★阿修羅♪ > Ψ空耳の丘Ψ50 > 105.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
カスピ海は海か湖か ロシアやイラン 沿岸5カ国が論争【東京新聞】
2007年7月8日 朝刊
カスピ海は、「海」か「湖」なのか−。内陸の「湖」として、世界最大の面積を誇るカスピ海の「法的地位」をめぐり、沿岸五カ国で今も議論が続いている。「正解」が出ない理由は、豊富なエネルギー資源の「所有権」が、海か湖かで大きく異なってくるためだ。地域紛争の火種にもなりかねない論争の背景を探った。
(モスクワ・稲熊均)
カスピ海に埋蔵されているエネルギー資源は、原油が百五十億−二百九十億バレル(確認埋蔵量)、天然ガスが二百三十六兆−三百三十七兆立方フィート(同)といわれ、ペルシャ湾に次ぐ規模だ。
カスピ海が国際法上の「海」であった場合、これら資源は国連海洋法条約により、沖合二百カイリまで沿岸国が所有権を得ることになる。
「湖」とされれば、国際的慣習から水域内の資源は沿岸諸国の共有財産となる。
◆ソ連崩壊で変化
ソ連時代、カスピ海沿岸はソ連とイランの二国で、両国は条約で「湖」と規定し、話し合いで権益を分配していた。
しかし、カスピ海底で次々に油田、ガス田が見つかり、確認されたのはソ連崩壊後。その大半は新たな独立国となったアゼルバイジャン、カザフスタン、トルクメニスタンの沖合だったことから、この三カ国はソ連時代のイランとの条約を無視し、カスピ海を「海」と規定。資源の所有権を主張してきた。
これに対し、沿岸線が比較的短く、沖合でエネルギー資源がほとんど見つかっていないイランは領海分割に反対、20%ずつの五カ国均等分割にすべきだと訴えている。
◆見直しの動きも
微妙なのがロシアの立場だ。当初は沖合に資源がないため、イランと歩調を合わせてきた。しかし、一九九八年に油田が発見されると一転、「海」と位置づけるようになった。
二〇〇二年に初めて開かれた沿岸五カ国首脳会議では、イランを説得する側に回ったが、決裂。その直後には、隣接のアゼルバイジャン、カザフと相次いで「水域分割」で合意、カスピ海が「海」であることを既成事実化してしまった。
ところが、最近、欧米との対立を背景に、ロシアの態度に再び変化が出てきた。
プーチン政権が欧州への独占的なエネルギー供給で政治的影響力を強めているのに対し、欧米は中央アジアからロシアを通らず、中欧と東欧にエネルギーを送るルート開拓を進めている。その中核となるのがカスピ海底を横断するパイプラインだ。水域が分割されていると認めれば、ロシアはこの建設に口出しできない。
また、軍事面でも、水域分割による危機感がロシアに生じている。
親欧米路線をとるアゼルバイジャンが米国と共同で、カスピ海の自国水域に艦隊を配備する計画を打ち出したためだ。水域分割がこれらの問題を招いたことから、ロシアはカスピ海を「海」とする政策を見直しつつある。
六月末に開かれた沿岸五カ国外相会議で、ロシアはイランの主張にも理解を示し、「五カ国の総意によってのみ、カスピ海の法的地位は決まる」と強調。水域分割を決めたカザフなどとの二国間合意を「暫定的な合意」に後退させた。
◆メド立たぬ会議
プーチン政権は年内にも五年ぶりの首脳会議を開催し、ロシアの国益に沿った形で、カスピ海の法的地位を確立するとの方針だ。しかし、「各国間の調整が難しく、開催のメドさえ立っていない」(ロシア外交筋)のが現状だという。
<メモ>カスピ海 150万年前に海洋から分離した塩湖。面積は約37万平方キロメートルで日本の本州の1・5倍。エネルギー資源以外でも、キャビアとなる魚卵が取れるチョウザメは世界の約6割が生息している。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2007070802030551.html
▲このページのTOPへ HOME > Ψ空耳の丘Ψ50掲示板
フォローアップ: