」の板書内容を黒板消しで消しまくっています。
しかし、その背後には、一向に“ドグマへの執着が失敗の原因を作る”という世界のリアリズムに気付くことができないアナクロな極右勢力が潜んでいると見ています。』 (2007/10/04 22:41)
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