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□【コラム】自衛隊員の葬送式に出席した安倍首相を見て [朝鮮日報]
http://www.chosunonline.com/article/20070424000041
記事入力 : 2007/04/24 12:03:29
【コラム】自衛隊員の葬送式に出席した安倍首相を見て
昨年8月15日、東京は朝から大粒の雨に見舞われていた。しかもこの日は平日の火曜日。普通なら多くの人出は期待できない条件がそろっていた。しかし靖国神社には朝から多くの人が集まっていた。ざっと2000人くらいにはなっただろうか。群衆の半分以上は若者だった。
そこへえんび服を着た小泉首相(当時)が参拝に訪れた。若者たちは一斉に手を上に伸ばした。まるで大きな波のうねりを見ているかのようだった。それぞれの手に握りしめられた数百台のデジタルカメラがフラッシュの光を放った。各報道機関も対応に追われていた。韓国や中国では「歴史を無視する行為」との声が上がり、日本では「アジア外交に暗雲をもたらした」との声が上がった。
しかし小泉首相は確実に大成功を収めた。小泉首相のショーマンシップは、学校で愛国心を学ばなかった若い世代を靖国神社に引き寄せることに成功した。通常、日本の若者たちが靖国神社をにぎわすのは、神社のある九段下がピンク色に彩られる桜の季節に限られている。この日は例外中の例外だった。
靖国神社でこの一部始終を見ていた記者は、「うらやましい」という奇妙な感覚に襲われた。靖国参拝を「暴挙」だと非難するのとは、また別の脈絡での話だ。それは、「韓国では、大統領が1000人もの若者を国立顕忠院(国立墓地に相当する)に集めることなどできそうもない」という考えが浮かんだからだ。
日本の靖国神社と韓国の国立顕忠院を同じような存在だと見るには無理があるが、あえて「若者の愛国心を呼び覚ます」という点だけに注目するなら、そういう話もできる。小泉首相は方向こそずれていたものの、国家的な目標を実現させる上で、持ち前のショーマンシップを遺憾なく発揮した。そして昨年末、愛国心教育を掲げた新しい教育基本法が成立した。
小泉首相の後継者である安倍首相は一昨日、陸上自衛隊輸送ヘリコプターの墜落事故で殉職した自衛官4人の葬送式に出席した。式は航空自衛隊那覇基地で行われ、厳粛な雰囲気で進められた。「当然出席すべきものを出席しただけの話」と判断して見過ごしそうになったが、「自衛隊の葬送式に首相が参列したのは初めて」という部分が引っかかった。そして「果たして韓国の大統領が、韓国軍の葬送式に参席したことがあるだろうか」という疑問が浮かんだ。
安倍首相が沖縄まで出かけて哀悼の意を表明した4人の自衛隊員は、救急患者の搬送のために飛行中に墜落事故に見舞われた。交戦中に死亡したわけではない。一方、2004年に北朝鮮の挑発によって起きた西海交戦の際、韓国の大統領は殉死した海兵たちの葬送式には出席せず、日本へサッカーワールドカップ競技の観戦に出掛けた。
先日、韓国ではアフガニスタンで殉死したユン・ジャンホ兵長の葬送式が行われたが、この時も大統領が出席したとの話はなかった。空軍参謀総長が喪の明ける前にゴルフを行ったとして、退陣する騒動が起きたのもこの時のことだ。
日本の歴史歪曲(わいきょく)は決して見過ごせない問題だが、「目を背けたくなるような負の歴史を子どもたちに教えるわけにはいかない」という彼らの意識には考えさせられる部分もある。韓国では正反対の現象が見られるからだ。韓国政府はむしろ、すでに明らかになっている過去の歴史をほじくり返すために、数百億ウォンもの血税を投入するという愚行を繰り返している。もしその金を日本軍の慰安婦問題を研究するのに当てていたなら、今ごろ日本側が言い逃れできないほど真相が明らかになっていたことだろう。
過去の歴史を覆い隠そうとする日本の態度は、確かに非良心的だ。だとしたら、韓国はあまりに良心的でありすぎるために、四六時中自身の過去をさらけ出しては自虐に浸っているとでも言うのだろうか。
韓国は「日本が右傾化している」と批判する。ここで言う「右傾化」とは、思想的、政治的、軍事的に見て、愛国と覇権を追求する動きを指している。しかしそれを言うなら、中国は日本の比ではないほど右傾化を突き進んでいる。世事に疎かった朝鮮時代の書生のように、日本が侵略の野望を抱いているとかいないとかいった話にかまけているようでは、またかつてのような失敗を繰り返さないとは言えない。
国立顕忠院に若者たちを引き寄せ、殉死した兵士たちの葬送式で涙を流し、歴史の栄光の部分に目を向ける、そんな頼もしい大統領の姿を見てみたい。若者たちに愛国とは何かを教えてくれる、健全なリーダーシップを持った大統領が登場することを期待する。
東京=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報JNS