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日本人の死と金融破綻と財務省官僚たち・その2 【松浦淳のブログ】
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投稿者 そのまんま西 日時 2007 年 8 月 04 日 10:50:39: sypgvaaYz82Hc
 

日本人の死と金融破綻と財務省官僚たち・その2 【松浦淳のブログ】
2004.12.24

 以下は『文藝春秋』(2003年6月号)より。

『血脈ネットワークの全貌
日本支配 官僚閨閥図
「娘の婿はやはりエリート」中枢官僚の悲しき性(さが)
   グループ霞が関

 エースの復権
 三年という、異例の長きにわたって事務次官をつとめ、「10年に一人の大物次官」の名をほしいままにした財務省の武藤敏郎(昭和41年入省)が、日本銀行副総裁に就任した。
 次期総裁含みのこの人事は、大蔵スキャンダル、財政・金融の分離など、凋落の一途をたどってきた財務省の復権を高らかに告げるものだ。
 大蔵スキャンダル当時、武藤は官房長としての監督責任を問われ、総務審議官に格下げされている。しかし、「大蔵のエース」はそんなことではつぶれなかった。
 次官に就任するや、大蔵バッシングの嵐で再就職浪人を余儀なくされていた先輩次官たちを、次々と有力天下り先に押し込み、その辣腕を遺憾なく発揮した。
 斉藤次郎(34年)は東京金融先物取引所理事長、篠沢恭助(35年)は国際協力銀行総裁、小川是(37年)は日本たばこ産業会長、小村武(38年)は日本政策投資銀行総裁、田波耕治(39年)は国際協力銀行副総裁、薄井信明(40年)は国民生活金融公庫総裁と、かつて「大蔵の植民地」とよばれた天下り先をことごとく復活させた。

(中略)

 ……大蔵省は、突出して部下を女婿とする例が目立つ。
 その背景には、大蔵特有の強烈なエリート意識があるという。大蔵省内部でも、国家公務員試験が20番以内のエリートたちは、自分たちを特別な存在とみなし、「大蔵一家」の中核を形成する。
 大蔵次官・国民金融公庫総裁・日本開発銀行総裁を歴任した吉野吉彦(28年)のように、「ピン・ピン・ピン(1・1・1=東大法学部首席、国家公務員試験一番、事務次官)」となることが無上の栄誉である世界だ。
「大蔵省のエリートコースにいることは、すでに意識のうえで別世界の住人なのです。ですから、彼らには愛娘の婿は自分とおなじ世界にすむ大蔵エリート以外考えられないというメンタリティがある」(全国紙記者)
 小沢一郎とタッグを組み、細川内閣では自民党を敵に回して国民福祉税構想をぶち上げるなどの豪腕で知られ、武藤と同じく「10年に一人の大物次官」とよばれた斉藤次郎も、稲垣光隆(主税局税制第三課長・55年)を女婿に迎えている。
「斉藤は、『おれが大蔵省時代にやった最大の功績は稲垣を婿にしたことだ』といってはばからないほどです。稲垣も入省2番の秀才で、前後3年見わたしても断トツの逸材」(経済紙記者)
 彼らの多くはいわゆる名門閥族の出身ではない。「大蔵一家」のメンバーになる条件はただひとつ、日本最高の偏差値エリートであることだ。
 明治以降、日本の行政中枢を握るエスタブリッシュメントは、門地ではなく、高等文官試験(いまの国家公務員試験)の成績によって形作られてきた。
 片田舎の秀才が、東京帝国大学を優等で卒業し、高文試験を上位で通過することで、都会の名流とおなじ世界で生きることができる。
 欧米では考えられないこの制度が、日本近代のダイナミズムの源であったことは間違いない。強烈な選良意識は、義務感に裏づけられているかぎりプラスに働く。民主主義になればなるほど、エリートが必要になることを、この10年、日本人は痛切に学んだはずである。(中略)
 しかし、「別世界の住人」という意識は、ひとたびタガが外れると、一連の大蔵スキャンダルで見られたように、常識はずれの接待を受けてもなんら疚しさを感じない、歪んだ特権意識をはぐくむことになる。
 接待スキャンダルの長野は「三冠王(東大法学部首席、司法試験一番、国家公務員試験一番)」とよばれた大秀才であり、過剰接待スキャンダルで辞任した田谷広明(元東京税関長・43年)も入省一番であった。(後略)』

