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東アジアにまた日が昇る(千葉邦雄)
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投稿者 接続中 日時 2007 年 8 月 21 日 19:07:04: LZLXOvm1qmTy2
 

東アジアにまた日が昇る No.104【2007年8月21日】


千葉邦雄のニュースの落とし穴
http://www.chibalab.com/news_otoshiana/

■「豊かな国」は本当のところ豊かではない

私たちが住む日本は、本当に豊かな国なのだろうか。確かに、GDP≪国内総生産≫は世界第2位である。私の実感として、本当にそうなのだろうか、といつも疑問に感じてきた。実際のところ、GDPで測れるのは貨幣の流れであり、支出の総額である。もちろん、その支出の中身はいっさい問われない。

つまり道の駅や高速道路等の至るところに投げ捨てられるゴミや環境浄化のための費用、離婚のための裁判手続き費用、中小企業の倒産等の弁護士費用、飲酒等で頻発する交通事故や飛び込み自殺等の対処費用、そして社会の敗残者としてのホームレスや、虐待された女性たちに対する介護や避難所の費用等はもちろんのこと、戦争の経費等も、当然GDPには組み入れられている。はっきり言って戦争ほどGDPを効率よく押し上げてくれる手段はない。ようするに、すべてが経済的利益という「建て前の豊かさ」に還元され、すり替えられてしまう。

経済の市場原理主義が喧伝されることで、私たちの大切なマイホームが耐震偽装設計であったり、ミートホープのような偽装牛肉コロッケを食べさせられたり、賞味期限が勝手に延長されていた北海道の「白い恋人」を買わされたりする。社会保険庁の国民年金管理のサポタージュ、毎年3万人の自殺者、地方と都市との格差の拡大、失業者やフリーターの増加と正社員の減少化等々の表面化された現象だけを見ても、GDPという経済成長の指標が「豊かさ」や「幸せ」を意味するというよりは、むしろ「混乱」と「暴力性」を孕んでいると解釈したほうが正しいように思える。

豊かさの象徴として利用してきたGDPという指標は、私たちを豊かにしないどころか、日々の生活を自由のきかない不経済な環境に、私たちをして追いやっている。いや、私たちはもう気づいているはずだ。家にはすでにモノがあふれかえっている。効率的なだけのときめきのない大量消費製品群。いつまでも腐らない添加物だらけの食品群等には、どこか怪しいところがあることに、私たちは気づきつつある。

■シンプルでスローな暮らしがしたいだけ?

そもそも消費型のライフスタイルには、思いやりがなくて、疲れる。サイクルが短く、競争的で、あまりにも口うるさい。私にしてみれば、静かに放っておいて欲しいのだ。過剰なグルメやブランドの強要は、本当にイライラしてしまうのだ。私たちが望むのは、いや、私が望むのは特別なことではない。

ただ普通の暮らしがしたいだけなのだ。田園や木々や自然が身近にあって、空気や水が美味しくて、シンプルでスローな暮らしがしたいだけ。慎ましやかな安らぎと、自分らしさを維持する静けさが欲しいだけなのだ。GDPの指標に表れる消費型ライフスタイルが提供してくれる「豊かさ」なんて、あまり必要ない。都市的なライフスタイルより、田舎的で、優しさのあるロハス的な生き方のほうが、心地よいし、素敵だと感じる。

■最後の残された辺境

私たち人間は、どんなにハイテクで、高度なライフスタイルの中で暮らすようになったとしても、絶対にロボットになることはできない。高度情報機器につながれた高層ビルの中で生活していても、自分の肉体は、しょせん動物であり、大自然の一部であるという真実からは、逃れようがない。私たち人類の肉体は、大自然からすれば最後に残された辺境なのだ。私たちは、自分の肉体に対して、もっと優しく、思いやりを持たなければならないと感じる。

私たちが、ガンになったり、アレルギー疾患や花粉症になったり、水俣病や放射能汚染や薬害エイズやB型肝炎、あるいは肩こりや腰痛や高血圧や過度の肥満症等々に悩まされたりするのも、GDP神話による効率性のみを重視するあまり、私たち自身の身体とその生活環境を、とことん破壊してきたことが最大の原因のように思われる。

