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http://www.jcj.gr.jp/asia.html#20071114
ミャンマー軍事政権に最も大きな影響力を持つ中国が自制を促したにもかかわらず、軍政は僧侶・市民の平和的デモを武力で弾圧し、取材中の長井健司さんやデモ参加者ら少なくとも10人を殺した。1962年のクーデターから45年、前の軍政を倒した1988年の民衆決起を武力制圧した新軍政が19年、これほど長い年月を軍人が支配している国は他に例がない。
欧米先進国はミャンマーに厳しい経済制裁を課してきたが、軍政当局は1990年の総選挙で圧勝した野党、国民民主連盟(NLD)のアウン・サン・スー・チー書記長を軟禁、多数の当選議員を投獄して国会を開かせないなど、反民主、反人権の専制政治を続けてきた。ついに立ち上がった僧侶達の抗議デモが市民を巻き込み、僧衣の色から「サフラン革命」と呼ばれる事態にまで発展したが、発砲命令を受けた兵士達の銃弾は無防備なデモ隊を殺傷して追い散らした。
惨劇の映像に接した国際社会は従来以上に軍政非難の声をあげた。これまで内政不干渉の原則により、ミャンマー批判を控えてきたASEAN(東南アジア諸国連合)外相会議が、武力行使を非難する声明を発表した。これまでミャンマー軍政のパトロン的役柄を演じてきた中国も、ミャンマーに国民的和解と自制を促してきたことが裏切られたわけで、深い失望を感じたようだ。中国はミャンマー非難や制裁決議には今でも反対の意向だが、来年の北京オリンピックを前に、非道なミャンマー軍政をかばう役割は免れたい。
中国はミャンマー軍政の後ろ盾として、木材、鉱物などを輸入して兵器を輸出するという特権的地位を占めていた。ミャンマーが一方的に中国に傾斜するのを見たインドは当初の軍政批判をやめて、軍政と親交を深める方針に転じた。ミャンマーが中国の属国のようになれば、インドにとって由々しき事態である。それは東南アジア諸国にも同じことで、だからこそ欧米の反対を押し切ってミャンマーをASEANに加盟させたのだ。ミャンマーをめぐるこのような地政学が、軍政を生き延びさせる要因だった。これら近隣諸国は今後も軍政生き残りを支える役割を果たすのだろうか。(伊藤力司)