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出色のライター 外務省のラスプーチン [デイリータイムズ]
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投稿者 white 日時 2007 年 7 月 06 日 16:09:43: QYBiAyr6jr5Ac
 

□出色のライター 外務省のラスプーチン [デイリータイムズ]

 http://www.dailytimes.jp/environment/2007/07/post_6.html

出色のライター 外務省のラスプーチン
 ラスプーチンは帝政ロシア末期、ニコライ?世の信任を得て権勢をほしいままにし、暗殺された怪僧である。

 いま、出版界で次々に、話題のインテリジェンス関係の著作を刊行している佐藤優(起訴休職外務事務官)には、“外務省のラスプーチン”の渾名(あだな)が冠せられている。

 02年、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕され、東京拘置所独房に512日間閉じ込められた。裁判の結果は1、2審ともに執行猶予付きの有罪となって、現在、上告中である。

 並みの人間だったら、激変した境遇にやけくそになって不思議はないのに、わがラスプーチンは、旺盛な筆力と行動力で多岐にわたる執筆活動を展開している。

 その著書は、身をもって体験の国策捜査の内幕を暴いた『国家の罠ーー外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)、『国家の自縛』(産経新聞社)、ソ連崩壊をリアルタイムで描いた『自壊する帝国』(新潮社)、『日米開戦の真実』(小学館)、さらに鈴木宗男と共著の『特命交渉』(講談社)、手嶋龍一と対談の『インテリジェンス 武器なき戦争』(幻冬舎)、魚住昭との共著『ナショナリズムという迷宮ーーラスプーチンかく語りき』(朝日新聞社)、『獄中記』(岩波書店)、『国家と神とマルクス』(太陽企画出版)、『国家の謀略』(小学館)と、10点に余る力作を刊行し、『自壊する帝国』は第5回新潮ドキュメント賞、第38回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞、目下、ベストセラー街道を走っている。

 外交官には二つの顔があり、その裏面はインテリジェンス・オフィサーとして、諜報活動に骨身をけずるとされている。佐藤優は対ロシアの外務省きっての情報分析官と言われていた。

 そのラツ腕外交官を、外務省の陰の仕掛人・鈴木宗男と共に、国家の罠で逮捕に至ったのは、北方領土をめぐってのロシアとの特命交渉で、外務省に瑕瑾(かきん)があったからと見られている。

 全貌(ぜんぼう)は、近い将来ーーラスプーチンが外務省を放逐された時に明らかにされると考えられるが、佐藤優ほどの力の持主を野に放してしまうのは、国家的な損失であろう。

 佐藤ラスプーチンのすごさは、インテリジェンス・オフィサーに不可欠とされる偽装して食べていけるに充分な二つの顔を持っていることである。

 その一つは自らが認める大学教授。それも日本語や日本学ではなく、ドイツやモスクワの大学で、あちらの言葉を駆使してプロテスタント神学を教える学力。いま一つは牧師の資格だった。

 そして、ここに来て著作と講演活動で充分に食べていけることを、開陳しているのである。 

 諜報活動に二つの顔が必要と言えば、その典型にリヒャルト・ゾルゲがいた。彼はナチスの「フランクフルター・ツァイトゥング」紙の特派員を偽装して日本へもぐり込み、オット駐日ドイツ大使の信頼を得て、大使夫人と肉体関係を持った上、尾崎秀実らを通じて日本政府の中軸に情報源をつかみ、日本軍に北進の意図のない最高機密をソ連に伝えていたスパイだった。

 ゾルゲのもう一つの顔は、女に食い入り養われる特技ジゴロとしてのそれだった。性を武器に活躍したスパイは過半が女性であった。ゾルゲは、男性にして女を食いものにする臆面のなさがあったのだ。

 諜報活動は、目的のために手段を選ばずの世界といえる。
                                                                    (文中敬称略)

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