★阿修羅♪ > アジア8 > 473.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
□送別会 in 犬鍋屋 [犬鍋の韓国便り]
http://blog.goo.ne.jp/bosintang/e/d0bf6ebb87a6b0d6643d53a6e23f367c
送別会 in 犬鍋屋
今回の送別会は犬鍋,お相手は「人生いろいろ〜日本の恩人」の主人公です。
この犬鍋屋(クァンジュサリチプ),足を運ぶのは何度目でしょうか。このブログで取り上げたこともあります(→リンク)。
私の犬鍋初体験はここではなく,今はなきクァンジュハルメチプ。くずれかかった店でクーラーの効きも悪かったものの,味はピカイチでした。
それが再開発のあおりでつぶれ,以来,ここクァンギョサリチプがお気に入りになっています。
ここ以外にも,三星本館裏のカムナムチプ(柿の木屋),セジョン文化裏のポドゥナムチプ(柳の木屋),そのすぐ隣の店(店名不明),漢南洞(店名不明),武橋洞の2〜3の店,チョンガクの,足を食わされた衝撃の店など,私が行った店は多いですが,このサリチプはその中でも1,2を争う名店です。フグ鍋もあるので,どうしても犬は苦手という人がいても大丈夫。
まずはトマコギ(蒸し肉)1人前。しばらくしてチョンゴル(煮込み)を頼む。
「最初に会ったのは95年だったっけ」
「そうですね,私が日本に出張したときです」
「そのときに比べて,ぼくの韓国語も進歩したでしょ」
「でも,最初韓国語で話しかけられたときはびっくりしました。日本人が韓国語をしゃべるとは思わなかったから」
ところで彼,無類のラーメン好き。もちろん日本式ラーメンです。実は,私のラーメン屋巡礼の過半に彼が同行していました。新村の関西,ホープ軒,九州ラーメン,81番屋…
「子どももずいぶん大きいよね」
「上が小3,下が年長です」
「お父さんは元気?」
「ええ,最近はよく父に会います」
実は彼の両親,彼が学生時代に離婚している。
「お父さん,ホッケーの選手だったよね。実はうちの娘もホッケーやっててね」
「ええ,国家代表選手でした」
「じゃ,その血を継いでスポーツが得意だったでしょう?」
「いや,両親は僕には運動をさせませんでした。とにかく勉強だけしろと。ほんとうはサッカーが好きで,サッカーの選手になりたかったんですけれどね」
「韓国じゃ,運動をするとなると,それ一筋だからね」
「金にならないんですよ。国家代表なんていって,いろんなところに遠征はするけど,金がそんなにもらえるわけじゃない。そして社会に出てから苦労します。何せそれまで運動ばっかりで勉強をまるでしませんからね。国が就職の世話してくれるわけでもないし」
「じゃ,お父さん,選手を引退してからどうしたの?」
「いろんな会社の営業とか,ずいぶん苦労したようです。服の工場もやったそうです。クロ(九老)って知ってるでしょう」
「ああ,最近よく行くよ。羊を食いに」
「あそこ,前は大きな工業団地で,いろんな企業の工場があったんです。15,6歳の女の子が何千人も働いていました。その制服を大量受注して一時は羽振りがよかったんです。で,父はちょっと男前だったもんだから,遊ぶようになって…。父が悪いんですよ」
「お母さんのほうは?」
「母は再婚して生活も安定しているようだし,最近はあまり会いません。ぼくは結婚するとき,決心したんです。絶対に幸せな家庭を作るぞって。子どもには自分みたいな思いはさせないぞって」
鍋を食い終わり,犬のエキスたっぷりのおじやを作ってもらう。
「なんで日本語を専攻したの」
「…ほんとうは日本が嫌いだったんです。ウリナラにひどいことばかりしたって習ったから。でも日本は先進国だし,日本を追いつき追い越すためには,まず日本のことを知らなくちゃと思って。ウェハルモニ(母方の祖母)が日本語ぺらぺらで,日本語の講師をしてたってこともありますけど」
「で,留学したんだ」
「でも留学して6カ月,いやそんなにかからなかった,2カ月で,それまで学校で習ったことがすべて嘘だということに気づきました。ぼくたちは騙されていたんです。鉄腕アトムも,ベム・ベラ・ベロも,マジンガーZも,ぜーんぶ日本のものだった。大ショックでした」
犬のおじやもおおかた食い尽くす。
「犬鍋さんにはいままでたいへんお世話になりました。もし,日本で何か事業を興すようなことがあったら,ぼくを呼んでください」
「そんな,家族6人を食わせられる事業なんて,簡単にはできないよ」
「ぼく,犬鍋さんの行く所ならどこまででもついて行きます」
(うーん,そんなに言われても…)
顔なじみの犬鍋屋のおかみにも帰任の挨拶をし,店を出たのは10時ごろ。翌日早朝出勤しないといけないというので,二次会なしにお開きになったのでした。