私たち人類とサルは、DNAの99%が同じなのと同様に、私たちの身体と、地球そのものと元素がほとんど同じ内容であることが証明されている。私たち人類と地球は、究極のところひとつの生き物であって、それぞれの分身に過ぎないらしい。ユニークな経済学者であるE・F・シューマッハが『スモール・イズ・ビューティフル』の中で、こんな風に語っている。

『自然界のすべてのものには、大きさ、速さ、力に限度がある。だから、人間もその一部である自然界には、均衡、調整、浄化の力が働いているのだ。ところが人間の技術には、大きさや速さや力を制御する原理がなく、「より大きく、速く、強く」の競争に歯止めがきかなくなっている』と。

■円キャリー・トレイドの凄まじい破壊力

以前からバブルだと言われ続けてきたアメリカのサブプライム・ローンの焦げ付きが、ついに限界にきて、アメリカの株価が暴落し始めた。ブッシュ政権のイラク戦争の綻びが、ある種の信用崩壊につながり、ドル安を呼び込んで、その結果として円キャリー・トレイドの巻き戻しが、ついに本格化し始めたようである。アメリカの覇権の綻びと日銀総裁による8月の利上げ予告が、世界中にゼロ金利によって信用創造のバブルを引き起こしていた円キャリー・トレイドの流れを、その潮目を変えてしまったようである。

サブプライム・ローンの債権を組み込んだ抵当証券の市場価格が一気に下落して、価格がつかない事態になってしまったのだ。金融機関等がローン証券を誰も買わなくなってしまったので、欧州中央銀行と米国FRBは、3日間で、約42兆円もの証券を買い上げて、市場になんとか流動性を注入した。金融機関が、お互いの銀行や証券を信用できない状況が発生して、証券の金融機関間の売買が停止したために、連鎖倒産が一夜にして起こりそうになったからである。

9.11テロの時に注入された緊急資金は約36兆円だから、今回の42兆円の緊急資金注入は異例中の異例であり、過去最大と言える。ところが、アメリカのFRBのバーナンキ議長は、約10兆円の問題だと、うそぶいて発表をしている。ローマクラブが1972年に発表した「成長の限界」じゃないけれど、アメリカドル帝国の終わりの始まりが、ついに始まったというのが、私の理屈抜きの直感である。

そんなわけで、「成長の限界」の主著者であるドネラ・メドウズのメッセイジの一部を引用したい。環境運動家の辻 信一氏の著書『スロー・イズ・ビューティフル』の中で紹介されている文章から転載したものである。

『いつも私たちは急いでいる。いや、急いでいると思い込んでいる。でも今、その思い込みを取り払ってみるとどうなるでしょう。すると、自動車で行くかわりに歩いていけるかもしれないし、飛行機で行くかわりに帆船でいけるかもしれない。別に急いでいないならば、もっと時間をたっぷりかけて、自分の出したゴミを自分でかたづけることもできるでしょう。ブルドーザーで地形を永遠に変えてしまう前に、コミュニティの住民たちがじっくりと納得のいくまで話し合うこともできるはず。残り少なくなった魚を、さらなる分捕り合戦で絶滅に追い込む前に、一体世界の海がどれだけの魚を再生産できるかを学ぶこともできるでしょう。

 想像してみましょう。ゆっくりと歩く。すると道端の花の香りを嗅ぐことができる。生活のペースを落とす。するといままで忘れていた自分のからだをまた感じ始めるでしょう。手帳にビッシリ書き込まれた予定表のことを考えずに、愛する人との時間を楽しむこともできる。ファーストフードを大急ぎでのみ込むかわりに、スロー・フード、つまり自分たちで育てたり、料理したり、盛りつけたりした料理を心ゆくまで楽しむこともできる。毎日、静けさの中にじっと座って時を過ごす自分を想像してみて』(転載終わり)

■弱い者いじめこそ「正義」?