 この文藝春秋の「官僚閨閥記事」は、大蔵省から通産省、さらに外務省へと官僚を俎上にのせて論議している。要点は、血筋の話。大蔵省が女婿を取ることで優秀な人材を「インナーグループ」に入れるのに対して、外務省では以前は「外交官試験」という「裏口試験」があり、外交官のバカ息子が「世襲外交官」になれたというメカニズムを披露している。
 要するに、官僚は「官僚としての能力」で評価されるのではなく、「紙の試験」で優秀な成績を収め、権力者(高級官僚や財界人)の娘を貰う――それがこの国で権力を握る「最も正当確実な方法」なのである。
 財政赤字解消に貢献したとか、素晴らしい福祉制度を実現したとか、国家を守ったとか、で官僚が評価されるのではない――試験と女婿なのである。後は、行政官としてどんなに無能でもヤクザ組織のように硬い結束を示す闇の集団(官僚組織)の思惑で、権力の座に居座り続け、ノーパンしゃぶしゃぶ店で女性のノーパンスカートに頭を突っ込み、将来は高給を食む天下りが可能となるのである。

 ここで私は官僚論をしたいわけではない。
 日本人の死に方について考えているのである。
 死を乗り越える方法は、おそらく、畢竟、次の二つしかない――神(信仰)か愛か。
 このいずれか(あるいは二つとも)を心に抱いている人は、死を乗り越えることができると思う。ところが、先ず、信仰を持っている人は日本には少ない。魂の救済、などと言っても鼻で笑う日本人が殆どであり、坊主を見れば戒名料金をどれだけ値切るかしか思い浮かばない。日本史の中で唯一魂の救済を唱えた宗教・浄土信仰は、もともとその発症はインド西部に暮らしていたユダヤ人・ユダヤ教の影響を強く受けて成立した。救世主信仰と浄土信仰は重なる。しかし、今の日本では、この浄土信仰も既成仏教の一つとして形式的なものになってしまいスピリチュアルなパワーは殆ど無いに等しい。
 信仰が無くても、愛があれば――と思うのだが、「愛を侮蔑するのが日本の正しい大人の姿」のようなのである。財務省官僚たちを見るといい。権力を握るのは、「愛云々などにかかずらわず」出世のために上司の娘を大人しく貰う男である。
 愛だ云々だと言って「自由恋愛」などをして結婚した男は、出世できない、権力を握れない、まして「どれほど官僚として・行政官として有能でも」大きな責任ある地位にはつけないのである。
 これは財務省だけの話ではないのだ。多くの官庁で、多くの会社で、多くの組織で、「愛なんぞガキのたわごと」と言って、愛のない結婚生活を送り、愛のないセックスをして子孫を残し、過剰な性欲は「ノーパンしゃぶしゃぶ」で発散し、行政指導を受ける会社の連中に(MOF担などに)売春接待を受ければいい――これが「日本のできる男の姿」なのである。
 ちなみに、関東のある有名大学病院に勤務していたナースから聞いた話を一つ。
 教授が医局の医者(優秀な人物)に嫁を世話した――というより、文句を言わせず押し付けた。その医者は教授に逆らうことができず、ナースたちも心配するほど「落ち込んでいた」という。しかし、結局は教授の命令通りに結婚した。教授に逆らえば出世の望みなどなくなるほどに「厳しい師弟関係」が関東の優秀な医者の世界では残存しているらしい。これは財務省の官僚たちと全く同じだろう。つまり、「愛だなんだと冬ソナみたいなことを言っていてはこの世界ではやってられない」のである。
 神を、来世の希望を、冷笑するのが日本人の正しい生き方である。
 愛を冷笑することもまた、日本人の正しい生き方なのである。
 少なくとも何の力もない庶民とは違って、権力の側にいる日本人には神と言えば国家神道の神なのであり、愛といえば宝塚か帝劇の演目で有閑夫人が暇を潰す題材に過ぎないのである。そうでなければ「組織」の中でやってゆけない。

