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□日本がODAでカンボジアに造った浄水場に無断転売計画 裏には国際的な利権争いか [FNN]
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn/20070508/20070508-00000208-fnn-int.html
日本がODAでカンボジアに造った浄水場に無断転売計画 裏には国際的な利権争いか
開発途上国の発展などのためのODA(政府開発援助)をめぐって、日本がカンボジアに造った施設が、日本政府に無断で転売されるという計画をFNNがキャッチした。その裏には、資源をめぐる国際的な利権争いがからんでいるものとみられる。
FNNが独自に入手したカンボジア政府の内部文書には、クメール語で「上記企業に、シェムリアップ州水道公社から51%の株の購入を許可する」と書かれている。
その内容は、日本がODAの無償協力で造った浄水場の転売計画。
カンボジア北西部にあるアンコール遺跡を目当てに訪れる観光客の拠点となるシェムリアップ市では、増え続ける観光客に比例するように、ホテルの建設ラッシュが続いている。
その一方で、市の中心部から離れると、いまだに庭先に設置した井戸から井戸水をくみ上げる光景が見られるなど、人口増加にインフラの整備が追いつかず、多くの人たちが汚染された井戸水を利用し、病気がまん延している。
井戸水を使う人は「健康のためにも、きれいな水道水を使いたいよ」と話した。
こうした状況に手を差し伸べたのは、日本だった。
シェムリアップ郊外にできた浄水場、シンボルの給水塔には、日本とカンボジアの国旗が描かれている。
日本政府は、16億円以上を投じて、2006年3月に浄水場を建設し、市内に延びる水道管も新設した。
これにより、市の中心部の給水率は飛躍的にアップすることとなった。
しかし4月、カンボジア政府は突然、水道事業を方向転換させた。
政府の内部文書によると、「韓国の民間企業に、水道公社の権利の51%を売却する」と明記されている。
つまり、日本のODAで造った浄水場を韓国の民間企業の営利目的のために使おうというもの。
この計画は、すでに浄水場の職員にも伝えられ、動揺が広がっていた。
職員は「日本が援助した設備は、とてもいいものです。そこに韓国が入ってきて運営したら、日本の人はがっかりすると思う」と話した。
これについて、シェムリアップ州水道局のコン・ソックアン副局長は「その質問には答えられません、すみません。これは政府の問題ですから、答えられません。すみません、すみません。申し訳ないけど答えられません」と、まるでかん口令が敷かれているかのような対応を見せた。
名前が挙がった韓国企業も、FNNの取材に対し、「責任者が不在で答えられない」と話している。
その後、事態は急展開を見せ、フン・セン首相が「浄水場は引き続き公営で行い、韓国企業は新たな浄水場建設にかかわる」という文書にサインし、浄水場売却はいったん白紙に戻った。
今回の売却計画は、韓国企業と、利権事業でたびたび名前が挙がる、ある閣僚との間で進められていたとみられている。
それに対し、計画が進むと既得権益を失うことになる鉱工業エネルギー省が、日本政府の働きかけを受けて、巻き返しを図った形となっている。
専門家は、こうした対立の裏にある資源をめぐる各国の利権争いは、し烈を極めると話している。
国際問題アドバイザーの岡本行夫氏は「中国がね、猛烈な勢いで世界の資源を消費しているんですよ。彼らは、世界中の資源を買いあさっている。カンボジアでも、中国が石油やボーキサイトを買いに行っている。対抗して、とにかく資源を押さえなければいけないっていうんで、各国とも大変な思いをしているわけですね。世界が今、協調して経済協力をやっていこうという足並みとか調和が乱れつつあるというのが現状です」と話した。
数年後には、石油やボーキサイトの採掘も始まるカンボジアは、まさに宝の山といえ、各国入り乱れての利権争いは、さらに拍車がかかるとみられる。
[8日10時52分更新]