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12月6日(木)
数日前、あるテレビ番組の取材で、朝鮮半島の今年を象徴する一字をフリップに書くように言われた時、迷わず「六」と、書きました。「六カ国協議」を指してのことです。朝鮮半島の今年は、6か国協議で始まり、6か国協議で終わると思ったからです。
2月に再開され、米国の金融制裁の解除→北朝鮮の核施設の封印と凍結→5か国の重油支援→核施設の無能力化と進み、今日から再会される6か国協議で第2段階の最後の核計画申告が行なわれるはずでした。
しかし、本日から開催予定の6か国協議は延期されることになりました。ケーシー米国務省副報道官は4日の記者会見で、年内開催に向けて「中国が日程調整に努めている」と述べていましたが、年内に開催されるかどうかは微妙な情勢となりました。
その原因は、核計画の申告をめぐる米朝間の対立があったようです。訪朝(12月3−5日)を終え北京に戻ったヒル次官補は5日、金桂寛次官との会談で核計画申告の内容をめぐって相違が残り、合意が得られなかったことを明らかにしていました。ということは、米国がウラン濃縮計画や核拡散活動、抽出プルトニウムの量、核爆弾、起爆装置などすべての申告、即ち「完全な申告」を求めたことに北朝鮮が強く反発していると読み取れます。
これまでの北朝鮮側の主張を検証する限り、北朝鮮が難色を示しているのはおそらく一般的に言われるようなウラン濃縮計画やシリアへの核協力ではなく、使用済核燃料棒から抽出したプルトニウムの量及び核爆弾の正確な申告ではないでしょうか。
米国は北朝鮮がこれまでに3段階の再処理を得て50キロ以上のプルトニウムを所持もしくは、それに相応する数の核爆弾を保有しているとみなしています。第一段階は、クリントン政権下での94年のジュネーブ合意までの間の10kg、第二段階はブッシュ政権登場後に封印を解除し、再処理した8千本の使用済燃料棒からの25〜30kg、そして2003年2月から核施設の稼動が停止されるまでの2006年10月までの3年8か月間の18〜20kgのプルトニウムが抽出されています。北朝鮮がこれらすべてを核爆弾化させているならば数にして二桁、すなわち10〜12個保有している計算となります。
北朝鮮は、第二段階の8千本の使用済燃料棒からプルトニウムを抽出し、さらに核爆弾を完成したこと、さらには第三段階のプロセスも認めていますが、第一段階については、過去に否認していました。クリントン政権下でプルトニウムの有無が問題にされた時、米国やIAEA(国際原子力機関)に対して「実験用に90グラム程度抽出しただけ」いうのが北朝鮮のこれまでの説明でした。
また、北朝鮮が1992年に旧ソ連(ウクライナ?)から65kgのプルトニウムを密輸していたとの情報もあります。米国の代表的な軍事・安保シンクタンクのランド研究所のブルース・バーネット専任研究員は2005年6月、「ロシアのKGB情報」を基に暴露していました。こうした疑惑も解明されなければなりません。
北朝鮮がこの機に及んで核計画申告への躊躇いを見せているのは、最初から計算済みなのか、あるいは焦るブッシュ政権から譲歩を引き出すためのじらし戦術なのか、いずれわかりますが、当然のごとく、10月の6カ国協議の合意文書に盛り込まれた北朝鮮の核施設の無能力化と核計画の申告の年内履行実現は難しくなりました。