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〔第6回・最終回〕物流立国を目指す韓国と九州の繋がり
大規模港の建設ラッシュが進む中国沿岸部各港との競争の下、現在韓国は、国をあげて港湾のインフラ整備に注力している。また、日本にとっても韓国は、自動車産業や半導体産業の集積が進む九州地区と非常に近いことから、これからのアジア物流展開を占うにあたっての最も重要な地域と言える。
韓国の港湾インフラ事情
1.釜山港
韓国最大の港、釜山港において、2006年は前年比増の約1,200万TEUのコンテナ取扱量を記録(世界第5位)。従来、釜山港の年間の処理能力は600万TEU程度と言われていたが、現時点ではその倍の貨物量を取り扱っており、現在の港湾施設での対応は限界を超えつつあるとのこと。また、市街地に隣接しているという地理的制約により釜山港のこれ以上の拡張は望めない模様。これらの諸問題に対応すべく、2001年から釜山港より約25キロの位置に所在する釜山新港が、韓国南部の新たなゲートウェイとなるべく建設されている。現在は6バースが開港、2011年までにさらに24バース追加される計画で、年間の総処理能力は約800万TEU、韓国最大のコンテナ湾港となる予定だ。
釜山港
釜山新港
2.光陽港
釜山港の南西約100キロに位置する光陽港は、港内の島々が天然の防波堤となる地形を利用した港である。当初は、韓国鉄鋼最大手企業の工業港として開発が進められた。現在、計12バースの年間コンテナ処理能力は約300万TEUに達し、2011年までに計33バース、年間コンテナ処理能力約900万TEUに達する巨大コンテナターミナル化が計画されている。
3.仁川港
仁川港は、仁川経済自由区域(IFEZ)と連結し、北東アジアと海外を結ぶ複合輸送を主とした一大物流拠点となるべく、2011年を目処にコンテナや港湾関連施設を拡張する計画を進めている。また仁川国際空港と連携したシー・アンド・エア輸送を増加させるための法整備やインフラの改革も予定されている。
<仁川経済自由区域(IFEZ)>
2003年8月に韓国初の経済自由区域の指定をうけた区域。2020年の完成を目指している。
面積:209平方キロメートル
総事業費:147,610億ウォン
開発計画:2003〜2020年(第一期は2008年に完成する予定)
外資誘致のための優遇策も有り
仁川港
4.韓国港湾の将来
釜山周辺の港湾は、上海などの中国港湾と「北東アジアのハブ港」の座を賭けて開発に邁進しており、上記に述べたように壮大なインフラ拡張計画が立てられていた。しかしながら、ここにきて韓国港湾当局は、各港湾インフラの拡張計画の調整を行い始めている。調整に至った理由は、まぎれもなく、中国貨物の積み替え需要が減少するという予測からである。中国では上海だけでなく、その他の都市までが競いあうかのように港湾への投資を行っており、大規模港の建設ラッシュが進行中である。即ち、港湾拡充の計画立案時に、韓国が積み替え貨物の出所として期待していた中国の各港(上海、寧波、青島、大連、天津等)では、大規模な深水港のコンテナターミナル建設が進められており、大型船の寄港が可能な港が乱立しつつある。この点において、物流予測の修正が成されたのであろうか?今後は、どの港がアジアのハブ港としての地位を築くことに成るかは多いに注目すべき点である。
しかしながら、日本の視点、即ちそれは荷主の視点から見ると、韓国港湾の拡充は望ましいものであることには変らない。それは、各種新工場の建設が進む九州地区の近くに所在するからである。
韓国と九州
韓国と日本の物流事情を考えると、そこには2つのポイントが挙げられる。
1.カー・アイランドとシリコン・アイランド
九州は元々、「シリコン・アイランド」と呼ばれるほど、半導体製造業が集積した地域であったため、韓国と密接な関係があった。そして今、九州地区は言わば、「カー・アイランド」としても勢いづいており、裾野の広い自動車部品の物作り拠点として韓国ー日本間物流の発展基盤となっている。九州域内における自動車生産の台数は100万台を超えることが確実視されるまでになっており、2007年以降は150万台の越えも視野に入っている。
