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(回答先: 損を認識できない単式簿記、それが日本国の公会計 投稿者 kokopon 日時 2007 年 3 月 17 日 10:06:20)
会計改革は予算編成に役立ててこそ
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20060818/245885/?ST=govtech
桜内文城(さくらうち・ふみき)
新潟大学経済学部・大学院経済学研究科 助教授
1965年愛媛県宇和島市生まれ。1984年愛媛県立宇和島東高校卒業。1988年東京大学法学部卒業後、大蔵省(現財務省)入省。財政、国際通貨などを中心とした政策形成に携わる。ハーバード大学公共政策学修士、マレーシア国立マラヤ大学公共政策学博士。 2002年、新潟大学経済学部助教授に就任(現任)。著書に『公会計革命』(講談社現代新書)、『公会計』(NTT出版、第34回日本公認会計士協会学術賞受賞)など。ホームページ:http://www.sakurauchi.jp/
公会計制度の改革が始まっています。私も委員を務めた総務省の「新地方公会計制度研究会」が、報告書をまとめました。その中で、各自治体に対して「貸借対照表、行政コスト計算書、資金収支計算書、純資産変動計算書の4つの表を3年をめどに整備」という提言をしています。
アカウンタビリティが、公会計改革の目的の一つであることは、誰も疑いを入れないところです。まず、「アカウンタビリティ=単なる情報の透明性、情報の公開の確保」ではないということを、はっきりさせておきたいと思います。公会計制度の改革は、単なる情報開示、決算を開示するための手段・工夫ではありません。もちろんそうした要素もありますが、それだけにとどまってしまうと、問題が矮小化されてしまいます。
アカウンタビリティとは、本当は、会計(アカウンティング)に関連した非常に厳しい概念です。お金を出す人(ガバナンスレベル)とお金を預かる人(マネジメントレベル)がいて、お金を預かった人が受託者責任を負います。預かっている期間に運用などをして、どのくらいお金を増やしたのか、あるいは減らしたのかを会計的に報告すること。細かく言えば、財務情報を複式簿記で作成して、お金を出した人に対して説明する、という意味です。そして、お金を出した人が説明を受け入れて決算を了承すると、そこで初めて受託者責任が解除されるのです。
では了承してもらえなかった場合どうなるのかというと、マネジメントレベルはクビになるわけです。このプロセス全てをさして「アカウンタビリティ」と呼びます。日本には、「俺が責任をとる」といって責任をとらない上司が会社にも役所にもいますが、それはアカウンタビリティを果たしていないわけで、論外なのです。
公会計の場合は「パブリック・アカウンタビリティ」という言い方をします。アカウンタビリティの概念を、少し拡大しています。企業会計にはない要素としては、どこから資源・資本を調達してどこに使うのかという予算決定や、国家経営・自治体経営という観点からの資源配分などが挙げられます。加えて、政府や自治体側からすれば、自分たちの意思決定が正しかったことをきちんと数字で発表していく、という意味を持ちます。主権者である国民や住民から見れば、正しくないお金の使い方や予算の編成をする指導者をクビにできる、ということでもあります。
最近よく使われる言葉に「ガバナンス」があります。政府や自治体の意思決定をしばる組織上の仕組みのことです。例えば憲法には、多数決、人権保障など様々なルールがありますが、すべては政府の意思決定をどうしばるのか、ということに目的が収れんされます。公会計もガバナンスの要素の一つで、政府や自治体の意思決定を「会計」でしばっていくものなのです。
ですから、公会計制度整備の一つ目の目的は、資産と債務の管理です。昨年12月24日「行政改革の重要方針」という閣議決定がなされましたが、その中で「地方においても、国と同様に資産・債務改革に積極的に取り組む」と明記されています。先日、北海道夕張市が財政再建団体入りを表明しましたが、特に負債のコントロールや情報開示がうまくいっていなかった、という点がその原因として指摘されています。「まずはきちんと、資産・債務の管理をしよう」ということです。
二つ目は、資源の効果的・効率的な配分です。要するに「予算の編成」にどう活用していくのか、というところにポイントがあるのです。これが、公会計制度整備の一番の目的です。会計制度の整備とともに、予算編成プロセスの改革を車の両輪として進めることによって、歳入歳出を純資産、資本変動の部にリンクさせれば、将来の財政シミュレーションが可能になります。
また、例えば7月ころまでに決算とその評価を終わらせて、そのデータを予算編成にも役立てられるようになれば、将来を見据えた予算を編成する際に様々なメリットがあると考えられます。今後も、決算の見せ方の工夫だけでなく、効率的な予算編成にどう役立てていくのかという面で、議論を重ねていかなければならないと思っています。
※2006年6月30日に行われた「行財政改革シンポジウム2006」の基調講演を基にコラムとして再構築した
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