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若者むしばむ 麻薬上海まん延 【東京新聞】
『頭の中はヘロインだらけ妖怪みたいにつきまとう』2007年6月17日 朝刊
中国当局が把握する大陸の麻薬常習者は約百万人。実際の数はその十倍ともされる。大都市・上海ではヘロインや大麻がまん延し、多くの若者たちが、好奇心から安易に手を出し、その闇の世界に、はまってゆく。 (上海・豊田雄二郎、写真も)
王さん(36)=仮名=は郷里の西安にいた二十一歳のころ、アヘンに手を出した。友人から誘われるままに、その錠剤を飲み、中毒になった。二十八歳で結婚、上海に出てきたのを機にアヘンを断ったが、四カ月前、今度はヘロインが手放せなくなった。
今回もまた、軽はずみな行動だった。都会の生活に慣れ、経営する洋服店も順調に売り上げを伸ばし、ようやく上海でできた親友は、集まるとヘロインを吸った。一回分は百元(約千六百円)弱。これまでに一万元は使った。
更生施設出ても再び手を染め
市内には常習者の更生施設が四カ所ある。市郊外にある「自願戒毒センター」には毎月、三十人近くが訪れる。薬を服用し、規則正しい生活を送り、大抵は二週間ほどで、退所していく。その間の費用は計五千元(約八万円)ほど、入所者本人が全額を負担する。
センターの趙敏主任は「経済が発展し、市民が豊かになったと同時に、海外からも麻薬が入ってくる。大半は好奇心から手を出し、そのうち中毒になる」と話す。麻薬の常習性は強い。ここの退所者も、多くが再び手を染め、戻ってくる。
自宅も売り払い3200万円投じた
張さん(44)=同=がセンターに入所するのは四回目。十年前からヘロインに手を出し、最も多いときは、一回の吸引に五百元(約八千円)を使った。力ない声で「カラオケで、ヘロインをやりながら歌うと、最高なんだよ」と話す。
貯金を使い、自宅も売り払い、これまでに二百万元(約三千二百万円)近くをヘロイン代に投じた。三日前、最後の一服を吸ってから、入所した。「今回こそ、やめたい。でも毎回、外に出ると頭の中はヘロインだらけ。妖怪みたいにまとわりついてくる」
上海で電子会社を経営する談廷輝さん(82)は、麻薬で逮捕されるなどして、就職が難しい更生者をあえて採用している。現在は十一人いる。
談さんの父は一九三〇年代にアヘンに手を出し、三十歳代で死んだ。「当時、誰もが簡単にアヘンに手を出した。父だけじゃない。街中にまん延していた。麻薬の恐ろしさを、もっと広く知らせないといけない」と語気を強める。骨と皮だけにやせ細った父の姿が今も、脳裏に焼き付く。
それでも現実は、若者がたむろする上海の娯楽施設で、簡単に麻薬が手に入る。大麻を吸った経験がある大学生、朱さん(23)は「(吸った理由は)みんな吸っているから」とあっけらかんと話した。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2007061702024811.html