そのような自動車の増産状況に加えて、最近ではこの九州に拠点を置く半導体メーカーにも、自動車搭載用半導体の生産を強化する動きが広がっている。それは、「安全」「快適」「環境」をキーワードに急速に進む自動車の電子化を背景に、車載用半導体の需要が拡大している為である。よって、大規模な物量が九州において生まれ、これらの貨物を海外へ輸送するためには、物流インフラが充実している韓国との物流パートナーとしての関係が重要となるわけである。
2.クロスポイント
北九州をハブとした物流が従来の単純な九州発着を想定したものではなく、アジアと本州を繋ぐクロスポイントとしても活用されている点も見逃せない。例えば、下関と釜山や博多と上海を結ぶ高速フェリー等が、航空便や海上便との"中間"のサービスとして見直されており、鉄道輸送、道路輸送、内航船など多様な輸送手段がと連携し、魅力的な物流システム構築へと繋がっている。特に、フェリーは定時制に優れていることから、最適な物流輸送手段とも言える。
博多港
当社の活動
先日(2007年2月1日)、当社韓国法人は、釜山新港近くに新たなロジスティクスセンターを設けた。新施設を中国向けや中国発の海上貨物の積み替え需要にも対応できるツールの1つとして、韓国におけるセールスを強化するとともに、九州法人を中心として、九州全体の顧客開拓にも注力している。北東アジアの物流立国を目指す韓国の近くに所在する今後の九州地区の発展性を考えると、このエリアの開拓を外すわけにはいかないだろう。九州地区の各工場がフル稼動を始め、韓国港湾のインフラ整備が整う数年後の物流模様が非常に楽しみなエリアである。
郵船航空九州株式会社(本社・福岡市)
代表電話番号:(092)477-7810
韓国郵船航空サービス株式会社(本社・ソウル市)
代表電話番号:(82)2-2077-3000
〔第5回〕中東欧諸国の現状(2006/12/1)
今、中東欧諸国が世界の注目を浴びている。安価で質の高い労働力、部材の現地調達の容易さ、マーケットの将来性及びロシア・EU諸国に隣接するという地理的優位性といった魅力がその背景にはある。 今回は、中東欧と称される国々の中から、ハンガリー、チェコ、ポーランドの3国を採り上げ、その物流の現状をレポートする。−全文−
〔第4回〕ドバイの物流インフラ現状(2006/10/1)
アラブ首長国連邦を構成する7つの首長国の1つであるドバイは、人口120万人と(このうち約80%が外国人。インド人、パキスタン人などが多い)、アブダビに次ぐ第二の首長国である。石油埋蔵量の少ないドバイは30年後にやってくると想定される石油枯渇に備え、近年、石油依存型から脱却した経済・産業基盤の育成に努めている。なかでも、欧州・ロシア、及びアフリカの間に存在するという地理的優位性を利用して、近年、中継貿易産業が発達してきている。−全文−
〔第3回〕インドの物流インフラ状況(2006/8/1)
BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)の一国として、また中国に続く潜在的な巨大市場として全世界の注目を一身に浴びているインドであるが、その現状は訪れた者にしかわからない混沌と混雑、雑然と雑多の世界である。牛や象が道路を我が物顔で闊歩する傍ら、自転車やオートバイの群れが町並みに溶け込んでいる様子に、誰もが驚愕の念を感ずるはずである。−全文−
〔第2回〕ロシア最新インフラ事情(2006/6/1)
1998年夏のロシア通貨危機(いわゆる「8月危機」)によるルーブルの大幅下落をきっかけに日露間の貿易も一旦は縮小したが、近年、国際石油価格が高騰を続けていること等が好材料となり、ロシア経済は非常に順調に推移し、貿易収支も大幅に改善がなされている。昨今の積極的な国内投資とGDP(6年連続プラス成長)の向上でロシア国民の一般消費財に対する購入熱が年々上がっているということもあり、自動車や家庭電化製品の輸入増加には眼を見張るものがある。−全文−
〔第1回〕インフラ整備が進む中越物流(2006/4/1)
今、チャイナ・プラス・ワンとして投資ブームに沸くベトナム。中でも、ベトナム北部に位置する首都ハノイは、国家による積極的な外資誘致政策等もあり日系を含めた外資系企業の進出が相次いでいる。だが、裾野産業が未だ成熟していない同国において、既に進出済のセットメーカーは依然として部材の大部分を海外からの輸入に頼っているというのが現状である。−全文−
記事・写真:郵船航空サービス株式会社 営業総括部
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