8月17日の東京株式市場では、874円安と今年最大の下げ幅を記録し、円は1ドル=112円台に突入する。日本はアメリカに安全保障を丸投げしているから、アメリカの株が下がると、その2倍の勢いで日本の株が下がる。日本はアメリカの核の傘で守られていることに、建て前ではなっているから、アメリカヤクザの価値が下がれば、日本の株の価値も当然下がる。

仮にアメリカの覇権が低下して、アジアの安全保障から退くようなことが起これば、日本は、今度は中国というヤクザに、みかじめ料を払わなければならなくなる。なぜなら、中国の東風という核ミサイル約300発が、日本のほうに向けられているからである。憲法9条と非核三原則がある限り、日本はどちらかのヤクザに、安全保障という建て前の口実によって、永遠にみかじめ料を奪われ続けることになるのだ。

もし戦前の日本が、アメリカより先に核兵器を完成させていたなら、アメリカは広島・長崎に原爆を落とすことは、絶対にしなかったにちがいない。そしてもしもイラクが、本当に核ミサイルを保有していたなら、アメリカは絶対に戦争を仕かけなかったと思う。恐ろしい核兵器の相互確証破壊理論が存在する限り、核兵器保有国間の戦争はありえないのである。核保有国間は冷戦のための軍事費に金がかかるが、核戦争だけは絶対に避ける。

なぜなら、相互確証破壊という原子爆弾の世にも恐ろしい理論が存在するからであり、とくに民主主義国家は、そんな恐ろしいリスクを犯してまで戦争はできない仕組みになっている。公園で弱そうなホームレスが、虐められたり殺されたりするのは、あくまで相手が自分より弱いことがわかっているからである。筋肉隆々の強そうな相手には、誰も喧嘩をふっかけたりはしない。それがこの世のリアルな真実である。

■今こそ日米安保を相互条約に変更するチャンス

いまアメリカは、日本の拉致問題を無視して、北朝鮮の金正日と手を結んで、アメリカ主導の流れで朝鮮半島統一の流れを構築しようとしている。頭が切れる金正日は、お馬鹿な日本を手玉に取ることはもちろんのこと、中国やロシアさえも恫喝できる地政学的な位置を、アメリカの手先となって巧妙に売り込む。と同時に、韓国以上の戦略的パートナーになれることを伝えたにちがいない。そしてブッシュ政権の態度を180度変えさせることに、まんまと成功したように思われる。

円は、いまや世界の金融の流れを変える巨大な力を、すでに持っている。そのことを日本はしっかりと自覚しなければならない。そして北朝鮮の金正日のように、強かさを身につけて、アジアの安全保障の役割を、東アジアの平和を維持する役割を積極的に担うと、覇権が衰えつつあるこのグッド・タイミングをうまく利用して、アメリカに売り込むべきなのである。東アジアの平和のために、日本民族は、敗戦の永い眠りから目覚めなければならない。

《主な参考文献および記事》

(本記事をまとめるにあたり、次のような文献および記事を参照しました。ここに、それらを列記して、著者に感謝と敬意を表すると共に、読者の皆様の理解の手助けになることを願います。)

★スロー・イズ・ビューティフル        辻信一     (平凡社 2004)

★ 東京円急騰、日経平均は暴落 … 一時1万5500円割れ

17日の東京外国為替市場は、米国の低所得者向け住宅融資(サブプライムローン)問題による信用リスク不安の影響が広がり円相場は急騰、一時、1ドル=112円78銭と昨年6月以来約1年2か月ぶりとなる1ドル=112円台まで上昇した。

 欧米のヘッジファンドなどがリスクの高い投資を減らそうと、低金利の円を借りて高金利の外国通貨で運用する「円キャリー取引」を解消するため、円を買う動きを強めている。市場には「円高基調が当面続く」との見方が出ている。

 午後1時現在、前日(午後5時)比3円13銭円高・ドル安の1ドル=112円92〜94銭で取引されている。対ユーロでも午後1時現在、前日(同)比4円52銭円高・ユーロ安の1ユーロ=151円45銭前後で取引されている。

 17日の東京株式市場では、急速な円高を嫌気して日経平均株価(225種)が大幅続落して取引が始まった。下げ幅は一時660円を超え、取引時間中の今年の最安値を3日続けて更新、昨年8月9日以来の1万5500円割れとなった。東証株価指数(TOPIX)も続落し、今年の取引中の最安値を3日続けて更新した。

 日経平均の午前の終値は、前日終値比376円10銭安の1万5772円39銭、TOPIXは同36・91ポイント低い1530・55だった。第1部の午前の出来高は約10億9000万株。午後1時現在、日経平均は同395円5銭安の1万5753円44銭で取引されている。TOPIXは同39・60ポイント低い1527・86。

 急速な円高で業績悪化が懸念される自動車や精密機械、商社などの輸出関連銘柄が売り込まれている。

( 2007 年 8 月 17 日 14 時 0 分 読売新聞)


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