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【新世界事情】最強スタミナ食
【東京新聞】2007年8月8日
ウナギか焼き肉でも食べようか−。バテた体にパワーを注入したいとき、日本人ならまずこうくる。スタミナをつける食事にも、各国それぞれのお国柄がにじみ出るもの。そこできょうは世界のスタミナ食を紹介する。口に入れるべきか一瞬たじろぐディープなやつも含めて。
アミノ酸の宝庫、サソリ 中国
北京最大の繁華街・王府井。その中心部から北に数十メートル足を延ばすと、海鮮料理、肉料理など屋台が路上に所狭しと並ぶ。
その中で、欧米の観光客が目をむいて注視する屋台がある。店頭には大小数千匹のサソリ。全長がおよそ十センチのサソリは日本円で二匹約八百円、四、五センチの小さな方は、三匹ずつくしに刺して約二百四十円。
当地で店を出して約十数年になる鄭仲斌さん(40)は客からの注文があると、サソリをつまみ上げ、傍らにある高温の油でサッと揚げ、塩をふって客に手渡す。
「お客さんは圧倒的に男性が多いね。でも、本当は女性の美容に効果てきめんなんだ」
鄭さんの話によると、サソリは、人体に必要な十数種類のアミノ酸、豊富なミネラルを含んでおり、体の機能を調節し、活力を増強する作用があるとか。毒素を体の外に排出する効果もあり、「毎日食べてるうちの女房なんて、肌がスベスベさ」と顔をほころばせた。
サソリが食卓にお目見えしたのは約千年前にさかのぼるといい、最初は宮廷料理として始まり、民間に広がったそうだ。鄭さんの店で売るサソリは、北京郊外にある専用養殖場から調達している。
くし刺しにされた小さい方をおそるおそる味見してみると、サクサクとした歯触りはなかなかいい。油で揚げたイワシの骨と少し似た味。冷えた生ビールにも合いそうだ。 (北京・城内康伸、写真も)
歯ごたえ満点、活タコ鍋 韓国
「げっそりやせて横たわる牛にタコ三、四匹を食べさせれば、いきなり起きあがる」−。
李氏朝鮮時代の魚類学の本にこんな記述が登場するほど、韓国では古くからタコをスタミナ食材としてきた。生きたタコを煮立てた鍋に突っ込む豪快な料理「軟泡湯(ヨンポタン)」は、韓国の夏のスタミナ食として人気のメニューだ。
犬肉の鍋「補身湯(ポシンタン)」や鶏肉を使った「参鶏湯(サムゲタン)」も夏バテの時に食べる定番料理だが、海産物を材料とするこの鍋を好む人も多い。
タコ料理店が集まるソウル中心部・武橋洞にある「木浦セバルナクチ」を訪ねた。もともと軟泡湯は韓国南西部、全羅南道の郷土料理で、店の主人の朴柱昌(パクジュチャン)さん(53)も全羅南道の港町、木浦の出身という。ちなみに「セバルナクチ」とは細足タコのこと。
早速注文すると、ニラやダイコンなどの野菜類、アサリ、エビが入った浅い鍋が出てきた。スープはリンゴやナシ、昆布、貝類を六時間以上煮込み、わずかのしょうゆと塩で味を調えたもの。卓上コンロで煮立ったら、タコの登場だ。
女性従業員が、タコを生きたまま鍋に入れ、今度は慣れた手つきで、はさみでバチン、バチン。あっという間に赤くゆであがり、食べごろになった。タコは歯ごたえがプリプリ。あっさり味のスープで、暑い日でも食が進みそうだ。
「夏に食べれば、暑さで疲れた体の元気回復に効き、秋に食べれば皮膚に良いんですよ」と朴さん。この店では全羅南道で捕れたタコを毎日仕入れており、一日に六十−八十匹を使うという。(ソウル・中村清、写真も)
人気のスープは『No.5』 フィリピン
一年中暑いフィリピンでは、ニンニクを使った料理が主流だ。でも、このスープには、より強力な「スタミナ源」が輪切りになって浮いている。
スープNo.5(ナンバーファイブ)。牛骨、タマネギなどでダシを取った伝統のスープ「ボラロ」に、じっくり煮込んだ牛のペニスがメーンの具。そこに、焦がしニンニクとワケギを加えた最強のスタミナスープだ。
マニラ首都圏マカティ市にある終日営業の屋台には、深夜、タクシーのドライバーがひっきりなしに訪れる。「眠くなったら、これ。週に三度は通っています」と、運転手歴十年のバディさん(55)。ガーリックライスとの組み合わせが「最高に効く」という。
とろみのあるスープは焦げ茶色。バケツで洗っただけのスプーンでおそるおそるすすると、たまりじょうゆをお湯で割り、コショウを足したようなピリ辛塩味。まな板の上でたたき切った「輪切り」はゼラチン付きの軟骨で、こりこりしていて無味無臭。おわん一杯で四十五ペソ(約百二十円)は、屋台のメニューの中では高級品だ。
「あんた、今夜は眠れないよ」と豪快に笑う女将に、なぜ「No.5」という名前が付けられているのか尋ねたが、「さあ、いわれは分からない」。一説によると、このスープで元気づいたカップルが子宝に恵まれ、女性のおなかのふくらみが「5」の丸みに似ていることから、こう呼ばれるようになったそうだ。(マニラ・青柳知敏、写真も)
伝承医学で食欲増進 英国
北海道より北に位置する英国にとって、夏の猛暑はほとんど無縁。「ローストビーフ」などの肉類はよく食べても、夏バテを意識した伝統的料理は見あたらない。そこで、英国に浸透し始めたインド発祥の伝承医学「アユルベーダ」に基づき、食事のアドバイスをしている専門家に理想のスタミナ食を尋ねてみると…。
インド人医師のウォーリーさん(59)は一九八九年、欧州にアユルベーダを普及する会社を設立。地元ロンドンの大学で各種セミナーを開催しているほか、病人やダイエットに取り組む人たちから毎月約千五百件の食事相談を受けている。
「生命の科学」などと訳されるアユルベーダは、人間の構成要素を「宇宙」「空気」「火」「水」「地球」の五つとし、組み合わせによって三タイプに分類する考え方が基本。日本人は宇宙と空気からなる「VATA」タイプが多く、やせ形で乾燥肌、睡眠が少ないことなどが特徴という。
VATA向けに作ってもらったスタミナ食は、レンティル豆のスープに、ジャガイモとカリフラワーなどのトマト煮、ブドウの葉の煮物にモヤシの煮物の四種類。どれも香辛料がきき、食欲増進にぴったりだ。
「ナンや米などの炭水化物を多く取るように心がけ、生の魚や冷たい食べ物と飲み物を避ける。バナナはとてもいい」
夏バテ防止に日本人はウナギを食べると話すと、ウォーリーさんは「ウナギはダメ。水中で激しく動くため、平穏が必要なVATAに向いていない。塩分も高くなりすぎる」と強調していた。
(ロンドン・岡安大助、写真も)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/newworld/CK2007080802039570.html
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