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“戦うサービス”の世紀 読者コメント 過去記事一覧へ
「さらば大衆」の戦略に死角あり
問題は市場のパイが小さいということだけではない。実は、高級サービス市場を支えてきたのは、富裕層だけではなく、富裕層+中流階級なのだ。中流階級が高級市場を下支えしてきたと言ってもいいだろう。
「ウチのお店は料理だけで、夜、1人2万6000円から5万円はいただいています。会社経営者やお医者さんといったお金持ちだけではなく、たまには贅沢をしたいという普通の会社員も自腹を切って利用してくれていますよ。少なくとも今までは」と語るのは、東京・銀座にある老舗懐石料理店の若旦那。
そうした“普通の会社員”が属する中流階級が、富の二極化という流れに翻弄(ほんろう)されている。先に述べたように、ストックオプションなどで新富裕層となる会社員もいるが、一方で、リストラによる大幅な賃金カットに泣く者や、退職に追い込まれ経済的に窮地に立つ者もいる。つまり、上に行く中流もいれば、下に行く中流もいるわけだ。数で言えば、終身雇用・年功序列の崩壊によって、将来への不安を強く感じるようになった中流階級の方が圧倒的に多いだろう。
将来への不安は、消費、とりわけ不要不急の消費を抑制する。中流階級が下支えする高級サービス市場にとっては、まさにアゲンストの風だ。
「勝ち組の数さえ減る、米国流の社会」
ベテラン経済記者が言う。
「中流階級でも、将来の不安がなければ宵越しの金を持たず、一点豪華主義の消費に使おうが自由だったんですがね……。でも、『一億総中流の崩壊』で金持ちの裾野がなくなってしまったんです。今の日本が真似ている米国流の資本主義では、永久に勝負を続けるメカニズムが強く働きます。だから、今は一時的に増えている勝ち組の数が、今後はどんどん減り、ごく少数に富がどんどん集積していくでしょう。中産階級はこの150年で増えていったが、これからはぐんと減っていきますよ。無産者は無産者にしかすぎないという現実を知る過程に突入するでしょう」
「さらば大衆」というサービス産業の戦略には死角が多数あるようだ。次回は、いよいよ秒読みに入ったホテル業界の「20007年問題」と富の二極化の関係をリポートしたい。
永井 弘(ながい ひろし)
日経リゾート副編集長、日経ギフト編集長、日経イベント編集長などを経て、現在、編集委員室編集委員。専門分野はホテル&リゾート、イベント。著書に「戦後観光開発史」(第24回「交通図書賞」受賞)、「東京年輪論」、「株式公開でスピードサクセス!−上場・成功社長が実践した“超速”テクニック39」など。
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/management/onservice/051007_shikaku/index2.html#backnumber
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