 こうして神と愛をバカにして「ずーっと生きてきて」、ある日「癌で余命3ヶ月」と宣告された日本人が、どうやって「死と立ち向かう」ことができるのだろうか?
 私は何百人もの日本人の死に立ち会ってきたと書いた。入院してきて2,3日で死んだ患者もいれば、何年も抗癌剤で治療してきて付き合った患者が死んだこともある。16歳の少年、30歳の医者、40歳の主婦、50歳の官僚、60歳の――いろいろな人の死に様を見てきた。
 神への信仰を持っている人は、片手で数えるほどしかいなかった。
 ところが、家族への愛を持っている人は大勢いた。財務省の下劣なノーパン官僚たちとは違い、「好いた惚れた」で結ばれた夫婦は、家族の愛で死をどうにか納得し、死を迎え入れることができていた。
 どれほど政治や経済、医療や外交に問題があっても、もし日本人の「美点」を挙げるとしたなら、家族への愛情が極めて強いことだろう。家族への愛情があるからこそ、日本の男たちは(普通の男たちは)、この不正に満ちた社会の中でも精一杯働き、家族を養うことに必死なのだ。そういう男たちは、きっと「死を乗り越えることができるだろう」。

 家族への愛情が最大の「美点」である日本人を私はある意味では誇りに思っていた。官僚がどうしようもない下劣な連中だったとしても、それを生み出しているのは日本人であり、官僚が日本人を財政破綻に導き、近い将来大混乱が起こり、日本が貧窮化しても、「家族愛」でどうにかやってゆけるだろう、豊かさだけが人生じゃないのだと。
 ところが、その日本人の家族愛にも疑問を持たざるを得なくなってきている。
 以下はヤフーサイトより。

◎ 「待ち伏せ」とめぐみさん 自分の拉致、曽我さんに
 拉致被害者横田めぐみさん=失跡当時(13)=が北朝鮮で、自分が拉致された状況について「待ち伏せされた」と曽我ひとみさん(45)に話していたことが14日、関係者の話で分かった。
 北朝鮮はこれまで、横田さんの拉致は「計画的ではなく突発的な行為だった」と説明しているが、計画的な犯行だった可能性が出てきた。
 関係者によると、曽我さんは拉致された後、北朝鮮の招待所でめぐみさんと一緒に生活した際に聞いたとみられ、めぐみさんの両親にも内容を伝えたという。
 めぐみさんは新潟市立中学1年だった1977年11月15日夕、バドミントン部の部活動を終え、帰宅途中に拉致されたとされる。
(共同通信) - 12月14日21時47分更新

 横田めぐみが「待ち伏せされて拉致された」ということは、新潟に「内通者」がいたということを意味しているのではないだろうか。
 こうして「家族が拉致されて殺されている」にもかかわらず、朝日新聞や大江健三郎・加藤紘一に土井たか子などに「扇動されて」、日本人の美点である家族への愛すら、日本人は捨てようとしている。そこまで堕落した国民は・国家は、滅亡しても仕方のないことなのかもしれないと、思う。
『September 11』の中から引用した言葉、
By the time I reached home, I was covered in white soot. It was falling from the sky like a winter storm. When my wife saw me, she came crying down the street.
 この came crying down the street という言葉はなんて美しいんだろう。まるで映画のクライマックスのシーンのように頭に浮かんでくるではないか。……もし、横田めぐみが殺されておらず帰国できたら、きっと横田夫妻は大きな声で泣き叫びながら彼女に向かって駆けてゆくことだろう……そして抱きしめることだろう。
 この世の中にたった一人でも、came crying down the street してくれる人がいたなら、あるいはたった一人でもdash crying down the streetする対象がいるのなら、それだけで、もう十分に、この人生を生きる意味はあったのだと思う。

 …………などと、雑誌を読んで考えたりしていたものだから、昨日も本の整理はさっぱり進まなかったのであった。

http://plaza.rakuten.co.jp/atsushimatsuura/diary/200412240000/

民主、武藤氏「認めず」 日銀次期総裁【東京新聞】
2007年8月4日 07時39分

 民主党の鳩山由紀夫幹事長は3日の記者会見で、次期日銀総裁の有力候補として名前が挙がっている武藤敏郎副総裁の総裁就任に反対する考えを明らかにした。日銀の正副総裁は、衆参両院の同意を得て内閣が任命することになっており、与野党逆転の参院で、ほかの野党も民主党に同調すれば、武藤氏は就任できなくなる。

 武藤氏は元財務省事務次官。民主党は2003年に武藤氏が副総裁に任命された際も「財務省による日銀支配の気配がある」として反対した。

 鳩山氏は「武藤さんに関して、新しい状況が存在してきたという状況ではない。考え方を今変える環境ではない」と反対する理由を説明した。

 一方、鳩山氏は、同じく総裁候補に名が挙がっている竹中平蔵前総務相については「十分に知識がない」と述べるにとどまった。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007080490073738.html


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