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□【書籍紹介】「闇の釣り人」長辻象平氏 [ゲンダイ]
http://news.livedoor.com/article/detail/3067756/
「闇の釣り人」長辻象平氏
「江戸の闇の中、命がけで釣りをする男女の物語です」
“生類憐みの令”といえば徳川5代将軍・綱吉。綱吉自身の干支の犬を筆頭に、馬・鳥・魚などを異様に保護し、違反者は獄門さらし首、あるいは島流しなどのきつい仕置きが待っていた。本書は、この禁制を破り、江戸の闇の中で命をかけて釣りを続けた男女を描く、異色の連作時代小説だ。
「そもそも日本で漁ではなく、遊びとしての釣りが始まったのは江戸の頃。戦国時代の終焉とともに、幕臣の旗本から参勤交代の武家まで、全国から武士が江戸に集まり、彼らが遊行としての釣りを始めた。それがあっという間に庶民まで広がり、浮世絵などを見ると女性の釣り師も多かったんですよ。実際に綱吉の禁令を破る釣り師も絶えず、捕吏とイタチゴッコも続いた。歴史上の事実を踏まえた上での闇の釣り師の物語です」
冒頭紹介されるが、ポルトガル人宣教師の編纂した「日葡辞書」の中にも“釣人(つりゅうど)”の言葉が登場し、本書タイトルはそこによる。そして主人公・無明長四郎はもちろん闇の釣り師。滋養を必要とする者の願いを請け負い、愛竿・黒龍を操り、闇に紛れて鯉などの魚を釣り上げる。禁令破りの冤罪でさらし首にされた親をもつ、三味線師匠・お与満と夜鳴き蕎麦屋の銀七を仲間に、捕吏と丁々発止を繰り広げる。
「綱吉の抜擢を断り、零落する長四郎の実父(土佐藩主、長四郎は妾腹の設定)や、禁令破りで獄門さらし首になったお与満と銀七の親は実在の人物です。また本所に屋敷をもち、後に長四郎らを助ける旗本・津軽采女も実在の人物で、この采女は日本で最初の釣りの本を書き、吉良上野介の娘を嫁にしていた人物。物語に重要な役どころで登場する釣りばかのひとりです」
本作最大の仕掛けは、置行堀(おいてけぼり)や、明かりなし蕎麦、足洗え屋敷、片葉の葦、送り提灯、狸囃子、津軽の太鼓といった、いわゆる江戸七不思議の怪異譚を1編ごとに絡ませ、その謎解きを兼ねていること。
「太公望の神髄、釣り道具史、また綱吉の時代の政治と庶民の暮らしの実態、何より江戸七不思議の解明を楽しんでいただきたいですね」
魚種ごとの釣りの奥義は現代でも通用する。読みどころ満載の釣り時代小説だ。
(講談社 1900円)
【2007年3月7日掲載】
2007年03月10日10時00分
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