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北朝鮮、次はアヘン 覚せい剤原料入らず2工場休止 密造拡大を日米欧警戒
(東京新聞)2007年10月9日 朝刊
警察当局が北朝鮮の薬物密造拠点とみている同国内の三工場のうち、二工場が密造休止に追い込まれた可能性が高いことが八日、内外の捜査当局の調べで分かった。覚せい剤の原料となる麻黄(まおう)という植物が生育する中国で北京五輪を控えた取り締まりが強化され、北朝鮮の覚せい剤原料入手が困難になったためとみられる。残る一工場も覚せい剤からアヘン密造にシフトしたとされ、欧米、ロシアなどアヘンが流入しているとみられる各国の捜査当局は警戒を強めている。
日本国内で押収した覚せい剤の成分分析や人工衛星による追跡、関係者の供述などから、覚せい剤など北朝鮮製の違法薬物の出港地は北東部の清津(チョンジン)、東部の元山(ウォンサン)、平壌近郊の南浦(ナムポ)の各港と判明している。
捜査当局によると、清津港は羅南(ラナム)、元山港は興南(フンナム)、南浦港は青水(チョンス)という地域にそれぞれあるという薬物密造工場の積み出し港とされる。密輸ルートが摘発で全滅しないよう、出港地ごとに密造工場や組織系統、覚せい剤の成分が異なり、受け入れ先の暴力団も関東や九州などに分散していた。
ところが、人工衛星などで各港や各工場を監視している当局によると、三工場のうち興南と青水両工場の薬物製造ラインは過去数カ月以上、稼働した形跡がないという。
中国・内モンゴル自治区などの半乾燥地帯に生育する麻黄はぜんそくやせき止めの医薬品材料だが、麻黄から抽出した「エフェドリン」は純度の高い覚せい剤の原料にもなるため、中国は製造や流通の管理を強化。
来年の北京五輪に向け規制を強めたアテネ五輪後の二〇〇四年暮れごろから、北朝鮮国内の薬物製造ラインの稼働率も低下したとされる。羅南工場の薬物製造ラインは稼働しているというが、アヘンの原料となる北朝鮮国内のケシ畑の監視状況などから、同工場の主力薬物はアヘンに変わり、覚せい剤は激減したとみられている。
北朝鮮製アヘンは日本にほとんど流入していないが、米捜査当局はアヘンから作られるヘロインの成分を分析。米国内で押収したヘロインのうち、既存産地に分類されない産地不明の約二割について、北朝鮮製アヘンが原料の可能性もあると推定。アヘンからヘロインを精製するには電力が必要で、電力不足の北朝鮮では精製できず、アヘンを密輸した第三国にヘロイン密造ルートがあるとみて調べている。
日本国内で押収される覚せい剤は数年前まで、中国製が約五割、北朝鮮製が約四割、フィリピン製などが約一割だった。
北朝鮮からの密輸が減少した分、フィリピンや北米ルートのほか、錠剤型覚せい剤を密造する「黄金の三角地帯」(タイ、ミャンマー、ラオス国境周辺)ルートが増加するとみて、各国捜査当局は目を光らせている。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007100902054933.html