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http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20071022/138120/?P=3&ST=sp_china
一枚岩ではない中国系米国人
文化とは別に、米国社会の中で中国の存在感を高めているのは、中国系移民の存在だ。350万人というその数は、米国全人口の1%を超える大勢力であり、ブッシュ政権の労働長官を務めるエレイン・チャオ女史をはじめ、公職にも、軍にも、そして財界にも多くの中国系米国人が進出している。
では、こうした中国系米国人の存在は米中関係を支えていると言っていいのだろうか。問題はそう単純ではない。特に政治的なポジションということでは、中国系と一口に言っても様々な立場がある。
まず、中国本土からの移民では、経済的理由での移民に加えて、国共内戦や文革を避けて米国に自由を求めてきた層とその子孫が無視できない。こうした層は、特に中国国内の人権問題に厳しい。また台湾からの移民の場合は、蒋介石政権の戒厳令を忌避してやってきた層も、その後の豊かな台湾を知る層も大陸への警戒心を持ち続けている。
例えば、映画にもなった小説『ジョイ・ラック・クラブ』を書いた作家のエイミ・タンが広範に支持された理由がこうした事情を語っている。彼女が繰り返し描いている母親の中国からの逃避行は「重慶での国民党軍の迫害から逃れて」という少数派のケースだ。
そのために、本土からの移民からも、台湾からの移民からもシンパシーを買うという特殊な位置に立てたと言える。典型的な「文革忌避」移民の2世だったら、もっと生臭い読まれ方をしただろう。そんなわけで中国系米国人といっても決して親中国ではないし、一枚岩でもない。
だが、この350万人の中国系米国人が団結してしまう可能性がないわけではない。それは日中の歴史理解がからんだ時だ。対華21箇条要求に始まって日中の全面戦争に至る歴史の問題となると、台湾系も本土系も、右も左も1つになってしまうのだ。
中国の現代史にとって、抗日というテーマは独立達成のバネとしての精神的支柱と言える以上、これは一種の必然なのだが、仮に日中が歴史の問題で激しく争うようになると、バラバラだった中国系米国人が一緒になって中国の応援を始めるかもしれない。好き嫌いは別として、その可能性は計算しておいた方がいいだろう。